アルカリ電池は普通のマンガン乾電池を使用する機器にはほぼ100%使用可能でしょう。これは両方とも公称電圧が1.5Vで同じであるためと、マンガン乾電池よりアルカリ乾電池のほうが内部インピーダンスが低く大きな電流を取れるからです。アルカリ乾電池使用を前提に作られた機器にマンガン乾電池を使用することができるかどうかは、機器によってまちまちです。大きな、電流を必要とするものでは、電池の寿命ひどく短くなったりすることがあるでしょう。さて、ニッケル水素電池がアルカリ乾電池の代用になるかというと、必ずしもそうとは限りません。それは、ニッケル水素電池の公称電圧が1.2Vと低いためで、機器の要求電圧が高めに設定されている場合など、電池の容量がまだ十分にあるのに使用できなくなるなどの状態になる可能性があります。この傾向は複数の電池を直列にして使用する(通常複数の電池を使用する場合はこの方法が多い)場合、電池の本数が多いほど、両者の電圧の差が大きくなりこの傾向が強くなります。たとえばアルカリ電池10本直列で使う機器の場合、機器の要求する最低電圧が12Vだったとすると、アルカリ電池では3V電圧が落ちるまで使用可能ですが、ニッケル水素電池では最初からギリギリです。こうした場合電池自体はほとんど消耗していないのに使用できなくなったりします。
ニッケル水素電池と同じ電圧のものにニッケルカドミウム電池がありますが、これらはほぼ互換性があると考えてよいでしょう。
電池の容量(取り出せる電力)だけをとっていうのであればアルカリ電池よりもニッケル水素電池のほうが大容量なのは確かですが、それが一概に長持ちすることとは一致しません。まぁ、最近のアルカリ電池やマンガン電池を使用するポータブル機器ではほとんどニッケル水素やニッケルカドミウムでの使用が可能なものが多いのは確かです。サイズこそ同じですが、中身は別物なので用途に合わせて使用することが肝心です。
一部のおもちゃにはニッケルカドミウムやニッケル水素電池の使用を禁止しているものがありますが、これは電圧の違いよりも電流の違いによるもので、モーターなどに無理な力が掛かったとき、内部インピーダンスの低いニッケル水素やニッケルカドミウム電池を使用してると大きな電流(マンガン電池やアルカリ電池ではそこまでの電流を取り出せないので安全)が流れ火事や火傷の恐れがあるためです。
もう一つニッケルカドミウムやニッケル水素電池にはメモリー効果という少々厄介な性質があり電池の容量を十分に使い切れない(半分ぐらい使ったところで充電が必要になるような)機器では電池自体の寿命を短くしてしまいます。メモリー効果とは少量の充電・放電を繰り返していると電池の実容量がだんだん減ってきてしまう現象です。そこでニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池を使用する機器には放電機能がついているものあります。この機能は中途半端に残った電池を充電するとき、一端殻の状態まで使い切ってから充電するためのものです。