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南極圏にすら適応するネコがフランス領ケルゲレン諸島に与えた影響とは? 人間が到達してしまったことで変わっていく生態系とネコの強さの紹介
今回ご紹介するのはジオチャンさんがニコニコ動画に投稿した『急速に進化する南極のノネコに衝撃の変化が!!【解説動画】』です。
われわれの身の回りにいるネコ。ふだんはゆったりとしていて、いつも寝ているので『寝る子』からネコと名づけられたという説もあるネコ。
実はこのネコは環境への適応力がとんでもなく高いことをご存じでしょうか。
今回はそんなネコの環境への適応力と進化の軌跡を解説していきます。
■野生化したネコやその他外来種が環境に与える影響とは
ジオちゃん:
現在世界各地で野生化したネコが外来種として生態系に影響をおよぼしており、特に島嶼域【※】の希少種や固有種への被害が大きくなっています。
このネコは驚くべきことに南極地域にも進出しています。彼らは過酷な環境に適応し、独自の生態を持ち、形態も変化しました。
そこにはどのような変化があったのでしょうか。
【※】島嶼域
大小のしまじま。
ジオちゃん:
南インド洋の南極圏に位置するケルゲレン諸島は地球上で最も隔絶された場所の一つです。
この300の島々からなる群島はオーストラリアから約4000km、アフリカから約3800kmそして南極大陸からでさえ2000kmも離れています。
ジオちゃん:
ケルゲレン諸島はいわゆる『狂う50度線』【※】に位置しており、風が大変強いことで知られています。
それに加え、寒冷、険しい地形など厳しい気候と不毛で住みにくい環境のため、英語では「荒涼諸島」という意味で呼ばれています。
※狂う50度線
南緯50度から60度にかけての暴風圏を指す俗称。南極海を航行する船には、常に西から強い卓越風が吹き付け、吠える40度よりさらに強烈な嵐に見舞われることに由来する。
ジオちゃん:
このような過酷な条件にも関わらず1772年にフランスの探検家イヴ・ジョセフによって発見されて以来、この島々は探検、科学的研究などにおいて豊かな歴史があります。
また、ケルゲレン諸島は18世紀に発見されて以来、捕鯨船やアザラシ漁の中継地でもありました。
19世紀にはこの群島が孤立していることと、先住民がいなかったことから、これらの産業にとって理想的な場所となり今日までフランスの海外領土となっています。
ジオちゃん:
ただ これまでに何度か定住が試みられてきましたが現在、研究者以外に永住居住者はいません。
ケルゲレン諸島の永住地は1950年代に設立されました。
この場所は主に科学研究を目的として作られ島の主要な港であるフランセ港が建設されました。
ケルゲレン諸島は南に位置することから、それ以来地球物理学と気象学の研究の拠点として機能してきたのです。
ジオちゃん:
そして、このケルゲレン諸島には何世紀にもわたって意図的または偶然にさまざまな種が持ち込まれてきました。
これらの種にはウサギ、げっ歯類、トナカイそして飼いネコが含まれます。
これらの動物の導入は在来の動植物に重大な影響をおよぼし、生息地の破壊と在来種の減少につながりました。
19世紀に捕鯨者やアザラシ猟師の食料源として導入されたウサギは特にケルゲレン諸島の主島であるラ・グランド・テールで急速に増加しました。
ジオちゃん:
このウサギの放牧習慣は深刻な土壌侵食と在来植物の破壊を引き起こし、その次にそれらの植物をエサとする他の種に影響をおよぼしました。
ウサギと同様にドブネズミやハツカネズミなどのげっ歯類はおそらく、船とともに偶然持ち込まれたものです。
これらのげっ歯類は特に地上に巣を作る鳥などの在来の海鳥を捕食し、その結果これらの種の個体数は減少しました。
ジオちゃん:
トナカイは20世紀初頭に食肉生産のために導入されました。
トナカイの生息地も当初は狭い地域に限定されていましたが、ケルゲレン諸島全体に広がり、過放牧と生息地の劣化の問題をさらに悪化させました。
■生態系に多大な影響を与えるネコ
ジオちゃん:
しかしケルゲレン諸島への生態学的影響という点で、これらの導入種の中で最も重大なものはおそらくノネコです。
ケルゲレン諸島には初期の移住者によってすでにネコが持ち込まれていました。
そして他の島々の状況と同様にネコはこの島々の広大な土地にすぐに適応しました。
ジオちゃん:
ケルゲレン諸島の主島であるラ・グランド・テールの面積は6675km2あり、これは東京都の面積のおよそ3倍の広さです。
ノネコという名称は野生化したネコを差し、街中や住宅地で地域の人々から餌をもらったり、ゴミを漁ったりする野良ネコとは違い、野生環境において自力で生きていく能力を持っています。
ジオちゃん:
ケルゲレン諸島の環境に適応したノネコは過去数世紀にわたって頂点捕食者となり、ケルゲレンミズナギドリやアオミズナギドリを含む在来の海鳥を捕食しており、その個体数に 壊滅的な打撃を与えています。
ジオちゃん:
オーストラリア、ニュージーランド、ハワイその他多くの島の生態系で見られるように、これらの在来の生物は明らかにネコ科の捕食者に対する防御能力を持ち合わせていません。研究者によると ケルゲレン諸島に導入されたノネコは過去数世紀にわたって急速に進化しており、海鳥、ウサギ、げっ歯類を捕食する専門のハンターになったと言われています。
ジオちゃん:
そして、特にノネコはケルゲレン諸島のアホウドリの個体数の動態に大きな影響を与えています。
2024年2月18日科学誌エコスフィアは、ラ・グランド・テール北東部にあるクーベル半島のアホウドリのコロニーではその生存率はのネコの個体数ではなく、雛狩りに特化した個体の存在に依存していることを示す研究を発表しました。
ジオちゃん:
これは非常に特殊化したノネコがアホウドリの雛を捕食することを覚えたことを意味します。
これらのノネコは冬に備えてより肉付きの良くなったアホウドリの雛を親鳥が海に出た時に狙います。
ジオちゃん:
アホウドリをエサとするノネコの中には、体重がほぼ5kgもある大型の個体もいます。
これは飼いネコの平均体重が3.2kgから4.5kgほどのため、少し大きいくらいと思うかもしれませんが、通常ノネコはエサに恵まれた飼いネコよりも小型になるのが一般的です。
ジオちゃん:
1990年にはノネコの数は7000匹と推定され、多くの海鳥が犠牲になっていました。
ただしそれは小型の鳥に当てはまったことでしたが、約30年後の2014年と2017年の調査では大型の鳥にも当てはまるようになってきていることがわかっています。
さらに、この研究はネコの頭蓋骨と顎の骨格が強化されていることも示しています。
これらのノネコは活動していない時は、小さな岩の洞窟に隠れています。そしてその洞窟には鳥の羽や骨などが散らばっていました。
そして、島のネコは昼夜を問わず活動し、約50ヘクタールの領域をパトロールし草むらでネズミを捕まえウサギが巣穴から出てくるのを待ち伏せして捕食しています。
ジオちゃん:
ケルゲレン諸島は極度に遠隔地にあり環境が厳しいためノネコの個体数を制御する取り組みは困難を極めています。
政府による根絶プログラムが提案されていますが、島でそのようなプログラムを実施するのはアクセスの困難さからほぼ不可能で、そのためノネコは繁栄し続けると考えられています。
ジオちゃん:
イエネコの祖先は全て中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコで、現在さまざまな品種のネコがいますが全て同じ種です。
これはノネコにも同じことが言え、イエネコとノネコの遺伝学上の違いはありません。
ただ1000年初頭ごろにフランスのコルシカ島に導入され、野生化したと考えられている キツネネコは2023年1月の遺伝子解析によりイエネコの系統には属さないことがわかり、フランス生物多様性局はキツネネコをコルシカ島の固有種であると発表しました。
ジオちゃん:
それでは、ケルゲレン諸島のネコも現在進行中とされる進化の軌跡をたどり続け、最終的にはイエネコと別の種類に分類される日が来るのでしょうか。
そしてさらに大きな獲物を狩るような動物へと変貌するのでしょうか。
普段身の回りで愛嬌を振りまき、動画投稿サイトでも大人気のネコにこんな一面があったなんて驚いてしまいますね。日本で独自の進化を遂げた生物がいるところと言えば西表島などがありますが、もし訪れるような機会があれば注意が必要ですね。
フルバージョンでの解説をご覧になりたい方はぜひニコニコ動画でご視聴ください!
▼動画はこちらから視聴できます▼
『急速に進化する南極のノネコに衝撃の変化が!!【解説動画】』
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