高騰が続く首都圏の不動産市場は今後、どうなっていくのか。不動産事業プロデューサーの牧野知弘さんは「2030年にかけて大量相続問題が表面化し、東京23区を皮切りに首都圏3県の中古・賃貸マーケットに大量の戸建て住宅やマンション住戸が供給されるだろう」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、牧野知弘『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)の一部を再編集したものです。

東京
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東京でも「人口減」が始まっている

首都圏で確実に発生する大量相続。そして多額の相続税を支払うため、あるいは自身では所有し続けて居住する予定のない戸建て住宅やマンション住戸が売却されます。売却しないものでも賃貸として運用するために賃貸マーケットに登場します。

今時点ではまだ絵空事のように思えるかもしれませんが、いつまでにどのようなシナリオで大量の中古住宅がマーケットに登場してくるのでしょうか。

東京都政策企画局「2060年までの東京の人口推計」によれば、東京都人口の自然増減(出生数-死亡数)はすでに減少に転じています。2011年から2015年ではほぼ増減なしでしたが、2015年から2020年で15万人の自然減です。

今後は2020年から2025年で25.6万人、2025年から2030年で33.5万人、2030年から2035年には40.6万人の減少となります。

死亡者がどんどん増え、相続が大量発生

死亡数については、2006年から2020年までの15年間で172.5万人であったものが、2020年から2035年では243.7万人と40%もの増加となります。【図表1】

2020年から2035年の死亡数は、年平均で16万人です。ちなみに2020年が12万人ですから、今後加速度的に死亡数が増えていくことが想像されます。

高齢化の進展が速い他の3県も含めて考えると首都圏では2020年の死亡数33万9000人がこの先15年平均で30%から40%増加していくことが想定されます。数にして45万人から50万人程度、15年間で675万人から750万人の相続が発生することになります。