さまざまな合併症を引き起こす糖尿病。予防するにはどうすればいいか。鳥取大学病院内分泌代謝内科で糖尿病専門医の大倉 毅医師は「食事に気をつけるのも大事だが、その前に取り組むべきことがある」という――。
※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 18杯目』の一部を再編集したものです。
糖尿病増加の背景にライフスタイルの変化
糖尿病患者が著しく増えている。
「日本人のだいたい5人に1人が、糖尿病かその予備軍だと考えられています。成人も子どもも含めての話なので、成人だけに限れば4人に1人。
糖尿病有病率の変化と見事に比例しているのが、コンビニの店舗数、外食産業の市場規模、一人世帯の割合、そして自動車保有台数などの増加。24時間365日、いつでも好きなものを食べて飲めるようになったこと、そして運動不足が原因だと思われます」
糖尿病増加の背景にはライフスタイルの変化があると指摘するのは、とりだい病院内分泌代謝内科の医師であり、糖尿病専門医の資格を持つ大倉 毅だ。
厚生労働省が2019年に行なった調査によると、糖尿病患者が1000万人、予備軍を含めると2000万人と推計している。この数字は年間15万人ペースで増えており、今も継続していると思われる。
そもそも、「糖尿病」とは何か――。
インスリンという膵臓でつくられるホルモンがある。私たちの身体は僅かな血糖値の変動を察知すると、膵臓からインスリンを分泌して血糖値を一定に保っている。
糖尿病とは、インスリン不足、あるいはインスリンに対して身体の反応が鈍くなる「インスリン抵抗性」が原因で起こる。