更年期障害がひどくなると、体にどのような影響があるのか。自身の経験をもとに男女の性機能について取材を続けてきた径書房代表の原田純さんは「昔からPMS(月経前症候群)がひどく、イライラや腹痛、月経痛に散々苦しめられてきた。55歳で閉経した時は本当にうれしかったが、その後さらに思いもよらない病に罹患していることがわかった」という――。
ソファに座って腹を押さえる女性
写真=iStock.com/m-gucci
※写真はイメージです

70歳の今も恋人とセックスを楽しんでいる

「産婦人科にはできるだけ行きたくない」
「アソコに触るのはお風呂で洗うときだけ」
「もう恋愛もセックスも一生しなくていい」

60歳のころ、私はそう考えていた。ところが70歳になったいま、私は恋人とセックスを楽しみ、本やYouTubeで多くの人に恋愛や腟ケアを勧めている。まるで別人である。

今日は、なぜそんなことになったのかを、お話ししよう。

「セックスレス」が引き起こした体の異変

夫とセックスレスになったのは、35歳のころだった。そのまま共に暮らし、50歳を過ぎてから離婚したので、私は60歳になるまで、25年近くセックスをしていなかった。最初のころは寂しさもあったが、やがて、セックスがしたいとも恋人が欲しいとも思わなくなった。何年ものあいだ、「私には女性器なんてありません」という顔をして生きてきたのだ。

つまり、腟をほったらかしにしたのである。けれども、そのせいで、私は多くの病を抱えることになった。

月経痛は若いころからあった。だが、それが原因で日常生活に支障をきたすようになったのは40代半ばになったころ。女性ホルモンが急激に減少する更年期であった。その後、歳を重ねるごとに月経痛は苛烈になり、やがて排泄器官にも、無視できない問題が起きてきた。

月経痛や排泄の問題は、ある日、突然、起きたわけではない。徐々に、静かに進行していったのだ。そのため、それらの問題は私にとって異常事態ではなく、「いつものこと」になっていた。痛くても苦しくても病気とは思わず、「これは体質だから、耐えるしかない。受け入れるしかない」と思っていたのだ。そのせいで私は、閉経するまでの10年近くを、ただひたすら痛みや苦しみに耐えて暮らすことになった。

本当に愚かだった。けれどもこれは、私だけに起こったことではないだろう。