西荻窪の「旅の本屋のまど」で偶然手にとって購入した本です。すごくいい本。投資に関する本はこれまでにもいろいろと読みましたけど、この本は投資、というかお金そのものの本質を突いていると思いました。最近は、休日に街の小さな本屋さん、いわゆる「独立系書店」巡りをするようになったのですが、それは「本に呼ばれる」瞬間が楽しいからです。そして、この本にも呼ばれたのでした。
投資を単にお金を増やす方法とだけ捉えず、お金を社会に還流させ、よりよい未来を作るための行動と捉える。その意味では私が好きな「金は天下の回りもの」と同じ考え方だと思います。投資の結果、お金が増えたらそりゃうれしいけれど、なんなら増えなくてもいい。自分の行動で、より気持ちのよい方向に世界が動いていくのなら。そんなスタンスがすてきです。
著者のヤマザキOKコンピュータ氏は30歳代の「パンカー*1」だそうで、とてもお若い世代の方です。でも、パンカーを自称されるだけあって、そのバックボーンになっている文化は、むしろ私などがかつて憧れた1960年代のカウンターカルチャーに通じるものがあります。でも真正の(?)カウンターカルチャー世代だったら投資をこんなふうには捉えなかったかも。
そういう意味では、よりしなやかで肩肘張ってないカウンターカルチャーの体現者と言えるのかもしれません。かつてのカウンターカルチャーだって、そんなに肩肘張ってなかったぞって? いやあ、あくまで私が仰ぎ見た(カウンターカルチャー世代よりは年下なので)体験だけで語って申し訳ないですけど、けっこう「イデオロギッシュ」で窮屈だったような。それに比べるとヤマザキOKコンピュータ氏の力の抜け方はとても魅力的です*2。
それに文章がうまくて、にやっと笑える表現がそこここに。いろいろありますけど、たとえばこれ。
でも俺の知る限り、経済学はくそだ。少なくとも、科学や数学と肩を並べられるような学問ではない。ものすごい量の理論で武装した星占いみたいなものだと思っている。(60ページ)
わははは、たしかにそうですよね、未来予測なんてほとんど当てにならないという意味でも。氏は現在ポッドキャストを配信されているそうで、こちらも聞いてみようと思っています。
*1:パンカーってどういう意味ですか。 - Yahoo!知恵袋
*2:FIREもカウンターカルチャーに擬えられることがありますけど、アレとはまた全く違う生き方だと思います。