新世代トークアプリ「755」について僕が感じていること
755というアプリを知っているだろうか。
最近だとAKB48やE-girlsをCMに起用し、テレビで放映されているのでその存在くらいは知っている人も多いと思う。
今回はこのたびiOS,Android累計で250万ダウンロードを突破したというニュースを聞いて、再インストールしてみた僕が755について感じたことをまとめてみたいとおもう。
755はどんなアプリか
755とは芸能人と交流できるコミュニーケーションアプリである、と表向きは通っている。
表向きはというのがミソなのだが別に嘘ではない。
ただメインはそこではないということだ。
LINEと同じようなアプリじゃないの?と思っている方、それは全く違うので認識を変えたほうがいい。
順を追って説明しよう。
755でできることは主に以下の2つ。
- ①トークを作成する
- ②やじうまコメントをする
以上だ*1。
トークはLINEに似たチャットライクの全体公開掲示板で、やじうまコメントはそれに対してのコメントである。
勘違いしてはいけないのはトークのオーナーとやじうまコメントをする人はLINEなどのチャットと違い対等ではない。対等なチャットはできない。
LINEグループなどと違い、やじうまコメントははじめはメインのストリームに表示されない。
トークのオーナーに返信されたやじうまコメントだけがメインのストリームに表示される。
ニコ生で例えるととてもわかりやすい。
①トークを作成するは、配信する放送枠を作るであり、
②やじうまコメントをするは、その生放送にコメントする
とほぼ同義である。
いわば755はニコ生のテキスト版といえる。そういったほうが理解が早いだろう。
ここでは生主(生放送の配信者)とその囲い(生主のファン)の関係性が成り立つ。だからLINEとは全然違う。
芸能人とトークできるというのをこれと同様にニコ生で例えると、芸能人が専用の放送枠を持っておりその放送に対してコメントできるという感じだ。それだけ。
だからつまるところ芸能人とトークできるというのは755のトーク機能の使い方の一部である。
755のコミュニティが意味するもの
僕の趣味はコミュニティサイト(出会い系も含む)のウォッチングである。
特に情報感度の高い人ではない人々(以下、情強以外)がどこに集まり何をしているのか観察するのが好きだった。
そうしたサイトのウォッチングを始めたのは2008年頃からだが、主に流れとしては以下の様なものだ。
それぞれ説明すると、
①は無法地帯だ。この頃はメインはガラケーだ。
どのサイトにも掲示板もしくはコミュニティがあり、そこでは「暇人カモン」とか「トプ画採点」とか、あとはシンママやトラックの運ちゃんのコミュとかが繰り広げられていた。
当然のごとく彼氏募集や彼女募集のコミュニティがあり、中にはサイト内彼氏/彼女というコミュニティもあった。
それが①の時代。
ただ、2009年頃から出会い系サイト規制法の罰則が厳しくなり①のサイト内における規制が一気に厳しくなった。
加えてモバゲー・グリーに関してはゲーム事業にシフトし企業としての健全化を図っていた流れもあったのかそうしたコミュニティはすべて死んだ。野放しにされていた彼氏募集や彼女募集の掲示板がすべて潰されたのだ。
そこで彼らがどこへ向かったのかいうと②ハピメ・ワクワク・YYCの大手出会い系サイトだ。
コミュニティで彼氏・彼女募集をしていた層はこうした出会い系にやってきた。今ではいわゆる業者(素人に見せかけて出会う飲食やお水のプロ)と呼ばれる人が大半だけれども、その頃は普通の大学生や大人がいた。
では、かつて彼氏募集や彼女募集の掲示板にいた人は②に行ったけれどもその他のコミュニティの人々はどこに行ったのか。
暇人カモンと生放送をはじめたり、トラックの運ちゃんが車載放送をはじめたりした。
放送というのは敷居が高いのでそういう人は仕方なくTwitterをはじめた。ただ掲示板というコミュニティとは少し違う。若年層がTwitterに流れたのは確かだが、情強が多いTwitterではかつてのようなコミュニティは作られにくい。なのでTwitterは※にした。
では④LINE・カカオ・SkypeID交換掲示板などスマホ特化型アプリはなにかというとスマホ時代の出会い系サイトだ。
要は②の人々が④に移動してきた。
ユーザーにとって②の最大の障害は異性同士のメッセージのやりとりにお金がかかること。
②の出会いへの基本フローは掲示板やプロフィールでの呼び込み・アピールで異性を誘い、プライベートな2人だけのメッセージのやりとりに持っていくことだ。このメッセージでいかにお金をかけずにやりとりできるかが肝で皆無料ポイントを駆使していた。
だがLINE・カカオ・Skypeを使えば2人だけのメッセージにお金をかける必要がない。
じゃあ必要となるのは何かと言えば、掲示板やプロフィールでの呼び込み・アピールだけだ。
④ではお金がかからない。
だから④は便利だ。便利だから移ってきた。それだけ。
と、ここまで流れを説明すると気づかないだろうか。
そう、スマホ時代、出会い系以外のコミュニティが醸成できる場所がない。
それを担うのが755だ。
今、755には①の頃によく見た「顔採点する」とか「OO好き集まれ」などのコミュニティが大量にできている。
アクティブ率もかなり高いと見える。
755はかつて存在していたが行き場がなかったコミュニティをすべて抱え込もうとしている。
末恐ろしい。
755の未来
現在の755は出会い系サイトとしてとんでもないポテンシャルを持っている。
若年層の女性ユーザーが大量におり、そして彼女らとコミュニケーションがとれる。
男なんて勝手に集まるものだから、これだけで出会い系サイトのポテンシャルとしては十分。
ただ、まだ出会い系サイトとしては不完全だ。
なぜなら先程も書いたように2人だけのメッセージができない。
この状況で今755で何が起こっているかというと、LINE教えて!というやじうまコメントが女性のトークに大量に投稿されているということだ。
出会い系ユーザーは755をLINEのID交換掲示板のように使っている。
でもLINEのIDはなかなか教えてくれない。
なぜならLINEのIDは今や電話番号と変わらないからだ。
それだけ若年層には重要な個人情報になっている。
だからそれを公開のトークで晒せるわけがない。
となると、755内でプライベートメッセージもしくはプライベートトークがあれば良いのになーとなる。
そういうわけで、もしプライベートメッセージもしくはプライベートトークができるようになると755はスマホ時代の最強の出会い系アプリになるのは間違いない。
おそらくプライベートメッセージやプライベートトークを有料で提供すればたぶん儲かる。
だけどそれを実装してしまえばあっといまに出会い系男で溢れてしまいコミュニティが荒れる。
荒れたコミュニティからは若年層の女性が消える。
755が消える、という展開になりかねない。
僕は755にスマホ時代の情強以外のコミュニティとしてとても期待しているので、もし中の人がみているなら今のグレーな空気感を維持したままバナー広告やスタンプ・アバターなどでほそぼそと頑張って欲しいと思います。
こちらからは以上です。