”卑劣様”って本当に卑劣なのか教えてあげます
はいはい右です。
とっくの昔に完結した漫画ですが、”NARUTO”って皆さんご存じでしょうか。
ジャンプで看板だった作品です。
最近読み返してましてね。やっぱり面白いんです。
ネタ的な意味で。
作者の岸本斉史(以下岸影)が妙なボキャブラリーを発揮してシュールな”語録”、それに伴うコラ画像をたくさん生んだ作品としても有名です。
てかむしろコラ人気の方があったんじゃなかろうかというレベルでネタ的に人気があり、”シュールな笑い”、”シリアスな笑い”を極めた作品でもあると思います。
そんなNARUTOに一際凄い渾名で呼ばれているキャラクターが居ます。
二代目火影・千手扉間です。
この人はなんと”卑劣様”などという大変不名誉な渾名で呼ばれているのですが、何故扉間は卑劣様と呼ばれているのか、主人公サイドの人間なのに本当に卑劣なのかって話をしていきたいと思います。
目 次
【卑劣の始まり】
物語の無駄に長い最終章・忍界大戦編にて、口寄せ・穢土転生で復活した二代目土影・無の発言が事の発端です。
ちなみに”ムウ”と読みます。かわいい
「二代目火影の卑劣な術だ」
この台詞。
そもそも口寄せ・穢土転生は「生者を生贄に死者を蘇らせる」という人道から外れた卑劣忍術です。
この時点で大分卑劣な臭いがしますが、この台詞のせいでとある有名なコラ画像が作られてしまいます。
「囮役はもちろんオレ以外が行く・・・」
NARUTOを読んでなかった人も聞いた事があるのではないかと思われるこのフレーズ。
本来は部下の猿飛ヒルゼン(後の三代目火影)と志村ダンゾウを前に卑劣様自身が囮役を買って出るシリアスな場面です。
真剣な表情というか、さも当然かの表情で囮役を部下に押し付ける卑劣さ、老い先短い自分を過大評価した挙句部下に囮を押し付けるような卑劣漢が「これからも里を守っていく」と豪語するシュールさ、”火の意思”を”卑の意思”に読み替えるセンス等の理由が合わさった結果、この卑劣なコラ画像が界隈を超えて大ブレイク。
コラ職人が急増した結果、卑劣なコラ画像が大量生産される事になってしまい、すっかり卑劣様の印象は卑劣そのものになってしまいました。
このネタの何がシュールかというと、今まで出番は少なかったものの真面目な事しか言っていなかった卑劣様を無様の台詞だけで悪漢と決め付けて卑劣な事ばかりさせているという事。卑劣はどっちだ
作中の名言を卑劣に改悪したり、「とにかく”囮”って言わせとけばいい」みたいなヤケクソ感が多くのNARUTOユーザーのツボを刺激し、すっかり数あるNARUTOのコラ画像の中でも常連メンバーになってしまいました。
”卑劣”と”囮”は卑劣様の代名詞です。
でもこれ、当時のノリだったから笑えましたが今見返すと「囮役は勿論オレ以外が行く・・・」以外あんまり笑えませんね。
【大不評の穢土転生】
当然ながら非人道的な穢土転生は禁術とされており、作中の登場人物からも軒並み不評。
そもそもこの術の厄介なところが、「殺しても死なない」という点。
身体が塵芥で構成されており、首を撥ねても塵が集まってたちまち再生してしまうのです。
しかも忍界大戦では蘇った死者も無理矢理かつての教え子や戦友と戦わされているので死者、生者どちらからも罵詈雑言の嵐。
「穢土転生・・・この術は絶対に許せない・・・!」
「このエドテンとかいう術・・・気に食わねェ!」
「これは二代目火影の卑劣な術だ」
「死人まで利用するか・・・そんなヤローに利用されるとは・・・」
まぁ慣れ親しんだ者と無理矢理殺し合いをさせられるのは嫌過ぎるでしょう。
穢土転生を使用したカブトは敢えてある程度の意思を残す事で”楽しい殺し合い”をさせています。
ちなみに作中で初めて穢土転生が披露された木の葉崩し編では卑劣様の教え子であり、開発者が卑劣様である事を知っているはずの三代目火影が
「死者を愚弄しおって・・・時を弄ぶとろくなことにならんぞ」
と発言しており、幾ら恩師であってもこの術の存在には流石に思うところがあったようです。
ちなみにこの台詞、作った本人が居る目の前で言ってます。流石にどうかと思う。最初は卑劣様が作った設定じゃなかったんじゃないのとか言わない
【再登場】
読者が勝手に”卑劣な悪漢”としてでっち上げて来た卑劣様ですが、遂に作中でも再登場します。
兄の初代火影・千手柱間、かつて囮にした教え子の三代目火影、ナルトの実父である四代目火影と共に自身が作った卑劣な穢土転生で大蛇丸とかいう小僧(50歳)に復活させられてしまった卑劣様。
復活した場面ではサスケとしばし問答をするのですが、この際自分が卑劣とか呼ばれている事を知る由もない卑劣様はうちは一族の事を「悪に憑かれた一族」と評します。悪はお前だとか言わない
ここで卑劣様的に重要となるポイントが「穢土転生は精度を上げ過ぎると復活させた死人が自分でも御せない程強かった場合制御不能になる」という事を名言した点です。
卑劣様は既にこの場面で言っていたのです。
穢土転生の本来の使い方とは違うという事を・・・。
【問題発言】
復活した卑劣様は戦場へ参戦。
ボスキャラのオビトと対峙するのですが、戦闘中の台詞で物議を醸す事態に。
・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
ん?待て待て待て。
「己の体でやるのは初めてだが」と仰った?
人の体でやった事あるの????
そう、明らかになってしまったのです。
穢土転生の真の使い方が。
①適当に敵兵を殺す
②適当に敵兵を捕まえる
③捕まえた敵兵で殺した敵兵を適当に穢土転生する
④穢土転生した敵兵に適当にお手製の起爆札を仕込む
⑤適当に敵陣に突っ込ませて大爆発させる
これが穢土転生の真の使い方です。
「精度を上げてしまった事が仇となったな」と大蛇丸に言っていた卑劣様でしたが、要するに「爆薬に意思など不要」って事が言いたかったわけです。
「反逆するリスクを背負ってまで爆薬に意思を付けるのは非合理的だ」って事ですね。
卑劣様は卑劣呼ばわりされる以前にも合理主義者という設定はちゃんとあったのですが、ここまでやるかって感じですね。
確かにこんな卑劣な戦法を使ってくる輩を敵に回すのは非常に嫌でしょう。
死んだと思ったやつが帰って来た!めでたい!と思ったら爆発するわけです。
気が滅入るってレベルじゃねぇ。
しかも何回でも爆破出来るので大変省エネ。
まさに”合理主義”を突き詰め過ぎた卑劣な術。
卑劣様と鎬を削った無様が”卑劣”呼ばわりするのも頷けます。
あの台詞は単に穢土転生を罵倒してたわけではなく、本当に卑劣な術である事を身を以って知っていたからなのです。
無様からすれば「復活させられたのはいいけど何で爆薬にしないんだろう」とさえ思ったかもしれません。
卑劣様はネタでもなく冗談抜きで本当に洒落にならないレベルの卑劣だったのです。
こればかりは「本当に卑劣だった」と笑いはされましたが流石の読者もドン引き。
まさか卑劣様がこれ程の卑劣だったとは思わなかった。私もそうでした。
これ以上は無い程の公式からのお返事でした。
てかこの人多分互乗起爆札作ってからエドテン考えたよね。
絶対そうだと思うんですよ。
そもそも互乗起爆札自体、兄者程のマップ兵器になれない卑劣様が自分なりの高火力技を考えた結果なような気がするんですね。
「でもこれ自分や仲間が危険・・・」ってなって「せや、敵兵爆弾にしたろ!」になった結果だと思うんですよ。
マジキチかよ。
でも絶対そういう人だからこの人。
【卑劣忍法】
穢土転生+互乗起爆札のコンボは大変卑劣ですが、卑劣様の卑劣忍法はそれだけではありません。
”飛雷神”という術があります。
これはマーキングした場所に瞬間移動する(させる)というインチキも甚だしい術なのですが、これの開発者が卑劣様。
こいつがこんな術使うんだからまともな使い方じゃないのは想像に難くないと思いませんか?
そうですね、作中にそんな描写はありません。
ありませんがエドテン爆弾を敵陣にワープさせて爆破する所までは見えます。
しかも飛雷神マーキングは付けられると一生消えないというおまけ付き。
こいつにマーキングされた暁には夜も眠れないどころかもう国に帰れないでしょうね。
だって爆弾送り込まれるかもしれないんだから。当たり前ですよ。
卑劣様にマーキングされたらもう人権ありません。
【卑劣斬り】
そもそも飛雷神自体が瞬間移動技なので不意討ち、闇討ちに最適。
まさに卑劣様が好きそうな戦法ですが、本当にやりました。
”飛雷神斬り”
回想シーンでページを捲ると唐突に画像の術を披露。
食らったうちはイズナも「!!?」と腕をおっ広げた間抜けなポーズで通り魔されてる辺りどう見ても不意討ちです。
原作ではかなり唐突な卑劣切りでしたが、アニメでは防戦一方の卑劣様がヤケクソにクナイを投げまくったところ、「破れかぶれか・・・写輪眼を持たぬ不幸を呪うがいい」と慢心した瞬間にマーキング付きのクナイにワープして通り魔を行うという掘り下げがされていました。卑劣様の性格を考えれば防戦だったのも恐らく布石
いやね、これはイズナの自業自得ですよ。
だって相手はあの卑劣様なんですよ?
投げつけてくるもの全てに何が仕込まれているかわからんレベルの卑劣を前にしてクナイを避けた程度で安心するのは駄目でしょう。
しかも合理性の塊の卑劣様がヤケクソでクナイ投げて来るわけがない。
”卑の意思”に対して理解度が足りていないと言わざるを得ません。
当然ながらこのコマもネタにされました。
てかこのコラが出てくる前から、この回を見られた瞬間からこの技は”卑劣斬り”って呼ばれてました。
回想が終わった後も本編で卑劣切りを仕掛けるシーンがあるのですが、そちらは相手が相手だっただけに失敗に終わりました。
この時、卑劣斬りを仕掛けられたうちはマダラからは
「相手が勝利を確信タイミング・・・そこを狙うのがお前の常だった」
「ガキ共にやらせやはりお前は姑息な奴だ・・・扉間」
と言われており、やはり卑劣様が卑劣なのは戦った事がある相手からは周知の事実のようです。
【卑劣な水遁】
「水の無い所でこれ程の水遁を・・・」を暗部に言わせた事でも有名な卑劣様ですが、卑劣な水遁も勿論完備。
”天泣”
印も無しに唐突に口から噴出される無音の水針。
急所を狙い撃ちするそうです。まぁこいつならやるだろうなって感じの術
卑劣斬りに失敗し、マダラに敗北して押さえ付けられてからの会話中にいきなり使用しました。やはり卑劣・・・
「お前が出しゃばるべき幕じゃない!!」というカッコいい台詞と一緒に集中線付きでボロボロの卑劣様が口から唾水を飛ばしているコマはカルト的な人気があります。実際シュール過ぎて笑う
これも結局防がれるのですが、やはり卑劣様がどういう男なのかよく知っているマダラは相当警戒したらしく、スサノオの盾を出して「咄嗟に出来る最大限の防御」で対抗。
ただの含み針でここまで警戒されるってお前・・・。
ちなみに他のキャラが使う水遁は無駄に龍の形を象ったり滝の様な水を落としたりと無駄に派手なものばかりですが、卑劣様は殺傷力が高くてコストも低そうな水圧カッターを好んで使用します。
やっぱりこの人合理的なのブレないな・・・。
如何でしたでしょうか。
この人、間違いなく評判に違わない卑劣です。
でも卑劣様は結構良い所もかっこいい所も沢山あります。
ではでは。