はてなへの転職のご報告
4/1付けで、ryozo18は株式会社はてなに「チーフ・エコノミスト」として参加することとなりました。今後、日本のブログ界のより一層の発展を推進していくために、経済学的視点からはてなの事業戦略の立案・実行をサポートしていくこととなります。
中期的な役割としては、「内」と「外」の二つの側面での貢献を期待されていると考えております。
「内」方向での貢献
「外」方向での貢献
- ブログ界の健全な競争環境を整備するための環境整備
- 知的財産権に関する改善要望といったはてなの事業と密接な関係を持つ法制度の改善に向けた活動
- 上記以外でネットに限らない、不適切な規制・慣習等の改善・排除に向けた活動
これ以外にも様々な活動を行っていくことになるかと思います。一方で、短期的に最重要タスクとして期待されているものが「デムパ枠の開放」に関する活動です。
先ごろアメリカで、700MHz帯のオークションが行われましたが、その際にGoogleが導入を主張した「オープンアクセス条件」というものがあります。この「オープンアクセス条件」によって、今回無線通信事業者がオークションによって獲得した帯域にには次のような新たな「競争環境」が整備されることとなりました。
落札した電波で作るモバイル・ネットワーク(無線インフラ)には,そこで使う端末の仕様やアプリケーションに関して,いかなる拘束も課してはならない
オークションの結果だけを見るとGoogleは結局自前の帯域を落札することは出来ませんでしたが、Googleはオフィシャルブログで次のような勝利宣言を高らかに掲げました。
⇒Official Google Blog: The end of the FCC 700 MHz auction
一つはっきりとしていることがある。Googleは帯域ライセンスをなんら獲得しなかったが、このオークションはアメリカの消費者に大きな勝利をもたらした、ということだ
one thing is clear: although Google didn't pick up any spectrum licenses, the auction produced a major victory for American consumers
日本では「デムパ帯域」は2ちゃんねるなどの一部大手掲示板事業者による寡占が進行しており、それぞれの掲示板事業者によって、ギコナビやJaneのような専ブラといったアプリケーションから、コンテンツまでが垂直統合の形で提供されています。
さらに「痛いニュース」や「アルファルファ」といったまとめサイトによる二次的なサービスも2ちゃんねるによる暗黙のお墨付きといった業界慣習に縛られており、決してオープンで競争的な環境であるとは言いがたい状態になっています。
このような閉鎖的かつ非競争的な「デムパ帯域」の開放によって、株式会社はてなに限らず、他のブログ事業者に、そしてもっとも重要な点は日本の消費者に大きな利益をもたらすことが期待されます。
千島学説や水伝といったニセ科学や俺様経済学、歴史修正主義や嫌韓、嫌中といった様々な「デムパ」へのアクセスを広く開放することによって、日本のブログ市場で搾取されてきた生産者余剰を取り返すこと、そのための「デムパ帯域の開放」を広く訴えていくことが絶対に必要です。
この「デムパ帯域の開放」に向けて、経済学的な視点からベストな市場設計を行っていくことがryozo18の当面の最優先課題になります。
今後ともryozo18と株式会社はてなをよろしくお願いいたします。
取り急ぎご挨拶まで
最後までお読みいただきバーカバーカ