コークオペラハウスでクリスマスパント『シンデレラ』を見てきた。
とにかくお金のかかった豪華な演出のクリスマスパントでしょっぱなからビックリした。いきなりミセス・ダウトファイアそっくりのフェアリーゴッドマザー(フランク・マッキー演じるパントマイム・デイム)がシャボン玉とともに三日月みたいな台座に乗って天井から降りてきて、舞台の両側では火花まで出る。フェアリーゴッドマザーが杖を振ると火花が散るし、シンデレラ(ミーガン・ポティンガー)やフェアリーゴッドマザーが変身するところでは煙が出て一瞬で豪華な服装に早変わりする。一幕の最後ではかぼちゃの馬車に乗ったシンデレラが客席の上を飛ぶ。さすがオペラハウスは大規模なことができる…と感心した。
二幕の舞踏会は「マーダー・オン・ザ・ダンスフロア」にあわせておしゃれな貴族たちが踊りまくるところから始まり、けっこうダンスのクオリティも良くて非常にウケた。また、パントマイム・デイムがどちらもドラァグクイーンみたいな感じで私好みだった。フェアリーゴッドマザーはもちろん、継母メラニアはキラッキラのゴージャスなドレスを着て催眠術や黒魔術を使ってシンデレラを操ろうとする悪党である一方、面白おかしいことを言ったり、舞踏会ではフェアリーゴッドマザーとやりあったり、余興を準備したりする器用なところがある役柄で見ていて楽しい。
内容はわりとオーソドックスなシンデレラなのだが、ジョークは大人向けの尖ったものも多い。めちゃくちゃドナルド・トランプがバカにされており、シンデレラの継母の名前はメラニア(マイケル・グレネル)だし、どうもメラニアの亡き夫らしいトランプ(かぶり物で表現)が舞台に出てくるところではトランプが客席の子どもたちからさんざんブーイングされ、シンデレラにガラスの靴でぶん殴られて追い払われていた。王子様(ポール・ウィルキンズ)が出てくるところではシンデレラの親友であるボタンズ(ブライアン・オマリ)に「あれ、暴露本を書くためアメリカに移住したんじゃなかったですか?」とか言われて「いや、それはいとこのほうで…」と王子様が返すくだりがある。地元ネタもあり、今年閉店したコークの老舗フィッシュ&チップス店であるレノックスにオマージュを捧げる場面もあった。