「親愛なる兄貴への巻」(ジャンプ・コミックス92巻収録)

今回は、両さんの少年期を描いた、昭和30年代の回想話をお届けする。

とはいっても、本作の主役は両さんではなく、弟の金次郎だ。

金次郎は、東京都台東区千束にある佃煮屋「よろず屋」を営む両津銀次と妻・よねとの間に生まれた次男坊。スポーツは苦手だが勉強が得意な誠実かつマジメな努力家で、江戸っ子気質な性格ぞろいの両津家には珍しい存在だ。

趣味はハム無線や真空管ラジオいじりなど。小学生の頃に偶然出会った弁護士の青年に深い感銘を受けて弁護士をめざし、私立中学に入学して勉学に勤しんだ。そして今では、立派に自分の弁護士事務所を構えている。

そして、大企業の社長令嬢・景子との交際の末に結婚し(ジャンプ・コミックス78巻収録「兄として…!の巻」)、隅田川沿いの高層マンションを新居とし(ジャンプ・コミックス79巻収録「白鬚橋の思い出の巻」)、愛娘・京子を授かっている(ジャンプ・コミックス92巻収録「新しい生命の巻」)。

要するにこの金次郎、兄の両さんとは真逆のキャラクターとして設定されているのだ。金次郎自身も「兄を反面教師にした」と語っているのだから、間違いない。

万事にいい加減な兄に対して苦手意識を持っていてもおかしくないのだが、本作を読むと、金次郎が兄に抱く深い思いを知ることができる……。

それでは次のページから、金次郎が持つ思い出の品がいざなう、両津兄弟の絆の物語をお楽しみください!!