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平成12年病理学遺伝に関する講義概要(担当 梅澤)
以下は今年・昨年の講義をする際のまとめ
Single gene遺伝病の機序
1)酵素欠損症
i) フェニールケトン尿症 phenylalanine hydroxylase
ii) SCID adenosine deaminase
iii) α1-AT dificiency→肺気腫,肝線維症
iv) Lysosomal storage diseases
lysosomal acid hydrolaseが本来分解すべき巨大分子を処理しきれず細胞内に蓄積された状態
Wolman病
Tay-Sachs病
Niemann-Pick病
Gaucher病
Mucopolysaccharidose
構成単位二糖の繰り返し構造からなる巨大複合体
細胞外基質の主要構成成分:線維細胞,軟骨,平滑筋,骨など
コンドロイチン硫酸,デルマタン硫酸,ケラタン硫酸,ヘパラン硫酸
MPS I:Hurler病,MPS II:Hunter病
Mucolipidosis
I-cell disease
v) Glycogen storage diseases
Glycogen strage disease(糖原病)
肝型 (type I,von Gierke),筋肉型 (typeV, McArdle), 混合型 (type II, Pompe)
2)Receptorおよび輸送(transport)障害
家族性高コレステロール血症,LDL receptor
血漿リポ蛋白の処理障害,生産過剰
Friedrickson分類
Vitamine D 抵抗性くる病,Vitamin D receptor
3)構造蛋白の異常
Muscular dystrophy
dystrophin遺伝子
Marfan病
骨格異常(arachnodactly,側弯症etc),眼症状,心血管系
Fibrillin遺伝子
Osteogenesis imperfecta
collagen遺伝子の欠失
Ehlers-Danlos症候群
皮膚の過伸張,関節の過伸展,種々の病型
コラーゲン線維形成の産生異常,構造異常
4)細胞増殖制御因子遺伝子の異常
神経線維腫症,I型,II型
講義ノート(授業に使用するもので自分のために作製しました.多少まとまっていなかったり変な表現になっているのはそのせいです)
遺伝病
遺伝子病
遺伝子が関わる病気の分かりやすい捉え方
・染色体レベルのものと遺伝子レベルのものがある.
染色体のもの
1 欠損
2 増幅
3 トリソミー
4 転座
昔は形で分類していた.今でもしているが転座に関与する遺伝子を同定する.
原因そのものでみたほうが分かりやすい.
この1〜4までによって,なぜ,病気が起こるかを理解するのが今日と次の講義の目的!
遺伝子レベルのもの
1 欠損
2 変異
gain of function
loss of function
dominant negative
なぜ,病気になるのかを理解しましょう.
染色体の見方は...
患者からリンパ球をとってきて
培養して
分裂させて
metaphaseの核の写真をとって横1線にして大きいもの順にならべてみる.
G-band法.
phenotype(病気)とgenotype (遺伝子型)がリンクしているかを調べていく段階でこのような方法が生まれてきた!!
染色体を見ていこうぢゃないか.
テロメア.q:長腕,セントロメア,p:短腕(petiteのp), テロメア
染色体レベルの相互転座で癒合して新しい遺伝子ができてしまったりする.相互転座の結果で生じる癌化にはふたつのタイプがあります.
例)Ewing 肉腫では染色体の11番と22番が癒合して新しい分子(キメラ分子,キメラ遺伝子)ができてしまったタイプ.EWS-Fli1はそういったものです.EWSは,mRNA結合蛋白質でしてFli1はエッツファミリーの癌遺伝子です.
例)バーキットリンパ腫では,エンハンサーと癌遺伝子がくっついて,癌遺伝子の発現が非常に多く発現してしまう場合です.2番と8番の間で転座が生じます.エンハンサーは免疫グロブリンのエンハンサーでリンパ球系では大変活発に働きます.
欠失:そこらへんに乗っていた1000bpくらいの遺伝子が全部とんでしまったもの.欠失すると病気がひどすぎて胎児期にしんでしまうものも多い.例としては極めて大きな欠失ではあるが,5番の短腕の欠失では猫鳴き症候群が生じる.
Isomair: 生まれてこない.
inversion: 私の友達はこれだが,何の支障もない.
増幅:一つの例がトリソミー.
ダウン症候群とかモンゴリアン症候群とか言われている.(1/800)
顔はひらべったい.
首回りぼってり.
知能発達低下
ひとがいい.
急性リンパ球性白血病になりやすい.(30〜40歳くらいまで)
心奇形
筋緊張低下
猿線
消化管(腸)奇形
21番染色体が三つになってしまったためにおこる.遺伝子の発現が1.5倍になるわけである.21番には2000個の遺伝子があるから,それによっていろいろな症状がでるのであろう.必ずも21番染色体が全部が三つになっているわけではない.
増幅している部位によって症状がわかれてくるのかしら.きっとそうにちがいない.
例)エッツ-2, 白血病の原因遺伝子ですけど.転写因子です.転写因子とはDNAに結合して遺伝子を出せと命令するもの.この遺伝子をネズミに導入してあげたら,ネズミの顔がモンゴリアンになった.本当かよ.
30歳以上でこどもを産むと5%の子はトリソミー.年齢高くなるとトリソミーの割合が増えてくる.
常染色体優性遺伝
遺伝の形式の一つですけど本当にこれが遺伝子の変異の優劣とリンクしているかどうかはわからない.
ハンチントン舞踏病
原因遺伝子 ハッチンチン トリプレットの数が増える.
triplet repeat diseaseです.
筋ディストロフィー ディストロフィン
家族性大腸ポリポーシス APC
マルファン症候群
遺伝形式の優性劣性があるとの同じように遺伝子にも優性劣性があります.ですのでこの表現型での優劣と遺伝子の機能の上での優劣を区別しましょうね.
表現型;優性
メンデルの法則にしたがう.
遺伝子形質:遺伝子における「優性」
ラス(protooncogene) 遺伝子から見た優性
変異が加わると活性型のラスになる.活性型のラスはシグナル伝達がオンになりぱなし.gain of function mutationであり,この変異が癌化の引き金になる.
ですので優性の変異の場合は一個のアリールが変異すると発病し,劣性の場合は2つのアリールが変異すると発病する.
Rb(tumor suppressor gene) 遺伝子から見た劣性の例
このRbの変異はloss of function型の変異であり二つのアリールが変異しないと癌にならない.
ラス:gain of function型の場合は一つのラスが活性型になっても癌化してしまう.優性というわけです.
Rbの場合はいっこがダメになってももう一個がのこっているので癌化しない.ですので劣性というわけです.
dominant negativeタイプ
片方のアリールの変異によりもう一方の(もう片方)アリールの産物が押さえ込まれてしまった場合,これをdominant negativeといいます.
例としては病気ではしらないけど,エッツのDNA結合領域だけで転写活性化部位がないものはdominant negative typeの変異です.
fragile X syndrome
これもトリプレットリピート病です.性染色体劣性の変異を起こし,遺伝子レベルでも劣性の変化を示します.
遺伝子の転写調節領域のトリプレットが増える病気です.この変異は母から子供になる過程で生じるようです.配偶子が形成される過程で起きると考えら れるものです.正常ではこのCCGのトリプレットが50個以下ですが,患者さんではなんと200以上に増えてしまいます.遺伝子の名前はFMRとよばれ, 遺伝子の修復をする分子です.CCGが200以上になるとプロモーターが全てメチル化して,脳や精巣でFMRがでなくなる.すなわち,頭が弱くなったり, 精巣が大きくなったりします.日本人に多く見られます.
配偶子形成の時に,トリプレットが増えてしまい,プロモーターがメチル化してしまい,FMRがでなくなる.アリール二つともこうなるとFMRがなくなって(発現しないことで)発病というわけです.
増幅の例:神経芽腫では,n-mycがたくさんにふえて,その発現量が多くなる.それにしたがって,予後も悪くなる.遺伝子の増幅の程度が悪ければ,その腫瘍にもった患者さんの予後が悪くなると言うことです.
変異の種類
wild type 正常
ミスセンス loss of function
ナンセンスとかフレームシフト:蛋白合成ストップして機能しない.
tel at work 03-3353-1211 ext 2677
e-mail: au@med.keio.ac.jp
<平成12年病理学遺伝に関する試験(担当 梅澤)について>
講義でも申し上げたように以下の事項について,理解してください.
○,×の試験です.
germ line mutation,somatic cell mutation (体細胞変異),モザイクの言葉の意味について問います.
糖原病(von Gierke病, Pompe病),ムコ多糖症(Hunter病,Hurler病),スフィンゴリピド症(Niemann-Pick病,Gaucher病)の基本的な事項(欠損酵素)について問います(講義の時に渡したプリントのみ).
遺伝病に関連したデータベースとしてOMIM (Online mendelian Inheritance in Man)について問います.
染色体異常(Down症候群, Turner症候群)について,基本的事項について問います.
平成11年度追再試問題
以下の記述について正しいものに○,間違っているものを×をつけよ.20 点満点とし,不正解に対して1点減点していく.なお,減点され,マイナスとなってしまった場合も最低点は0点とする.
1. 「遺伝子量(gene dosage)」とは,正常なコピー数のことを言う.バーキット・リンパ腫では,N-mycのコピー数の増大がある.
答え:×.神経芽種ではN-mycの遺伝子量に変化がある.バーキットリンパ腫は,c-mycに転座がある.
2.ゲノム・インプリンティングとは,個々の細胞が父方,母方の両方の遺伝子をほぼ同じ程度に発現する機構を指す.
答え:×.父か母のいずれか一方のみの対立遺伝子を発現させるようになるメカニズムをさす.
3.キメラとは,「1個の接合子に由来する遺伝的に異なる細胞系列を複数有する個体」をさす.
答え:×・モザイクがそれ.キメラとは,複数の接合子から構成される生物(人)をさす.
4.機能獲得性突然変異(gain of function mutation)とは,「ある遺伝子の本来の表現型が失われる」ことをさす.
答え:×.gain of function mutationとは,ある遺伝子の本来の表現型とは異なる別の表現型を生み出す変異をさす.
5.体細胞分裂(mitosis)とは,精子細胞や卵細胞といった半数体が生み出される細胞分裂をさす.
答え:×.減数分裂(meiosis)です.
6.浸透率とは,「保因者の遺伝子型が次世代に伝わる率」をいう.
答え:×.浸透率(penetrance)とは,遺伝子またはその組み合わせがその保因者に表現型として現れる頻度をさす.
7.多型(polymorphism)とは,一般に表現型のことを言う(例:single nucleotide polymorphism).
答え:×.集団中に一定以上の頻度で複数の対立遺伝子が存在する状態をさす.
8 germ line mutationとは,体の一部の細胞で遺伝子の変異が生じることを指す.
9. 腫瘍での変異は,主にgerm line mutation であり,somatic cell mutation (体細胞変異)ではない.
10. 体細胞変異を検索するためには,主に患者さんのリンパ球のDNA の検討する.
11. 遺伝病とは胚細胞の遺伝子に変異が生じ,次世代にその形質が保たれることと考えられる.
12. 体細胞の遺伝子に変異が生じた場合は,遺伝しないので遺伝子に変異は生じるが遺伝病とはいえない.
13.モザイクとは,体を構成する細胞が2種類以上の遺伝的に異なる細胞系列が生じることを指す.
14. ハンチントン舞踏病,家族性大腸ポリポーシス,マルファン症候群の遺伝形式は常染色体優性遺伝として考えられている.しかし,これが原因遺伝子の変異が優性・劣性とリンクしているかどうかはよく分からない.
15. 網膜芽腫の原因遺伝子と知られ,腫瘍抑制 遺伝子であるRb遺伝子の変異は劣性であり,両方のアリールに変異を起こしたとき,腫瘍を生じる.基本的に腫瘍は変異が体細胞に生じるので遺伝病と考えられていないが,網膜芽腫の場合は,原因遺伝子の変異が子供に遺伝するので遺伝病と考えて良い.
16. von Gierke病は,glucose-6-phosphataseの欠損により生じる.
17. von Gierke病では,糖原の蓄積により肝,腎の腫大をきたす.
18. Pompe病ではacid maltase(α-1,4-glucosidase)が欠損する.
19. Pompe病では糖原が肝だけでなく心筋に蓄積し,心肥大がみられる.
20. ムコ多糖症の代表的疾患として,Hunter病,Hurler病がある.
21. ムコ多糖症では,ムコ多糖の沈着により骨格の異常を伴う.
22. スフィンゴリピド症の多くは,ライソゾーム酵素の欠損による.
23. スフィンゴリピド症の多くは,中枢神経系に脂質の蓄積をきたす.
24. Niemann-Pick病は,sphingomyelinaseの欠損により生じる.
25. Niemann-Pick病ではsphingomyelinとcholesterolが網内系臓器に蓄積すため網内系の細胞の泡沫化が見られる.
26. Gaucher病はglucocerebrosidaseの欠損により生じる
27. Gaucher病では,いわゆるGaucher細胞(腫大したマクロファージ)が脾,肝,骨などの網内系臓器に見られ,glucocerebrosideが蓄積する.
28. 遺伝病に関連したデータベースとしてOMIM (Online mendelian Inheritance in Man)がある.このデータベースでは各種の遺伝病やその原因となる遺伝子の変異についての情報がある.
29. Triplet repeat diseaseは,構造遺伝子またはその転写調節領域にみられるCAGやCCGのtriplet配列が増幅することで生じる.その代表的な疾患としては,ハンチントン病,Machado-Joseph病,fragile X syndromeがある.
30. ヒト染色体21番のトリソミーはDown症候群と呼ばれ,患者は独特の顔貌をもつ.また,精薄,指の奇形,性器発育不全を伴う.成人になってから,急性白血病を発症することがある.
31. ヒト性染色体が一本のX染色体のみ(XO)の患者は Turner症候群と呼ばれ,外観は女性で身長発育不良,性器発育不全,翼状頚を有する.
32. 腫瘍で遺伝子の異常として点突然変異,欠失(欠損),増幅,転座がしばしば認められる.
平成10年病理学遺伝に関する試験(担当 梅澤)
以下の記述について正しいものに○,間違っているものを×をつけよ.20 点満点とし,不正解に対して1点減点していく.なお,減点され,マイナスとなってしまった場合も最低点は0点とする.
1. 「遺伝子量(gene dosage)」とは,正常なコピー数のことを言う.バーキット・リンパ腫では,N-mycのコピー数の増大がある.
答え:×.神経芽種ではN-mycの遺伝子量に変化がある.バーキットリンパ腫は,c-mycに点座がある.
2.ゲノム・インプリンティングとは,個々の細胞が父方,母方の両方の遺伝子をほぼ同じ程度に発現する機構を指す.
答え:×.父か母のいずれか一方のみの対立遺伝子を発現させるようになるメカニズムをさす.
3.キメラとは,「1個の接合子に由来する遺伝的に異なる細胞系列を複数有する個体」をさす.
答え:×・モザイクがそれ.キメラとは,複数の接合子から構成される生物(人)をさす.
4.機能獲得性突然変異(gain of function mutation)とは,「ある遺伝子の本来の表現型が失われる」ことをさす.
答え:×.gain of function mutationとは,ある遺伝子の本来の表現型とは異なる別の表現型を生み出す変異をさす.
5.体細胞分裂(mitosis)とは,精子細胞や卵細胞といった半数体が生み出される細胞分裂をさす.
答え:×.減数分裂(meiosis)です.
6.浸透率とは,「保因者の遺伝子型が次世代に伝わる率」をいう.
答え:×.浸透率(penetrance)とは,遺伝子またはその組み合わせがその保因者に表現型として現れる頻度をさす.
7.多型(polymorphism)とは,一般に表現型のことを言う(例:single nucleotide polymorphism).
答え:×.集団中に一定以上の頻度で複数の対立遺伝子が存在する状態をさす.
8 germ line mutationとは,体の一部の細胞で遺伝子の変異が生じることを指す.
9. 腫瘍での変異は,主にgerm line mutation であり,somatic cell mutation (体細胞変異)ではない.
10. 体細胞変異を検索するためには,主に患者さんのリンパ球のDNA の検討する.
11. 遺伝病とは胚細胞の遺伝子に変異が生じ,次世代にその形質が保たれることと考えられる.
12. 体細胞の遺伝子に変異が生じた場合は,遺伝しないので遺伝子に変異は生じるが遺伝病とはいえない.
13.モザイクとは,体を構成する細胞が2種類以上の遺伝的に異なる細胞系列が生じることを指す.
14. ハンチントン舞踏病,家族性大腸ポリポーシス,マルファン症候群の遺伝形式は常染色体優性遺伝として考えられている.しかし,これが原因遺伝子の変異が優性・劣性とリンクしているかどうかはよく分からない.
15. 網膜芽腫の原因遺伝子と知られ,腫瘍抑制 遺伝子であるRb遺伝子の変異は劣性であり,両方のアリールに変異を起こしたとき,腫瘍を生じる.基本的に腫瘍は変異が体細胞に生じるので遺伝病と考えられていないが,網膜芽腫の場合は,原因遺伝子の変異が子供に遺伝するので遺伝病と考えて良い.
16. von Gierke病は,glucose-6-phosphataseの欠損により生じる.
17. von Gierke病では,糖原の蓄積により肝,腎の腫大をきたす.
18. Pompe病ではacid maltase(α-1,4-glucosidase)が欠損する.
19. Pompe病では糖原が肝だけでなく心筋に蓄積し,心肥大がみられる.
20. ムコ多糖症の代表的疾患として,Hunter病,Hurler病がある.
21. ムコ多糖症では,ムコ多糖の沈着により骨格の異常を伴う.
22. スフィンゴリピド症の多くは,ライソゾーム酵素の欠損による.
23. スフィンゴリピド症の多くは,中枢神経系に脂質の蓄積をきたす.
24. Niemann-Pick病は,sphingomyelinaseの欠損により生じる.
25. Niemann-Pick病ではsphingomyelinとcholesterolが網内系臓器に蓄積すため網内系の細胞の泡沫化が見られる.
26. Gaucher病はglucocerebrosidaseの欠損により生じる
27. Gaucher病では,いわゆるGaucher細胞(腫大したマクロファージ)が脾,肝,骨などの網内系臓器に見られ,glucocerebrosideが蓄積する.
28. 遺伝病に関連したデータベースとしてOMIM (Online mendelian Inheritance in Man)がある.このデータベースでは各種の遺伝病やその原因となる遺伝子の変異についての情報がある.
29. Triplet repeat diseaseは,構造遺伝子またはその転写調節領域にみられるCAGやCCGのtriplet配列が増幅することで生じる.その代表的な疾患としては,ハンチントン病,Machado-Joseph病,fragile X syndromeがある.
30. ヒト染色体21番のトリソミーはDown症候群と呼ばれ,患者は独特の顔貌をもつ.また,精薄,指の奇形,性器発育不全を伴う.成人になってから,急性白血病を発症することがある.
31. ヒト性染色体が一本のX染色体のみ(XO)の患者は Turner症候群と呼ばれ,外観は女性で身長発育不良,性器発育不全,翼状頚を有する.
32. 腫瘍で遺伝子の異常として点突然変異,欠失(欠損),増幅,転座がしばしば認められる.
解答
誤りは1-9です.正しいのは10-32です.
平成9年病理学遺伝に関する試験(担当 梅澤)
遺伝病の治療について例をあげてお書き下さい(倫理的なことはこの問いについては無視して結構です).できれば授業中にもお伝えしましたが,独創的なものを期待してます(5点).
以下の記述について正しいものに○,間違っているものを×をつけよ.15 点満点とし,不正解に対して1点減点していく.なお,減点され,マイナスとなってしまった場合も最低点は0点とする.
1. ハンチントン舞踏病,家族性大腸ポリポーシス,マルファン症候群の遺伝形式は常染色体優性遺伝として考えられている.しかし,これが原因遺伝子の変異が優性・劣性とリンクしているかどうかはよく分からない.
2. 網膜芽腫の原因遺伝子と知られ,腫瘍抑制 遺伝子であるRb遺伝子の変異は劣性であり,両方のアリールに変異を起こしたとき,腫瘍を生じる.基本的に腫瘍は変異が体細胞に生じるので遺伝病と考えられていないが,網膜芽腫の場合は,原因遺伝子の変異が子供に遺伝するので遺伝病と考えて良い.
3. 糖原病の頻度としては,von Gierke病,Pompe病の頻度が高い.
4. von Gierke病は,glucose-6-phosphataseの欠損により生じる.
5. von Gierke病では,糖原の蓄積により肝,腎の腫大をきたす.
6. Pompe病ではacid maltase(α-1,4-glucosidase)が欠損する.
7. Pompe病では糖原が肝だけでなく心筋に蓄積し,心肥大がみられる.
8. ムコ多糖症の代表的疾患として,Hunter病,Hurler病がある.
9. ムコ多糖症では,ムコ多糖の沈着により骨格の異常を伴う.
10. スフィンゴリピド症の多くは,ライソゾーム酵素の欠損による.
11. スフィンゴリピド症の多くは,中枢神経系に脂質の蓄積をきたす.
12. Niemann-Pick病は,sphingomyelinaseの欠損により生じる.
13. Niemann-Pick病ではsphingomyelinとcholesterolが網内系臓器に蓄積すため網内系の細胞の泡沫化が見られる.
14. Gaucher病はglucocerebrosidaseの欠損により生じる
15. Gaucher病では,いわゆるGaucher細胞(腫大したマクロファージ)が脾,肝,骨などの網内系臓器に見られ,glucocerebrosideが蓄積する.
16. 遺伝病とは胚細胞の遺伝子に変異が生じ,次世代にその形質が保たれることと考えられる.
17. 体細胞の遺伝子に変異が生じた場合は,遺伝しないので遺伝子に変異は生じるが遺伝病とはいえない.
18. 遺伝病に関連したデータベースとしてOMIM (Online mendelian Inheritance in Man)がある.このデータベースでは各種の遺伝病やその原因となる遺伝子の変異についての情報がある.
19. Triplet repeat diseaseは,構造遺伝子またはその転写調節領域にみられるCAGやCCGのtriplet配列が増幅することで生じる.その代表的な疾患としては,ハンチントン病,Machado-Joseph病,fragile X syndromeがある.
20. ヒト染色体21番のトリソミーはDown症候群と呼ばれ,患者は独特の顔貌をもつ.また,精薄,指の奇形,性器発育不全を伴う.成人になってから,急性白血病を発症することがある.
21. ヒト性染色体が一本のX染色体のみ(XO)の患者は Turner症候群と呼ばれ,外観は女性で身長発育不良,性器発育不全,翼状頚を有する.
22. 腫瘍で遺伝子の異常として点突然変異,欠失(欠損),増幅,転座がしばしば認められる.
平成8年病理学遺伝に関する試験(担当 梅澤)
以下の記述について正しいものに○,間違っているものを×をつけよ.
糖原病の頻度としては,von Gierke病,Pompe病の頻度が高い.
von Gierke病は,glucose-6-phosphataseの欠損により生じる.
von Gierke病では,糖原の蓄積により肝,腎の腫大をきたす.
Pompe病ではacid maltase(α-1,4-glucosidase)が欠損する.
Pompe病では糖原が肝だけでなく心筋に蓄積し,心肥大がみられる.
ムコ多糖症の代表的疾患として,Hunter病,Hurler病がある.
ムコ多糖症では,ムコ多糖の沈着により骨格の異常を伴う.
スフィンゴリピド症の多くは,ライソゾーム酵素の欠損による.
スフィンゴリピド症の多くは,中枢神経系に脂質の蓄積をきたす.
Niemann-Pick病は,sphingomyelinaseの欠損により生じる.
Niemann-Pick病ではsphingomyelinとcholesterolが網内系臓器に蓄積すため網内系の 細胞の泡沫化が見られる.
Gaucher病はglucocerebrosidaseの欠損により生じる
Gaucher病では,いわゆるGaucher細胞(腫大したマクロファージ)が脾,肝,骨髄な どの網内系臓器に見られ,glucocerebrosideが蓄積する.
遺伝病とは胚細胞の遺伝子に変異が生じ,次世代にその形質が保たれることと考えら れる.
体細胞の遺伝子に変異が生じた場合は,遺伝しないので遺伝子に変異は生じるが遺伝 病とはいえない.
遺伝病に関連したデータベースとしてOMIM (Online mendelian Inheritance in Man) がある.このデータベースでは各種の遺伝病やその原因となる遺伝子の変異について の情報がある.
Triplet repeat diseaseは,構造遺伝子またはその転写調節領域にみられるCAGやCCG のtriplet配列が増幅することで生じる.その代表的な疾患としては,ハンチントン 病,Machado-Joseph病,fragile X syndromeがある.
ヒト染色体21番のトリソミーはDown症候群と呼ばれ,患者は独特の顔貌をもつ.また ,精薄,指の奇形,性器発育不全を伴う.成人になってから,急性白血病を発症する ことがある.
ヒト性染色体が一本のX染色体のみ(XO)の患者は Turner症候群と呼ばれ,外観は女性 で身長発育不良,性器発育不全,翼状頚を有する.
腫瘍で遺伝子の異常として点突然変異,欠失(欠損),増幅,転座がしばしば認められる.
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