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"ご教示"と"ご教授"の使い分け。意味の違い&例文とは|ビジネス敬語ガイド

長谷川大輔 2023.10.01
教えるという意味を持つ敬語、ご教示とご教授。先輩・上司に使う言葉として知られていますが、実は、意味の違いのある敬語になります。今回は、ご教示とご教授の使い分けとして、意味から正しい使い方、分かりやすい例文まで解説。敬語のレベルを高めましょう!

「ご教示とご教授」の意味とは?

ご教示の意味とは?

ご教示の意味とは?

「ご教示」とは、物事を教えてもらいたいことを意味する敬語表現です。ビジネスのシーンでも、「ご教示ください」というような使い方で、上司などの目上のかたに、仕事などのやり方について尋ねたいときにこの表現を用います。

「教える」と「示す」という漢字の通り、教え示してもらいたいという意図を伝えますから、今直面している作業などでわからないポイントがある場合などに、端的にその部分を知りたいというシチュエーションにぴったり当てはまる表現となります

どっちかというと、話し言葉というよりメールなどでの書き言葉での使い方が多くなるフレーズです。

【参考記事】「ご教示」の正しい使い方を例文付きで解説


ご教授の意味とは?

「ご教授」の意味とは?

「ご教授」とは、物事を教えてもらいたいことを意味する敬語

この「ご教授」もビジネスシーンで「ご教授ください」という言い方で、その道のプロフェッショナルに、心得などを教わりたいというときに使う表現です。

「教える」と「授かる」という漢字がこのフレーズには含まれており、端的に直近の不明点を教えてもらうというよりは、もっと大きな範囲での仕事のとらえ方や取り組み方なども含んだ全体を伝授してほしいという思いを伝えます

「ご教授」という表現もどっちかといえば、メールなどでの書き言葉としての使い方が多いです。

【参考記事】「ご教授」の正しい使い方を例文付きで解説


「ご教示とご教授」の違いとは?

「ご教授」と「ご教示」との違いとは?

「ご教示」と「ご教授」は、どっちも上司などの目上のかたに使える表現で、メールや手紙などの書き言葉で主に用いられるフレーズという点ではどちらもとても似ている言葉です。

目上の方への表現ですから、しっかりと意味を把握して、正しく使い分けたいですよね。使い分けのポイントは、「ご教示」は、短いスパンでの教えをお願いすることにより重点があるということです。

それに対し、「ご教授」は、もっと長いスパンで教えてもらいたいという願いを伝えることになります。それぞれ、お願いしたい範囲に違いがあるので、しっかり使い分けできるようにしましょう。


「ご教示」の正しい使い方とは?

取り急ぎご連絡までの注意点

「ご教示」という敬語表現は、ビジネスシーンでよく使われます

例文のシチュエーションとしては、社内で割り当てられた仕事に取り組んでいる部下が自分の上司に対して、今ぶつかっている問題を解決するために、その経験に基づくやり方などのノウハウを教えてもらいたいという際の使い方がメインです。

あるいは、目上のかたとの打ち合わせの日程を決めるのに、先方の空いている予定を教えてもらいたいというケースでも「ご教示」というフレーズがよく合います。


「ご教示」を使った丁寧な例文

  • 行政への書類の提出の段取りについて、お手すきの際にご教示くださいますようお願いします。
  • 書類の記入方法についてご教示のほどをお願いいたします。
  • 打ち合わせの日程についてご教示いただければ幸いです。
  • レクチャー会の参加予定人数についてご教示いただけると助かります。
  • 見積もりの選定手順についてご教示ください。
  • 詳細事項を差支えのない範囲でご教示ください。

ビジネスの中で、上司や他の目上のかたに、物事の扱い方を教えてもらうということは、日常茶飯事です

教えてほしいということを丁寧に伝えられる敬語表現をたくさんマスターしておくと、いざ教えてもらいたいというときに、余裕を持って尋ねたりすることができるようになることでしょう。

直接話して依頼する以外にも、この「ご教示」というフレーズを用いたメールなどでお礼をしたりすることによって、ビジネスマナーがあることを示せます。


「ご教授」の正しい使い方とは?

ご教授の正しい使い方

「ご教授」というフレーズもビジネスシーンで有効に活用することができる敬語の表現です

ロールモデルとしている上司などに、その仕事ぶりの秘訣などをじっくりと教えてもらいたいというようなときに、「ご教授」という言葉はよくマッチします。

例文のシチュエーションとしては、新しく配属されたチームや部署などの上司に対しての挨拶を述べるというときにも、「ご教授」してもらいたいと伝えることで、チーム内で好意をもって扱ってほしいという意図をよく伝えることができます。


「ご教授」の丁寧な例文

  • 営業でのセールス技術をぜひご教授ください。
  • 部長の下に新しく配属されることになりました。これから、ご教授のほどをお願いいたします。
  • プレゼン資料を送りました。お気づきになられた点について、どんなことでもご教授くださいますようお願いいたします。
  • これまで4年間、ご教授いただき、ありがとうございます
  • 今後とも先生からご教授いただければ幸いです。
  • 営業の心得についてご教授いただけると助かります。

長いスパンでの教えをお願いしたい相手への言葉としての使い方ができる「ご教授」ですから、節目でのあいさつなどでもよく使われるフレーズです。メールなどでこれまで教えていただいたことに対するお礼を記しましょう

前後のフレーズも丁寧さをたくさん表現できる言葉を含めて、全体的にも最大限の感謝と敬意が伝わるようにすることも大切です。


「ご教示」と「ご教授」と言い換えできる類語一覧

ご教示とご教授の類語① ご指導ご鞭撻

ご教授くださいの類語 ご指導ご鞭撻の意味とは

ご指導、ご教授の類語として、よく使われるのがご指導ご鞭撻という表現。「ご教示」や「ご教授」との違いは、同じような堅い言い回しでありながら、スピーチなどで用いる慣用的な表現としての使い方がされていることです。

漢字にもあらわれているとおり、指導や教育をすること、「鞭撻」が意味する教え手として励ますことを自分に施してほしいということを敬意をこめて伝える表現です。どっちかというと、「ご教授」のような長いスパンでの教えを意図する言葉として使われます。

「ご指導ご鞭撻」の使い方

  • この部署に新しく配属されました。ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。
  • まだ一人前とは言えませんが、ご指導ご鞭撻をお願いいたします。
  • 御社の担当となりました。どうぞ末永くご指導ご鞭撻のほどをお願いいたします。

ご教示とご教授の類語② お教えいただく

ご教授とご教示の類語 お教えいただくの意味とは

「お教えいただく」という類語表現もよくビジネスシーンで使えるフレーズです。ご教示ともご教授ともほぼ同じ程度の敬語で、同じタイミングで使えます。

教える側が、こころよく教えるようにするためには、教えてもらう側の敬意が不可欠です。丁寧に教えを願うさまざまな表現を使い分けることで、いろんなシーンで教えてもらえるようになりましょう。

「教えていただく」は、直接的な表現で、「教えてもらう」をより丁寧にしたフレーズです。「教えてくれませんか」より、「お教えいただけませんか」とすることによって、こちらがへりくだって依頼をしているニュアンスをより表現できます。

「お教えいただく」の使い方

  • お手すきの際に、書類の記入方法について、お教えいただくことは可能でしょうか。
  • お礼状の送付先リストに含めるべきかどうかお教えいただけますでしょうか。
  • 先生にお教えいただいたおかげで、独立することができました。

ご教示とご教授の類語③ ご教導

ご教示とご教授の類語 ご教導の意味とは

「ご教導」という類語表現も類語として定着しています。漢字のごとく、教え導いてもらうということを丁寧に言いあらわした敬語です。「ご教示」や「ご教授」より、もっと大きな範囲の教えをお願いするときに用い、頻繁に使うワードではありません。

ひとりの人を教えるということよりも、もっと大きな組織、たとえば国や企業などの基礎を築くなどのとても大きな範囲の指導についても含むことができる表現です。

また、学問や宗教思想などの大きな理念を形作ったりするというケースにも使われます。このフレーズを自分個人に教えてくれたということに対するお礼として述べることによって、とても大きな感謝の念を持っていることを表現することも可能です。

「ご教導」の使い方

  • 未熟なわたしを、ここまでご教導くださったことを心から感謝しています。このご恩は一生忘れません。
  • ふつつか者ですが、なにとぞご教導をお願い申し上げます。
  • 会長のご教導の賜物として、この会社の繁栄を享受している。

ご教示とご教授の類語④ ご指南

ご教授とご教示の類語 ご指南の意味とは

「ご指南」という「ご教示」や「ご教授」の敬語表現も類語として使えるフレーズです。古代中国で戦争に用いられた、コンパスの役割を果たす器具が常に「南」を「指」して、方角を正確に教える故事に由来します。

それがよい導きとなっていたことから、物事を教え導くということを「指南する」と表現するようになりました。「ご教示」との使い方に違いはなく、同じようなタイミングで使える表現です。

方角を教えるように、今すぐに必要な知識を教えることも含みますし、もっと長いスパンでの技を習得するという意味でも使われます。

「ご指南」の使い方

  • チームの営業方針についてのご指南をお願いいたします。
  • 業務内容の引継ぎの方法についてのご指南をお願い申し上げます。
  • 就職活動の極意について、ご指南くださり、まことにありがとうございました。

ご教示とご教授の類語⑤ ご鞭撻のほど

ご教示とご教授の類語 ご鞭撻の意味とは?

「ご鞭撻のほど」というフレーズも教えてもらいたいことがあるケースでよく用いられる敬語のニュアンスを含んだ表現です

ビジネスシーンでも、上司や先輩に教えてもらうことが高頻度で生じますから、よく使い分けできるようにしましょう。「鞭」はムチ、「撻」は、ムチ打つという意味があります。

ムチは、お仕置きや罰として使うのではなく、教育の手段として用いられるものを意図しています。教えることや励ますことが意味に含まれていることになります。

「ご鞭撻のほど」の使い方

  • この度、新しくチームに配属されることになりました。ご鞭撻のほどをお願いいたします。
  • 未熟者ですので、どうぞご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。
  • 御社を担当させていただくことになりました。今後ともご鞭撻をお願い申し上げます。

ご教示とご教授の類語⑥ ご伝授

「ご伝授」という表現もビジネスで使える教えを乞う敬語フレーズです。

「ご教示」と違い、長いスパンでの教えを願う意図が含まれます。漢字のとおり、「伝」え「授」けるという意味ですから、そのかたが人生を通して得てきたものを、後継者として受け継ぐというような壮大なニュアンスも含みます

特に、学問、宗教、芸能といった分野での特別な能力を教えてもらうというケースにぴったりな言葉です。ビジネスでは「ご教示」と違い、とても大げさな表現に聞こえるので、使い方は限られます。

「ご伝授」の使い方

  • ルアーフィッシングの奥義をご伝授くださり、ありがとうございました。
  • 秘伝のたれのレシピをどうぞわたしにご伝授ください。
  • 飛び込み営業の極意をご伝授していただき、成績を大幅に上げることができました。。

「ご教示とご教授」の英語表現

ご連絡差し上げるの英語表現
  • Please enlighten me(ご教示ください)
  • It would be greatly appreciated if you could explain the details.(ご教示ください)
  • Is it possible to have your advice on how to make an effective presentation material.(効果的なプレゼン作成をご教示ください)
  • Please give me a lecture.(ご教授ください)
  • I must thank you for your kind instruction.(ご教授くださり、ありがとうございます。)
  • would you let me know how to make.(どのように作るのかをご教授ください。)

英語で教えて村うためのお願いをする言葉もいろんなバリエーションがあります。「give me a lecture」のような直接的な表現でもよいですし、「教える」という部分を丁寧にあらわした「would you let me know」という表現で敬語のニュアンスをあらわすこともできます。例文によっていろいろ使い分けることができるようになれば、表現の幅が広がりますね。


「ご教示」と「ご教授」を正しく使える大人に。

教えてもらうように依頼するための敬語表現には、さまざまなフレーズがあります。それぞれの違いをよく把握して、使い分けできるようにしましょう。

「ご教示」と「ご教授」のどっちがよいのかの違いを正しく見分けて、きちんと使い分けできるようになると、教える側もより精力的に教えてくれるようになることでしょう。お礼にも、正しい敬語表現を用いて教えてもらったことに対してきちんと感謝を示すことも大切です。

【参考記事】「ご教示ください」の正しい使い方とは?

【参考記事】「幸甚です」の意味とは?正しい使い方を解説

【参考記事】「大変恐縮ですが」の使い方を例文付きで解説

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