こんにちは。ヨッピーです。
「ほぼ南極」という写真から失礼します。
突然ですが皆さんは「氷上ワカサギ釣り」をやったことがあるでしょうか?
こういうドリルで氷に穴を開けて……
ひたすらワカサギを釣る。釣りたてのやつを天ぷらにすると最高に美味いらしい。
「ワカサギ釣り」と言えば「ウユニ塩湖」「マチュピチュ」に並んで「世界三大、死ぬまでに一回は行ってみたいやつ」に選ばれていることでおなじみ(※編集部注 ヨッピーさんが勝手に言っているだけです)ですが、いいですか。人生って思ったより短いんですよ。その辺わかってますか?
皆さん、いやお前らみたいなもんはコタツにでも入ってブヒブヒ言いながらプリキュアの再放送でも見てるのかもしれませんけど、その間も僕はワカサギ釣りという大きなチャレンジに挑んでますからね。つまり、僕は走り続けてるんです。ゆっくりでも着実に、前に進んでるんです。僕は常にチャレンジする側でありたいし、寄り道してる暇なんてないんですよ。今までもこうやってチャレンジすることで着実にビジネスをスケールさせてきました。今では月収が8,000万円です。皆さんはいつまでもそこに立ち止まってていいんですか? そしていつまで立ち止まっているつもりなんですか? さあ、前を向いて歩きましょう。僕と一緒に! 今なら通常、60万円のノウハウ集が期間限定で20万円です!
あ、すいません。ワカサギ釣りとビジネス詐欺釣りを混同してしまいました。
そんなわけで出発当日。ワカサギ釣りの朝は早い。
午前6時。早朝の新宿駅に7人のおっさんが集まる。
おっさん7人を積んだレンタカーは関越道をひたすら走って、群馬県を目指します。
- 集まったおっさん
- 「いやー、楽しみですね! ワカサギ、釣れますかね!?」
- ヨッピー
- 「いやー、釣れるでしょ! なんか今日行く所のブログとか見てたら『100匹釣れました!』とか『200匹釣れました!』とかザラにあるみたいだし!」
- 集まったおっさん
- 「確かに、ワカサギって初心者でも釣れるって言いますもんね。でも100匹も釣って全部食べられるかなぁ(笑)」
- ヨッピー
- 「全部食べなくてもクーラーボックスで持って帰ればいいでしょ(笑)」
- 集まったおっさん
- 「確かに!(笑)」
- 一同
- 「ワーッハッハ!」
みたいに、完全にワカサギを舐め切った会話をしながら車を走らせる一同。
だんだんと道路に雪が積もりはじめ……
到着したのがここ、赤城大沼。
なにこれ。南極? 死ぬほど寒いんですけど。
都心から車で3時間弱くらい。国定忠治でお馴染みの赤城山の上の方にあるのがこちらの赤城大沼ですが、標高が高く、この日の気温は驚愕の氷点下10度。
真冬だとこんな感じで湖面がカチンコチンに凍るし、「赤城おろし」と呼ばれる北風の突風が吹きまくるのでマジでめちゃくちゃ寒い。
本日の僕の装備。
自分なりの完全装備にしたのですが、それでも寒いです。
風やべー!
そして恐ろしいことに、他の釣り客が空けた穴に足を突っ込みそうになる。この穴を踏み抜いたのは長靴を装備した人だったのでギリギリセーフでしたが、僕はいかんせんスニーカーで来てるので、僕がもしこの穴を踏み抜いてたら開始10分で泣きながら家に帰ると思う。
景色はマジで最高なんだけどとにかく寒い。
果たして、ワカサギは釣れるのだろうか。
【釣り具を借りよう】
まずは近くの旅館(aokiryokan.co.jp)で、レンタル品を一通り借りる。
釣り竿にエサ
氷に穴を開けるためのドリル
あとは「カタツムリテント」と呼ばれる簡易式のテントを借ります。基本的なものは全部貸してくれるので、防寒装備さえしておけば手ぶらでも良いそうだ。
ちなみに釣ったワカサギはこちらに持ち込めば、その場で天ぷらにして食べさせてくれるサービスもある! これは胸が高鳴る~~~~!
そして一通り借りたらおばちゃんから釣り方のレクチャーを受ける。
- おばちゃん
- 「釣り糸を垂らしてるだけじゃダメよ。ちゃんと誘ってあげなきゃ。女の人と一緒よ。黙って座ってたって向こうから寄ってこないでしょ?」
- おばちゃん
- 「こう、トントントン、って3回誘って5秒待つ、くらいの感じがいいかな。でもずっと同じパターンじゃダメよ。いろいろ変えて試してみるといいわ。ワンパターンが通用しないのは女の人と一緒よ」
やたらと女性を口説くときに例えるのはなんなんだろう。
いよいよ出発。
本題に入る前に、ここで僕の釣りの腕前について解説しておきたい。
率直に言ってド素人である。
中学生の頃に大阪城の堀でブルーギルを釣って遊んだり、観光ついでに海釣りを少しやったことがある程度の経験しかない。
ただし、僕の祖父は奈良県の吉野川という清流の近くに住んでいて、しょっちゅう鮎なんかを釣って僕に食べさせてくれた釣り名人だし、従兄弟の兄ちゃんは釣りが好き過ぎて、自分でルアー(疑似餌)を作る会社を設立してそれで稼いでるくらいなので、言ってしまえば僕ってば釣りのエリート家系なんですよね。
サイヤ人の血を受け継いだ孫悟飯がたいした修行もしてないのにとんでもなく強かったのと同じく、釣りのエリート家系である僕も実は釣りがめちゃくちゃ上手いんじゃないかな、って思うんです。ひょっとしたら100匹どころか6,000匹くらい釣れるかもしれない。
ドリルで穴を開け……
開けた穴に浮く氷を網で綺麗にすくって……
カタツムリテントを設置したら準備オッケー!
あとは仕掛けをセットして釣り糸を垂らし、アタリを待ちます!
釣り糸を垂らしながら、釣れた時のシミュレーションを脳内で行う。
- おばちゃん
- 「おやおや、たくさん釣れましたねぇ」
- ヨッピー
- 「そうなんですよ! 大漁で大漁で!」
- おばちゃん
- 「じゃあ100匹かな? それとも200匹かな?」
- ヨッピー
- 「いやぁ、それが6,000匹も釣っちゃいました!(笑)」
- おばちゃん
- 「ドッヒャーー! ワカサギが絶滅するじゃろがーい! そのへんで勘弁しちくりぃ~~~~~~~~!(吉本新喜劇ばりにズッコけたあとに暗転)」
みたいな! みたいな!
ウヒョー! 胸が高鳴りますわーーーい!
「全然釣れない」
※あまりにも釣れないため、赤城大沼の雄大な自然をお楽しみください
いやほんと、マジでぜんぜん釣れないのである。
なに。なんなのこれ。何の罰ゲームなの。
釣りのエリート家系のはずじゃなかったの。
※一緒に来たライターの玉置さん
「あっ、来た!」
「おおっ!」
「エサだけ取られた」
なんだよ! 期待させやがって!
おっさん7人が北風の吹きすさぶなか釣り糸を垂れてますが、一向に釣れる気配がありません。
※あまりにも釣れないので売店のおばちゃんに相談しにきました。
- 僕
- 「全然釣れなくて……!」
- おばちゃん
- 「なんかねぇ、今日はダメみたいなんだよねぇ……。遠くから来たのにごめんなさいねぇ。年中来てるベテランで、普段は100匹くらい釣ってるおじさんが今日は7匹しか釣れてないっていうから、日が悪いんだろうねぇ……」
- 僕
- 「マジか……!」
なんでも、大雪が降った後なんかはワカサギの動きが鈍くなるらしい。そのベテランのおじさんは魚群探知機も持っていて、一通りポイントを探ったらしいのですが、今日はぜんぜん群れが見つからないんだとか。
※ポイントを変えてみましたが相変わらずぜんぜん釣れないので、赤城大沼の大自然をお楽しみください
3時間が経過し、午前中の僕の釣果が「ゼロ」という驚愕の事実に震撼しつつも、とりあえずお昼ご飯を食べようということで食堂に集合。
そしてここで「お昼ご飯に何を食べるか」という大きな問題が浮上します。
さあ。整理して考えてみましょう。
僕らはワカサギを釣りに来たわけです。
せっかくここまで来たんだから、自分で釣ったワカサギを食べたいと思いませんか。確かに、ここでワカサギ定食を頼んでしまえば「ワカサギを食べる」という目標についてはクリアできるかもしれません。でも僕らはワカサギを食べに来たのだろうか? 違いますよね。僕らは「ワカサギを釣って、食べる」ために群馬までわざわざ来ているわけです。ここでワカサギ定食を食べてしまうのはハッキリ言ってあまりにも意識が低いし、僕あんまり人の悪口とか言いたくないんですけど、結論から言ってクズです。完全無欠のクズ。そんなクズは片道分の燃料を積んだロケットにでもくくりつけられて火星の周回軌道をグルグル回ってればいいんですよ。ここでワカサギ定食を頼むなんて絶対にあり得ない。
ワカサギうめぇwwwwwwwwwwwwwwww
【そして午後のターン】
ご飯を食べたら、改めてポイントを変えつつまた釣り糸を垂らす。
ちなみに赤城大沼で釣りができるのは16時までなので、残されたのはあと2時間!
果たしてワカサギは釣れるのか……?
まあ、ピクリともしないよね。
この辺で「ひょっとして、赤城大沼のワカサギは既に絶滅してしまっているのでは?」という仮説を立てはじめた僕。
おっさん7人の内、1人が午前中に1匹釣り上げたとはいえ、ベテランのおじさんが魚群探知機片手に群れを追い詰めまくって7匹ということは、おそらく足してその8匹はつまり、赤城大沼のラスト8匹だったんじゃないかと思うわけです。
だいたい、釣りのエリート家系の僕がここまでやって来ているわけですから、なんなら釣り糸なんて垂らさなくても勝手にワカサギの方からズバーン! って穴からばんばん飛び出して来てもおかしくないわけです。
それなのにこの体たらくぶりということは、もうワカサギが絶滅したとしか考えられないです。1匹でも残っていれば、
- ワカサギ
- 「ハッ! このオーラは……! まさか……! あの釣りエリートのヨッピーさんが赤城大沼に……!?」
- ワカサギ
- 「しぴぴぴぴぃ~~~~~~~! もう煮るなり焼くなりどうにでもしておくれやすぅ~~~~~~!」
って穴から飛び出て来るはずなんですよ。ズバーン! って。
それなのに完全スルーされてるってことは、もはや絶滅したって考えるのが通説じゃないでしょうか。
いやーー!これはもう釣れなくてもしょうがないなぁ~!
流石にいないものは釣りのエリート家系でも釣れないからなぁ~~~!
- 玉置さん
- 「あっ!」
釣れんのかい。
玉置さんが釣り上げたワカサギを白けた目で見る僕。なんなの。
マジでやってらんねぇ!
結局リミットの16時になっても1匹も釣れなかった僕。
釣りの腕に血筋はあんまり関係ないようです。
※最後まで粘ってたのは僕らしかいませんでした。
この日は結局、おっさん7人が5時間粘って釣ったのが2匹という惨憺たる結果に。
ただし、赤城大沼の名誉のために言っておくと、「ここまで釣れない日は珍しい」というレベルで今日はアタリが悪かったらしい。
1月の解禁直後くらいが一番釣れて、その後雪が積もると魚の動きがいったん鈍くなり、でもそのあとは湖の深みの酸素が薄くなって、魚が岸辺に移動しはじめてまた釣れるとのこと。僕らは運悪くその谷間にあたったのかもしれない。翌日の釣果は普通に「70匹でした」とか書いてたからな。なんなのよ~~! も~~~~!
お土産用(アリバイ用とも言う)に冷凍のワカサギをゲット。
これを天ぷらにして一杯ひっかけるくらいしかこのやるせなさを解消する手段はない。
そして帰りの雪道で盛大に転ぶ参加者。
行き道で舐めた発言をしていたバチが当たったのかもしれない。
帰りの車中は「あれ? お通夜かな?」っていうレベルで僕も含めてみんな暗かったのですが
途中の温泉に寄ったら俄然元気になりました。単純である。
著者:ヨッピー
大阪出身。「オモコロ」「トゥギャッチ」「ジモコロ」「SPOT(スポット)」など、さまざまなWebメディアで活躍中の無職。「Webでウケること」の第一人者として、たまに偉そうなことを言ったりもする。
Twitter:ヨッピー (@yoppymodel) / Twitter
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