「将来は日勤のみのゆとりある働き方をしたいけど、夜勤なしだと収入が減ってしまう。今からお金を貯めるためには、貯金に加えて投資もしたほうがいいの?」
ハードワークの日々に疲れ、将来のために資産形成を考える看護師さんは少なくありません。 しかしいざ投資を始めようとしても、何からどう始めればいいのかわかりませんよね。
そこで今回は、多忙な看護師向きの投資として「ロボ・アドバイザー」「投資信託」「不動産投資」の3つを紹介します。この記事で投資の仕組みを知って資産形成に取り組み、将来の不安を解消してください。
多忙だが食いっぱぐれはない看護師の資産形成
看護師に適した資産形成とは、長い期間をかけてコツコツ取り組める投資です。
なぜなら看護師は安定した収入を維持しやすいから。
仕事はハードですが、資格があるため年齢問わず長く働けます。体力面に不安が出てくると夜勤は難しくなるものの、日勤のみのクリニック勤務や派遣という働き方にシフトする道もあるでしょう。高齢化が進んでいけば、今後は介護施設や訪問看護ステーションなど病院以外の場で活躍する看護師も増えるのではないでしょうか。
つまり看護師は「食いっぱぐれがない」職業です。働く形を変えながらも安定した収入を維持しやすいため、毎月の収入を少しずつ投資に回せば無理のない資産形成ができるでしょう。
20代から貯蓄と投資をあわせた資産形成に取り組めば、時間があるぶん余裕をもった資産作りができます。
看護師に向いている投資は3つ
看護師に向いている投資とは、時間をかけて資産を築くコツコツ型の投資です。
ここでは、特におすすめしたい投資を3つご紹介します。
【看護師向きの投資3選】
・手間がかからない「ロボ・アドバイザー」
・つみたてNISAを使える「インデックス型の投資信託」
・看護師という職業を活かせる「不動産投資」
それぞれ詳しく解説していきましょう。
■ロボ・アドバイザー(運用一任型)
3つの中でもっとも手間がかからず楽な投資法がロボ・アドバイザーです。
名前のとおりロボット(AI)に資産運用をすべて任せる方法で、月々1万円~10万円程度で始められます。
あなたはロボ・アドバイザーの運用会社で口座登録して、最初にいくつか質問に答えるだけ。
AIは運用会社が用意した独自のアルゴリズムを元に、質問の答えからあなたに最適な運用スタイルを提案。あなたが承諾したら、あとはすべてAIが自動で投資を継続してくれます。あなたは投資に必要な金額を銀行口座に用意するだけで資産運用できるため、多忙な中でも無理なく続けられるのではないでしょうか。
自動で運用してもらう対価として、ロボ・アドバイザーの利用には一定の手数料がかかります。
そのため「手数料はかかったとしても手間はかけたくない」と思う看護師には、ロボ・アドバイザーがおすすめです。
※一部のロボ・アドバイザー運用会社では、5年間の非課税制度である「一般NISA」を利用できます。つみたてNISAほど長期の運用はできませんが、非課税投資額は大きいのがメリットです。気になる人は、ロボ・アドバイザー会社におたずねください。
■インデックス型の投資信託
話題の「つみたてNISA」の制度1)を使って投資できるのが、インデックス型の投資信託です。
※インデックス型の投資信託とは:「日経平均株価」や「TOPIX」といった特定の指数と連動した値動きで運用される投資信託。市場の値動きにあわせたシンプルな運用のため、比較的運用手数料も低く初心者・長期投資向きといわれる。
※つみたてNISAとは:投資で得た利益にかかる税金約20%を20年非課税にして投資できる資産形成制度。対象となる投資商品の大半は市場平均に連動するインデックス型の投資信託。
投資信託はAIではなく、投資のプロであるファンド・マネージャー率いる運用会社に投資を委ねる投資方法。ネット証券会社なら100円程度、対面型の証券会社なら1万円程度で投資信託を始められます。
投資信託もロボ・アドバイザーと同様、第三者に投資を任せて利益を得る点は同じです。運用を任せる対価として手数料は発生するものの、専門家に任せられる安心感があるため、忙しい看護師でも本業に集中できるでしょう。
特にインデックス型の投資信託なら、比較的リスクを抑えた運用を期待できます。国が促進するつみたてNISAの口座内で投資信託を買えば、投資の利益にかかる税金もかかりません。
そのため「税金も抑えて少額で気軽に始めたい」看護師には、インデックス型の投資信託がおすすめです。
■不動産投資
マンションやアパートといった現物資産に投資して、家賃収入を得る方法が不動産投資です。
本業のある看護師が副業として不動産投資をする際は、自ら物件を選んでローンで購入し、購入後の管理は管理会社に一任する流れが一般的です。物件の維持管理や入居者とのやりとりを管理会社にお任せすれば、日々忙しい看護師でも不動産経営はできます。
不動産は衣食住の一つでもあるため、住む人がいる限り値動きは安定しています。企業の動向一つで変動する株価と異なり、賃貸マンションの家賃は短期間で上がったり下がったりしませんよね。入居者がついて住み始めれば、何もせずとも毎月決まった額の家賃を受け取れます。このように働かなくても一定の収入を見込めるため、「体力に不安が出てくる老後の収入源を確保したい」看護師におすすめです。
とはいえ、先にご紹介したロボ・アドバイザーや投資信託に比べると手間も初期費用もかかるのが不動産投資。ワンルームマンションなら数十万円~数百万円程度の自己資金が必要になることもありますし、ローンを組むことに抵抗を感じる人もいるでしょう。
そこまでハードルが高いのに、なぜ不動産投資をおすすめするのか。その理由は、看護師という職業が不動産投資に有利だからです。次項で詳しく説明していきましょう。
老後も働けるか不安。そんな人におすすめの不動産投資
看護師に不動産投資をおすすめしている理由は、以下のとおりです。
・看護師は職業柄、ローンを借りやすい一定の収入がある
・とはいえ、仕事がハードなため同じ働き方をずっと続けるのは難しい
・バリバリ働ける若いうちに不動産を購入しておけば、将来仕事をセーブしても不動産収入を生活費の足しにできる
不動産投資はローンという他人(金融機関)のお金を使い、安定した収入源を生み出せる点が大きなメリットです。しかし誰でも簡単にローンを借りられるわけではありません。金融機関はローン審査において、収入の多寡よりも安定した職に就いているかどうかを重視します。年収800万円の個人事業主よりも、年収500万円の公務員のほうがローンを借りやすいのです。
この点、看護師は資格があるため安定しているとみなされ、ローンは借りやすくなっています。
とはいえ、看護師の安定収入はハードワークと夜勤の賜物。長く働けるといっても、今と同じ働き方を続けて体力がもつか不安な看護師は多いのではないでしょうか。だからこそ、安定収入がある若いうちに不動産を購入しておくのがおすすめです。
早めに不動産を購入しておけば、ローンが終わる頃(体力に不安が出てくる頃)には仕事をセーブし、そのぶん減った労働収入を賃貸収入でカバーできます。労働収入以外に一定の収入源があれば、老後の生活にも役立つでしょう。
ただし、不動産ならなんでも投資していいではありません。日本は人口減少社会のため、今後も人口需要が途切れない都市部の物件を購入しましょう。利回りだけを見て人口需要がない地域で物件を買ってしまうと、うまく入居者がつかずに何ヶ月も家賃収入が入らない、なんてことになりかねません。
良い物件を見つけるためには、信頼できる不動産会社を見つけることが大切です。物件選びや会社選びは手間がかかりますが、購入した後は管理会社に丸投げできます。看護師として働く以外に老後の収入源をもっておきたいのであれば、不動産投資を一つの選択肢にしてみてください。
長く看護師を続けるためにも若いうちから資産形成を
高収入で安定していると思われがちな看護師。
しかしその収入を支えるために日々ハードワークをこなし、常に医療知識をアップデートするための勉強を続けています。
「収入はいいけど、このままの働き方を続けていく自信はない。でも働き方を変えれば収入が下がる」と悩む看護師は少なくないのではないでしょうか。
将来の働き方に不安を感じている人は、若いうちから投資を始めてみましょう。
20代から少しずつ投資して資産を作っておけば、働き方や老後の不安を少しでも解消できるはずです。
投資や資産形成を始めるときは、貯金や保険、ライフプランとのバランスを考えなければなりません。ライフプランやお金の相談は、専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)へ相談してみるのもいいでしょう。
将来も長く看護師を続けるためにも、資産形成の基盤を作って安心できる老後を目指してくださいね。
出 典
1)金融庁:NISA特設ウェブサイト「NISAとは?」.https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html(2021年10月21日閲覧)
この記事を書いたのは
服部 椿
金融代理店での勤務経験と自身の投資経験を活かしたマネーコラムを多数執筆中。
子育て中のママFPでもあり、子育て世帯向けの資産形成、ライフプラン記事の執筆が得意。
保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
記事監修:株式会社ファーストプレイス
イラスト:tetekun
Twitter:https://twitter.com/tete_ponyo
バナー素材:イラストAC
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