KubeCon NAの少し前にMicrosoftがRadiusというプロジェクトを発表しました。
KubeCon NA 2023 ChicagoのMicrosoftブースでRadiusの説明とデモがあるということで予定を変更してそちらを聞いてきました。
簡単にいえば、インフラの部分を抽象化して管理するツール・・・。これだけだとTerraformやAWS Cloudformation、MicrosftのBicepと何が違うんだということになります。どういうところを狙ったツールなんだろうと考えながら聞いていました。
デモでは1つのサービス(アプリケーション)に対して、
- ローカル実行環境
- Azure AKS等を利用した環境(Bicepによるプロビジョニング)
- AWS EKS等を利用した環境(Terraformによるプロビジョニング)
という3つの環境に対してデプロイしていました。インフラストラクチャ部分はHelm/Terraform/Bicepとバラバラなのですが、実はアプリケーション側側のDeploymentの指定は1つだけです。各アプリケーションから各インフラに依存したネットワーク接続設定はRadiusで抽象化されているので1つ用意すればいいことになります。
まさにこうした点が狙いなんだろうな、と思いました。AzureとAWSのプロビジョニングはTerraformでやれば共通じゃないかと思いますが、そこにLocalhostなどが加わるとそうもいかない(?)Localhost用の設定を用意し、アプリケーション側もそれにあわせた設定をしなければなりません。また、全部Terraformでは対応できない(Azure等の新しい機能がBicepじゃないと用意されていないなど)こともあります。そうするとインフラ側のプロビジョニングのツールもバラバラに成っていく可能性もあります。
こうした状況でも、なんとか抽象化を導入していこうというのがRadiusのような感じがしました。
デモ後、登壇者に「TerraformとかBicepとかある中でRadiusって一番の違いは何?」とずばり聞いたら、「TerraformとかBicepとかを置き換えるつもりはない。それらの上位に位置するものと考えている」という回答でした。まさにデモのようなパターンをいい感じにしていこうという狙いがあるようです。
とはいえ、プロジェクトそのものもまだまだ初期段階。「ベータ版とかのロードマップある?」って聞いたら「まだちゃんと決まっていない。まだまだ始まったばかりだから利用者からのフィードバックがもっとほしい。ぜひ使ってよ」との回答でした。
初期段階ということでまだまだ未知数な部分が多い感じはしますが、なんとなく可能性は感じるものです。 これも狙い通りPlatform Engineeringの中心に位置づけられるツールになるのかもしれません。今後もフォローしていきたいと思います。