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COVID-19総括のはじまりか

 アメリカにおります。昨年9月半ばにこちらに来たころは,大学関係者は少なくとも,まだCOVID-19からの大学キャンパスの本格的な再開の直後で,おっかなびっくりの様相でした。えらいところに来てしまって,教職員のみなさんの負担を増やしてるな...という感じで,心の底から恐縮しました。そして冬が来て,いろいろと(COVID-19だけでなく)感染した人たちがいたり,体調が悪い人たちがいたり,または亡くなった人たちも当然いて,そんな話が流れてきてはいましたが,結局,今,冬が進んできても,COVID-19や公衆衛生がらみで何か方針の変更や特別な対応ということは見かけませんでした。平和な日常が戻ってきているというのが,訪問研究員という立場の私の印象です。マスクは,アジア系とみられる学生の一部が昨年秋ころはしていましたが,今は見ません。キャンパスの外でも,ほとんど見かけないです。(もっともこうしたことは,大学の立地によって,だいぶ違うのかもしれないです。)

 そんな中,COVID-19のlab leak theory(研究所から漏れたとする説)が再燃してきているのは,どうやら日本でも報道されているみたいですね。

 アメリカ合衆国エネルギー省情報局(US Department of Energy’s Office of Intelligence and Counterintelligence),つまるところ,アメリカの科学(主として物理学その他の理学,そしてテクノロジー)の国立研究所

www.energy.gov

を統括しているところから出てくる(まだ公開されていない)報告書に,このラボリーク説が取りあげられていて,その結論がどちらなのかというので,騒いでいるわけです。政治家とマスメディアは完全にこの問題を政治化していますし,実際のところ,国内政治のみならず国際政治(中国との関係をはじめとして)が関わる大問題ですよね。こちらのマスメディアの報道を数社,見ていますが,伝聞と言ってよい情報に基づいて,自分たちのこれまでの報道や支持政党の言い分を正当化する言い回しにあふれています。読んでいるだけでムカムカするほど,読み手の理解を誘導しつつ,嘘をつかないようにしようという意図のある言い回しにあふれています。

 すべての情報が過度に政治化しているように見える状況は変わりませんが,それでもアメリカではそろそろ,COVID-19の総括がはじまろうとしているように私には見えています。心ある科学者は必ずいるし,その人たちの声が,政治的な判断とは別のところで,必ず表明されると信じています。まあ,そうじゃなきゃやってられないというわけですが...