アメリカのEV(電気自動車)大手のテスラは1月6日、中国・上海の工場で現地生産している主力車種「モデル3」と「モデルY」の中国市場向け販売価格を大幅に値下げした。
ベースモデルで比較すると、モデル3の価格は26万5900元(約513万円)から22万9900元(約444万円)に、モデルYは28万8900元(約558万円)から25万9900元(約502万円)にそれぞれ引き下げられた。これは本国のアメリカでの販売価格を下回る水準だ。
中国市場でのテスラ車の値下げは、2022年9月以降でこれが5回目だ。しかも値下げ幅は今回が最も大きい。クルマのグレードによっては価格改定前後の差額が4万8000元(約93万円)、率にして13.4%に上った。
テスラの上海工場は、2022年の半ばに生産能力の増強を完了している。それ以降の立て続けの値下げは、市場の需要が生産能力の拡大に見合うほど増えていない可能性を示唆している。なお、上海工場では2022年末に(生産設備の定期メンテナンスとの説明で)生産を1週間休止した。
中国勢との競争激化もプレッシャー
今回のさらなる値下げが、テスラ車の販売を底上げするのは確かだろう。同社の中国法人によれば、価格改定の発表後に購入の申し込みが急増したという。しかしテスラは、その具体的な数字は明らかにしていない。
一方、資本市場はテスラの連続値下げ(が示唆する成長鈍化)に懸念を示している。ナスダックに上場するテスラ株は1月6日の取引で一時101.81ドル(約1万3524円)まで売り込まれ、2021年以降の最安値を更新した。
中国市場でのテスラの成長鈍化は、2022年後半の自動車市場全体の不振による影響が大きい。特に同年10~12月期は、新型コロナウイルスの感染拡大が全国に波及し、自動車販売が大きな打撃を被った。
さらに、中国市場における(EVメーカー同士の)競争激化も、テスラにとって無視できないプレッシャーになっている。例えば、中国のEV大手の比亜迪(BYD)は販売台数を急速に伸ばしており、1月5日に発表した新型車はテスラのモデル3に(価格と機能の両面で)真っ向勝負を挑んでいる。
中国では、EVの普及促進のために政府が支給していた補助金が2022年末で打ち切られた。それを受けて、BYDは2023年1月から値上げに踏み切ったが、同様の動きを取る競合他社は少ない。ある業界関係者は、BYDの値上げについて「多数のバックオーダーを抱えているからこそなせるわざだ」とコメントした。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は1月6日
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