それにしてもこれには呆れた。安倍晋三がよりによって、国会で「悪夢の民主党政権」と発言したことはない、などと言い出したのだ。
立憲民主などの会派の芳賀道也氏(無所属)が「都合が悪くなると、首相は『悪夢の民主党』と言って一切答えない。子供の教育に悪い」と皮肉ったことに反論した。首相は「自民党大会などで『悪夢のような民主党政権』と、経済政策において申し上げている」と認める一方、「国会答弁で答えたことはない。正確な質疑をしたほうがいい」と語った。
実際は、首相は2019年2月の衆院予算委員会などで「民主党政権は悪夢だった。間違いなく」と述べている。首相の答弁を受けた芳賀氏は「全く情けない」とあきれてみせた。【小山由宇、古川宗】
事実として、安倍晋三はこれだけ繰り返し言っている。
衆院予算委員会 2019年2月12日
◯安倍内閣総理大臣 (略)
皆さん、悪夢でなかった、それを否定しろとおっしゃるんですが、では、なぜ民主党という名前を変えたんですか。私はそれが非常に不思議だ。(略)
◯安倍内閣総理大臣 これもよく聞いていただきました。
このベースアップ、ありますね、これは一四年から。この前どうなっていたと思いますか。実は民主党政権時代、私は悪夢と呼びましたが、連合は、ベースアップ、集計すらできなかったんです。していないの。なぜかというと、ベースアップの要求をしていないからですよ。とてもそういう状況じゃなかったんですよ。
(略)
また、正規雇用だって、我々が政権をとる前の政権、民主党政権、悪夢と呼びましたが、あれは五十万人、正規雇用が減っているんですよ。我々は七十六万か八万、恐らく六年間を見ればもっとふえていると思いますよ。正規雇用をふやしたんですよ。これはもう明らかにファクトですから。
衆院予算委員会 2019年2月18日
◯安倍内閣総理大臣 (略)
私は、二〇〇九年の我が党が野党に転落したときのことを悪夢と言っているのではないんです。悪夢はその後の民主党政権です。正直に言って、それは申し上げたいと思います。
今よりも三割も中小企業、小規模事業者、倒産件数は多いんですよ。あのときの就職率、どうだったんですか。今よりも半分しか有効求人倍率、低かったわけですから、当然それは、それで就職できなかった人たちにとっては悪夢じゃないですか。(略)それは間違いなく、私は、そういう人々にとっては、皆さん、悪夢だったと思いますよ。
(略)
衆院予算委員会 2019年2月20日
◯安倍内閣総理大臣
(略)
私が、話の中身としては、いわば参議院選挙で大敗をし、そして政治が安定を失った、あれは私の責任だったということを述べ、そして、その後に、悪夢のような民主党政権が誕生した、決められない政治の中において経済は失速をし、そして、若い皆さんがいろいろ頑張ってもなかなか就職できなかった時代があった、そして、今よりも三割も倒産件数が多かった、かつ、その中で連鎖倒産という言葉が日本じゅうを覆っていた、これは事実でありまして、それを述べた。
(略)
衆院予算委員会 2019年2月25日
◯安倍内閣総理大臣 (略)
要するに、失業者の方々は賃金をもらっていませんから、この平均賃金の中に入っていないんですよ。これをゼロで数えていただければ、相当低くなると思いますよ。民主党政権時代は、まさにこれは悪夢だったんですよ、間違いなく。
そこで、これもファクトですから……(発言する者あり)
自己の発言に最大限の責任を負わなければならない首相という職にありながら、一瞬でバレる嘘を平然とつく。しかも、どれだけ嘘がバレても恥じることもない。
この男はおそらく、物心ついた頃から嘘を繰り返し、都合の悪いことはすべて口先だけのごまかしでやり過ごしてきたのだろう。なにもかもがおのれの損得のみ。倫理感も責任感もゼロなのだ。
こんな男が7年以上もの間首相の座にのさばっていることこそが、最大の悪夢だ。
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