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SEOについて最低限知っておくべきコト

SEOの大基本となる6つのプロセス:後編

正しい分析と戦略作りは必須
対策は細部→全体へ

SEOの大基本となる6つのプロセス:後編

SEOと一口に言っても、そこに含まれる要素はさまざまで、何から手を付ければいいのかわからないというWeb担当者も少なくない。「ウェブで調べる」や「解説本を読む」もいいが、まずは“ザックリ”と全体像を把握しておくと、その後の戦略も立てやすい。本稿では、SEOのプロセス全体について解説する。Web担当者が自力でやるにせよ、SEO会社に依頼するにせよ、適切な対応が取れるようになるはずだ。

TEXT:大内 範行

サイト構造の最適化

検索エンジンが好むメッシュリンク構造

ページ単体だけでなく、ページの集まりであるサイト全体の構造も、SEOにとっては大切だ。サイト構造の作り方によって、検索エンジンロボットの動きが変わり、ページの評価にも影響する。

検索エンジンロボットは、通常はインターネット上にあるリンクをたどってあなたのサイトのトップページにやって来る。さらにトップページからのリンクをたどって、サイト内の各ページを次々に巡回する。その際、図7のように標準的な「階層型」のサイト構造だと、多少問題が起きる。SEO的には、「メッシュ型」(=網目状)のリンク構造が望ましい。

図7 階層リンク構造とメッシュリンク構造の違い。検索エンジンはメッシュリンク構造のサイトを好む(図はクリックで拡大)。

リンクは網目状に双方向&細かく

サイト構造というと少し難しく聞こえるが、これを実現するのは「ナビゲーション」や「メニュー」であり、要するにサイト内での「リンク」の作り方のことだ。検索エンジンを通じて発見してほしいページは、この階層構造の一番下のページであることが多い。ここには、ブログであれば記事が、ショッピングサイトであれば商品説明が、企業のホームページであれば提供サービスの紹介が掲載されている。検索エンジンを通じて、ユーザーがこのページに直接来てくれたら話は早い。しかし、目次メニューしか持たない階層型では、検索エンジンが最下層のページを把握するまでにどうしても時間がかかるため、評価も下がってしまう。

メッシュ型の構造を実現するには、できるだけ最下層のページに直接たどり着けるようなナビゲーションを付ける。特に重要なのがトップページで、「ランキング」「特集」「オススメ」といったナビゲーションを用意して、トップページから最下層のページへのリンクをできるだけ多くする。

同様に、階層の下のページにも、「ランキング」「関連サービス」「オススメ」といったナビゲーションを用意することで、すべてのページから、直接一番下のページ同士を結んでいく。このとき「ランキング」を「総合ランキング」と「ジャンル別」の両方を用意するなどの工夫をしていくと、さらにメッシュが細かくなっていく。

ここで忘れていけないのは、どのページにもトップページに戻るリンクを設定することだ。検索エンジンはトップページを意識しているので、トップページを強めることで、その下にあるページの評価も高められる。また、トップページに戻りたがるユーザーも非常に多いので、SEOだけでなくユーザビリティの観点からも、このリンクは必須だ。

なお、サイト全体を正しく検索エンジンに認識させるためには、「Google Sitemaps」など、検索エンジンの提供するサービスもうまく使うようにしよう。さらに、次のトピックも大事なので押さえておこう。

  • トップページへのリンク文字(アンカーテキスト)は「トップ」や「Home」などとせずにキーワードを盛り込む
  • パンくずリストを使う(※「パンくずリスト」とは、[製品カタログ]>[洗濯機]>[二層式]のようにテキストリンクで表現するナビゲーションメニュー)

外部リンクの獲得

外部からのリンクの重要性

図8 Googleツールバーを入れておくと、ウェブブラウザー上でページランクが確認できる。この記事の編集時点ではWeb担当者Forumのページランクは「6」だ(図はクリックで拡大)。
http://toolbar.google.com/T4/intl/ja/

検索エンジンは、サイトの外からのリンク(被リンク)も評価の要素にしている。Googleで有名になった「ページランク」は、このリンクを評価したものだ。「Googleツールバー」を導入すると、簡単にページランクを確認できる(図8)。

ページランク≠結果順位

ここで注意したいのは、ページランクだけが順位を決める要因ではないという点だ。検索結果の上位に表示されているページを見るとわかるが、ページランクは低いのに順位は高いということも少なくない。また、特に有名企業のサイトに多いが、ページランクは高いのに検索エンジンでの順位はとても低いというサイトもよく見かける。ページ内に大切なキーワードが無かったり、画像ばかりでページが作られていたり、サイト内のリンクが工夫されていなかったりすると、「通信簿はいいのにクラスで人気がない」という状態になってしまう。人気者になるには、相手の立場になって言葉を使い、みんなに役立つ情報を提供していく必要がある。

最近は、ページランクよりも重要な検索エンジンの指標として、「relevancy」(関連性)が注目されている。リンク先とリンク元のページの内容にどれくらい関連性があるかという要素だ。単に権威がある(ページランクが高い)ページよりも、同じテーマ、話題について書かれたページ同士のリンクのほうが重要となる(図9)。したがって、獲得を狙うべき外部リンクとは、まず「関連性もページランクも高いもの」。次に「ページランクは低くても、関連性は高いもの」という優先度になる。

図9 リンク元ページのページランクと、リンク元ページと次ページのコンテンツの関連性が評価に与える影響。「役に立つ良いページ」「コンテンツの関連性が高いページ」として認識されると評価が高くなるということだ(図はクリックで拡大)。

もちろん、ページランクも決して無意味になったわけではなく、大手ディレクトリへの登録によるリンク集めはまだ有効だ。Yahoo!などの有名サイトからリンクが張られていることで、あなたのサイトの評価も高まるので、有名な登録サイトにはきちんと登録しておいたほうが良い(図10)。

図10 外部リンクの獲得ターゲット。企業が運営する大手ポータルサイトは、ページランクも高いことが多い。登録サービスがあるなら活用しよう(図はクリックで拡大)。

むやみやたらのリンクは逆効果

ページランクの評価には、もう1つ評価基準が入っている。それが、何本のリンクを張っているかというものだ。

リンクを張ってもらうために、相互リンクを依頼したりすることも有効だ。しかし、相手がリンクファーム(リンク工場)と呼ばれる、SEO目的のスパムサイトだった場合、逆に評価が低くなってしまう。それどころか、あなたのサイトが「スパム」と認識されてしまうこともあるので気をつけよう。

片っ端から手当たり次第に人を紹介するのと、「この人しかいない」と言って紹介するのとでは、価値や信頼度が違ってくる。それと同じだ。

やっぱり最後は良質なコンテンツ

すべてのページが出発点
SEOが進むと、検索エンジンから直接一番下の階層のページを訪問するユーザーも増えていく。サイト名やサイト全体に移動できるナビゲーションなど、その場所から始まるユーザーに対してのユーザビリティにも配慮しよう。
以上をまとめると、ページランクの高いサイトから、「ここが一番」といって紹介されている状況を作り出すことが、自社のページランクを上げることになる。さらに今は、ページ内のコンテンツに関連性のあるページからのリンクが評価には大きく影響する。「役立つコンテンツのページ」として多くのページからリンクしてもらうはもちろんだが、同様のテーマのページ(ウェブ上でつまり同じような活動をしている人)からのリンクのほうが、より高い評価を得られる。

では、そんなリンクを獲得するためにはどうするのか。長期的には、その分野で定番と言われるサイトになることが、もっとも有効なリンク獲得術という結論になる。ユーザーにとって役立つ情報を提供していくことで、ブログやリンク集などからのリンクも増えていく。ソーシャルブックマークなどで数多くブックマークされるようにもなる。この流れを作ることが一番の早道なのだ。

この「役立つ情報」をもう少し具体的に説明すると、「リンクしたくなる」ようなコンテンツということだ。たとえば、定期的に更新される何かの一覧表や、ブロガーが思わずトラックバックなどで意見を返したくなる記事ということだ。

効果測定と改善提案

仮説と検証=アクセス解析が重要

これまではSEOという作業の基本について見てきた。それをビジネスに結びつけるためには、その効果を測る必要がある。この効果分析と測定のプロセスは、実際のビジネス的な効果を評価するだけに留まらない。仮説と検証を繰り返すことで、よりSEOについての実践的な知識と経験も身につくようになる(図11)。

図11 SEOは仮説と検証のサイクル。計画(PLAN)→実施(Do)→検証(Check)→改善(Action)の頭文字を取って「PDCAサイクル」と呼ばれる。

ここで忘れてならないのは、SEOの効果は、すぐには出ないということだ。少なくとも数週間はかかるので、じっくりと待つ必要がある。また、SEOで上げられるのはあくまでも相対ランキングであるということ。競合相手によっては、どんなにがんばっても順位は上がらないし、逆に何もしなくても上がるときもある。

仮説と検証のプロセスは、それだけで1冊の本になるほど深い話だ。ここでは基本的なポイントだけ抑えておこう。

アクセス解析とは、サイト内のユーザーの行動を分析することだ。いくつか代表的なツールがあるが、その中でも「グーグルアナリティクス」は、無料で使える便利なツールとしておススメだ(図12)。

図12 グーグルアナリティクスは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツール。以前から定評のあったアーチンという解析ツールが元になっており、かなり高度な解析ができる。
http://www.google.com/analytics/ja-JP/

アクセス解析によって、ユーザーが「どのサイトから来たか」「検索エンジンでどんな言葉を検索してきたか」などがわかる。ユーザーの年齢や性別はわからなくても、どんな検索語句で訪れたかがわかれば、そのユーザーの顔もおぼろげながら見えてくる。

さらにアクセス解析ツールを駆使すると、ユーザーがどんな目的を達成したかがわかる。「コンバージョン」と呼ばれるポイントを設定しておくことで、今度は「どのサイトからどんな言葉で訪れて、目的を達成した人がどのくらいいるか?」がわかるようになる。

サイトごとに違うが、ショッピングサイトなら「買い物ボタンを押した数」、企業サイトなら「問い合わせフォームをクリックした数」などが目的になるだろう。明確な目的がない場合でも、訪問した人が1ページ目で帰ってしまったのか、他のページも見たのかがわかる(直帰率と呼ばれている)ので、その数を追っていくのも有効だ。訪問した人の目的達成率や関心の高さを知ることで、検索キーワードのビジネス価値がわかるようになる。

そんな分析を重ねていくと、人気のある言葉が必ずしもビジネスにつながらず、ニッチな言葉ほどビジネス価値が高いことも見えてくる。花屋を訪れたユーザーは、「フラワーショップ」という言葉で、あまり買い物をしないのに、「胡蝶蘭」や「結婚記念日」という言葉では、たくさん買い物をする。そんなことが見えてくると、SEOが「マーケティング」の本質に迫る施策だということが理解できるはずだ。

SEOの極意は「己の内面を磨くこと」

SEOの全体像を簡単に紹介したが、実はSEOというものは、本質的には内部体質の改善だという点に気づいただろうか。

これまで、プロモーションやマーケティングは、広告代理店から会社の外側にある広告を買って、人を呼び込むというやり方が普通だった。SEOはそういった今までのやり方とは異なる。「あなたの内面を変えていくことで、美しく魅力的になれますよ」という話に近い。

お化粧やファッションで飾るのではなく、普段の食事や話し方、あなたの内面を改善することで魅力的になる。SEOはまさに継続的な魅力を維持するマーケティング施策だ。

ここで注意したいのは、同じSEOといっても、外に働きかけることが中心のビジネスが増えていることだ。たとえば100本のリンクを「保険」というキーワードで用意して順位を上げます、というものがその典型だろう。これはよく考えればわかるとおり、「広告」が「リンク」という商品に置き変わったに過ぎない。

「順位が上がるのだからいいだろう」という考え方を否定はしないが、「検索エンジン最適化(SEO)」の「最適化」という言葉の意味するところからは遠くなっている。SEOは、より継続的な取り組みであり、「検索している顧客の気持ちになって取り組むこと」が何よりも大切だ。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウVol.5』 掲載の記事です。

用語集
Google / SEO / Yahoo! / アクセス解析 / アンカーテキスト / コンバージョン / ディレクトリ / ナビゲーション / ページランク / ユーザビリティ / リンク / ロボット / 外部リンク / 広告代理店 / 検索エンジン / 直帰率 / 被リンク / 訪問
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