富山県の黒部峡谷の名所、下ノ廊下をVR(仮想現実)で体感できる映像が、黒部市歴史民俗資料館に登場した。美しい景観で知られるが、体力と技術が必要な登山上級者向けのルート。山に登らなくても景色や崖の上を歩くスリルを感じられる。15日からの一般公開に向けた発表会が13日、同館であった。
下ノ廊下は、黒部峡谷の欅(けやき)平(だいら)から黒部ダムまでの約30キロの登山道。秋の約1カ月間しか通行できず、これまで転倒・転落事故も発生している。同館は立山黒部ジオパーク協会の協力を得て、実際の映像を用いてVRを作った。
VR映像(約14分)は13歳以上が対象。ゴーグル型の端末を着けると360度見渡せる映像が広がる。ガイドの案内で下ノ廊下を歩く内容になっており、狭い所で幅50センチほどの「水平歩道」や、左右の沢から水が勢いよく流れ込む「十字峡」など、険しい地形を目の前に感じられる。このほか、常設の大型モニターでも下ノ廊下の紹介映像(約8分)を見られる。
発表会では、同館の運営委員らが映像を体験した。飯村滋委員長は「素晴らしい景色が見られた。リアルで、下を見たら怖いぐらいだった」と話した。
VR映像は昨年3月に公開した愛本刎橋(はねばし)に続く第2弾。入館料は300円で、中学生以下無料。VR体験に追加料金は必要ない。