富山県の砺波市観光協会や関西電力などは、小牧ダム(同市庄川町小牧)で地元産の食材を貯蔵して熟成させるプロジェクトに取り組んでいる。13日は昨年運び込んだ日本酒とみその搬出と、2025年度分の搬入が行われた。搬出分は4月にお披露目し、道の駅砺波やイベントで販売する。

 小牧ダムは、年間を通じて内部の気温が10~18度ほどに保たれ、太陽光が入らないため、熟成した食品がまろやかで味わい深くなるとされる。県内では、黒部ダムなどで日本酒の貯蔵熟成が行われている。

 砺波市観光協会と庄川峡観光協同組合は一昨年、2030年に完成100周年を迎える小牧ダムの観光資源化や魅力発信の一環として、食品熟成プロジェクトを関西電力に打診。市内の若鶴酒造(同市三郎丸)と、紺田糀(こうじ)・味噌醸造所(同市庄川町天正)が協力し、24年に720ミリリットルの純米吟醸240本とこうじみそ150キロを搬入した。

 13日は関係者が地上から約16メートル下の点検用通路で熟成した純米吟醸とこうじみそを搬出した。合わせて25年度分の純米酒240本とこうじみそ150キロも運び込んだ。

 搬出品について若鶴酒造海外事業推進課の吉賀丈太課長(31)は「角が取れてまろやかになった。期待以上の成果」と話し、紺田糀(こうじ)・味噌醸造所の紺田篤史代表(41)は「熟成期間が長いのでうまみ成分が多くなり、まろやかで深い風味に仕上がった」と手応えを口にした。

 24年度分の日本酒とこうじみそは、4月16日に一般開放が始まる小牧ダム下流広場でお披露目する。道の駅砺波で同18日から販売し、同22日に開幕するとなみチューリップフェアの会場でも取り扱う予定。市観光協会の大浦信雄事務局長は「ぜひ多くの人に味わってほしい。100周年に向けて継続したい」と話した。