【5575】吉田蔵u -Night & Dance-(よしだぐら ゆー)【石川県】

【F居酒屋にて 全7回の⑤】
異業種間日本酒愛好会TU会のメンバーと1年に2回ほど、F居酒屋で飲み会を開いている。今回は5人が集まった。
「スキー正宗」「福海」「瀧」「尾瀬の雪どけ」に続いて女将さんが持ってきたのは「吉田蔵u -Night & Dance」だった。吉田酒造店のお酒は当連載でこれまで、18種類を取り上げており、そのほとんどが「手取川」で、一部「吉田蔵」という内訳。吉田酒造店には、クセの無い、非常に平均的な味わいの酒(実は酒造でこれが一番難しいこと)というイメージを持っている。さて、今回のお酒をいただいてみる。
酒蛙「これも甘旨酸っぱい味わいのお酒だ。うわっ、軽快感があり、ずいぶん飲みやすいお酒だ。酸が心地よく非常にジューシー」
誰か「ラベルを見たら、アルコール分がたった9%ですよ」
酒蛙「9%とはびっくり。飲みやすいのも当然だね。ビールとワインの中間くらいのアルコール分。う~ん、超低アルコール日本酒にしては、ペナペナ感が一切ない。あ、原酒だからね。アルコール分が低くても飲みごたえがあるよ。こりゃ、すごいな」
W 「キレが良い。あっという間にいなくなる」
酒蛙「舌先にチリチリ微発泡の刺激を感じる。モダンタイプの、ボディーはミディアムとライトの中間あたり。あるいは醇酒と爽酒が一緒になったようなタイプ。直前に飲んだ『尾瀬の雪どけ』よりかなり軽いが、十分にしっかりとした味わい」
酒蛙「通常の『手取川』とはかなり違う酒質なので驚いたよ」
女将さん「はい、『吉田蔵u』は、通常の『手取川』とは路線が違うんです」
瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。
「軽快 ミネラル 透明感」「『モダン山廃』で醸した暑い夏に合うフレッシュ爽やかな低アル原酒。キャンプやフェスなどアクティブなシーンのお供にも。乳酸や酵素剤など、表示義務のない添加物は一切使用していません」
また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。
「独自製法の『モダン山廃』で醸した、暑い夏に合うフレッシュ爽やかな低アルコール原酒。ナチュラルな造りから生まれた軽快な飲みごこちはキャンプやフェスなどのアクティブなシーンにも寄り添います。ボトルは夏の美しい夜、気持ちのままに踊る自由なひと時をイメージしてデザインしました」
裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(石川県産)米麹(石川県産米)、原料米 百万石乃白100%、精米歩合40%、アルコール分9%(原酒)、製造年月2024.06」。精米歩合まで明らかにしているのに、特定名称酒の区分を表示しない理由はなんだったのだろう。消費者のために表示した方が親切だ。表示しない理由をラベルに書いてほしかった。
使用米の「百万石乃白」は石川県農林総合研究センターが、石川県内の酒蔵からの「石川県で栽培できる大吟醸酒に適した石川オリジナルの酒米を開発してほしい」との要望を受け、11年の歳月をかけて開発したもの。同センターは母「山田錦」と父「'05酒系83」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。名は公募の結果、2020年に命名された。①割れにくいため高精白ができる ➁すっきりとした味わいの日本酒ができる ③フルーティーな日本酒ができる ④山田錦より倒れにくく収量性が高い―などの特長がある、という。
主銘柄の酒名「手取川」の由来について、蔵のホームページは「手取川の伏流水を使っている」としている。手取川というと、上杉謙信軍が織田信長軍を撃破した手取川の合戦で名が知られる。
なお、酒名「吉田蔵u」の「u」の意味が分からなかったので、ホームページを開いてみたら、「“u”は『優しい』の優。『あなた』へのyouです」とのこと。裏ラベルにそう書いてほしかった。























