死刑当日告知、地裁に差し戻し 大阪高裁、受忍義務の審理必要

2025年03月17日 16時46分
確定死刑囚2人が、死刑執行を当日に告知するのは不服を申し立てられず違法として、国に慰謝料など計2200万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は17日、一審判決で告知日の執行を受忍する義務がないことの確認を求める訴えを却下した部分を取り消し、大阪地裁に審理を差し戻した。賠償請求は一審に続き退けた。
昨年4月の地裁判決は当日に告知する現在の運用について、死刑囚の心情の安定や秩序維持などの目的があるとして一定の合理性を認定。受忍義務を巡る確認の訴えについては過去の判例を踏まえ、執行方法の違法性は刑事訴訟法の手続きで争うべきで、実質的に行政訴訟により刑事判決の取り消しや変更を求めることは許されず不適法だとし、却下していた。
これに対し大阪高裁の黒野功久裁判長は「(死刑に対する)不安や危険が存在し、告知と同日の執行を受忍する義務の有無に関する判決をすることは必要だ」などとし、法的地位や利益の有無についてさらに審理を尽くす必要があるとした。