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35:133 第37回日本脳卒中学会講演 <総 シンポジウム 説> 脳卒中データバンクの現状と展望 山口 修平1) 小林 祥泰2) 要旨:脳卒中急性期患者データベースの構築を目的として開発された脳卒中データバンク は,10 年以上を経過し現在 10 万例以上の患者登録が行われている.このデータベースは全 国レベルの解析に加え,各施設での利用にも対応したシステムである点に特徴がある.これ まで 3 回の全国データ解析が行われ,結果は定期的に 「脳卒中データバンク」 として書籍出版 されている.脳卒中データバンクは近年,脳卒中診療と関連した他のデータベースとの連結 が始まっている.電子カルテデータの転送による入力作業の省力化,DPC データとの連結に よる脳卒中診療の医療経済学的解析,リハビリテーション・データベースあるいは地域連携 パスとの連結による脳卒中患者のシームレスな医療連携の確立,さらに病院前脳卒中救護ス ケールとの連結による急性期脳卒中医療の推進など,脳卒中医療全般にわたる貢献が期待さ れる. Key words: Japanese Stroke Databank, electrical medical chart, DPC data, prehospital stroke scale, regional medical cooperation for stroke (脳卒中 35: 133–138, 2013) はじめに MRI などの画像情報,治療情報,脳卒中重症度ス ケール [日本脳卒中スケール (JSS) ,米国 NIH Stroke 小林らは脳卒中急性期患者データベースの構築を目 Scale (NIHSS) ,modified Rankin Scale (mRS) ]に よ る 入 的として脳卒中データバンクの作成を 1999 年に開始 退院時の重症度評価,米国 NINDS-CVD III による脳 .完成後は日本脳卒中協会データバンク部門 卒中診断分類に基づき,MRI や MRA などの画像所見 においてデータの登録が継続されている (Fig. 1) .こ も考慮した総合的な脳卒中病型などのデータが集積さ れは急性期脳卒中を扱う病院において,脳卒中診療の れる.その後も厚労科研費でバージョンアップを繰り した 1, 2) 実態調査を継続的に可能にする日本で最初の本格的な 返し,病院前救護チェックリスト,ASPECTS スコ データベースであり,これまで既に 10 年以上のデー ア,ABCD2 スコア,CHADS2 スコア,退院後追跡入 タ集積が行われており,現在の登録数は世界でも 力,神経心理検査,運動機能障害重症度スケールなど トップクラスの 10 万例以上に達している. が追加され,さらに 2011 年度には念願であった DPC データベースの概要 データの半自動読み込みソフト組み込みも DPC 解析 の専門家の松田,藤森,入江ら研究班員の尽力により このデータベースは,急性期脳卒中症例の性別,年 開発し追加することができた.これらは,t-PA 治療 齢などの基本情報,症状,脳卒中の危険因子の有 を始めとする脳卒中治療の進歩,新たな脳卒中診療の 無,脳卒中既往歴,家族歴などの診断情報,CT, エビデンスの出現,他のデータベースとの連結の必要 性など,時代の要請にこたえるための追加項目であ 島根大学医学部内科学講座内科学第三 島根大学学長 (2013 年 1 月 7 日受付,2013 年 1 月 8 日受理) 1) 2) り,我が国の診療レベルの国際標準化には欠かすこと はできない.一方で入力項目が増えるとデータの入力 が煩雑となり,データベース継続が困難となることが 脳卒中 35:134 35 巻 2 号(2013:3) (文献 5 より) Fig. 2 Fig. 1 脳卒中データバンクの入力画面 http://cvddb.med.shimane-u.ac.jp/cvddb/user/strokedb.htm 発症から rt-PA 静注療法開始までの時間と予後 録が開始された.そしてまず,最初の 3 年間に集めら れた約 8,000 例のデータを解析した 「脳卒中データバ 考えられる.そのため本データベースの必須項目 3) ンク 2003」 が出版された.ついで 16,000 例を解析し は,多忙な急性期病院で医師が正確に情報を入力可能 4) た 「脳卒中データバンク 2005」 ,そして 47,000 例を な最低限の項目に限る事としている. 5) 解析した 「脳卒中データバンク 2009」 が出版された. 本データベースの特徴として,従来の多くの研究の これらの公表された脳卒中のデータはまさに現在の日 ようにデータをデータバンクに集めることのみを目的 本の脳卒中診療の現状を表しており,各施設自身の とせず,脳卒中拠点病院が自らのデータを蓄積し活用 データを全国データあるいは海外のデータと比較する することを重要な目的の一つとしている点がある.こ ことも可能である.現在,約 10 万例の急性期脳卒中 れが本データベースが普及した大きな要因の一つであ 症例が登録されており, 「脳卒中データバンク 2013」 ると思っている.そのため,本データベースは,プロ の出版に向けてその解析が始まった所である. 「脳卒 グラムを各施設が日本脳卒中協会のホームページから 中データバンク 2009」における解析の一部を以下に紹 ダウンロードし,自らのパソコンで管理ができる 介する. stand alone 仕様になっている.そしてセンターへの データ登録は,個人情報を削除して,暗号化通信を用 いるか CD 等の送付により行う方式をとっている. t-PA 治療状況の解析 発症後 3 時間以内の超急性期脳梗塞に対する t-PA 本データベースの有用性として,まず自施設の臨床 (組織型プラスミノーゲンアクチベータ)治療が 2005 統計が可能となる点がある.近年,臨床指標を公開す 年 10 月に認可された.そのための臨床試験として ることにより,病院の医療の質を評価する試みが普及 t-PA 臨床試験 (J-ACT) が行われたが,その際 J-MUSIC しつつある.その流れの中で病院の診療情報の公開が と共に,本データベースのデータが診療報酬適応拡大 求められており,脳卒中などの治療成績を公開してい の比較補助資料の役割をはたした.2012 年 9 月から くためには病院自身が継続性のあるデータベースをも 適応拡大がなされ,発症後 3 時間以内から 4.5 時間以 つ必要がある.しかもそのデータはほかの病院と比較 内まで投与開始が可能となり,より多くの症例が できるよう標準化されていることが要求される.本 t-PA 治療の恩恵を得ることができるようになった. データベースはその要求にも答えるものとなってい さらに画像上の灌流画像と拡散強調画像のミスマッチ る.さらに,前述したように個々の医師が興味を有す を正しく評価することで,症例を選べば発症後 6 時間 る臨床研究への応用も十分に可能であり,さらにエビ まで t-PA 治療により梗塞巣の拡がりを抑制できると デンス構築をめざす全国レベルの大規模共同研究にも 大規模臨床研究のメタ解析により示されている6).一 応用できるという側面も有している. 方で,投与可能時間が延長されることによるメリット データベースの解析 2001 年より全国 47 の脳卒中専門病院でデータの登 以上に,発症から投与開始までの時間を短縮すること の意義は大きい (Fig. 2) .その意味で後に述べる脳卒 中病院前スケールを用いることによる搬送時間の短縮 The Japanese Stroke Databank 35:135 とから,今回作成したプログラムを利用することにそ が期待される. 「脳卒中データバンク 2009」 によると,t-PA 治療例 れほど困難はないものと考えられる.また今後他の患 は脳梗塞全体の 2.5%,発症 3 時間以内の脳梗塞の 者データベースとの連結も有用である.例えば,薬剤 9.3%とされる.その内訳は,心原性脳塞栓 64%,ア の投与期間やリハビリの開始時期などの情報はこれま 5) テローム血栓性梗塞 16%となっており,心原性脳塞 で電子カルテから入力されていたが,これらに関して 栓が t-PA 治療の対象となりやすい.t-PA が投与され は以下に述べる包括評価制度 (DPC) データを使った入 た 520 例の解析では,男性,低年齢の例ほど予後が良 力の方が簡便かつ正確であると考えられる. 好である.3 時間以内に投与された症例のみでみる 2.DPC データとのリンク と,早期に投与された方が予後は良好である (mRS 脳卒中データベースの有効利用の一つに脳卒中の医 0~1 の割合:1 時間以内 45%,1~2 時間 29%,2~3 療経済解析がある.現在各施設内での DPC データが 時間 24%) .予後に影響する危険因子については,75 診療報酬情報を有していることから医療経済解析が可 歳以上の高齢,糖尿病に対する内服治療などが予後悪 能であるが,DPC データにはそのための臨床評価項 化の因子として認められている. 目が十分に含まれていない.そこで DPC データを脳 脳卒中関連データベースとのリンク 1.電子カルテとのリンク 卒中データベースに取り込むことでより詳細な解析が 可能となることが期待できる.DPC データの抽出に 関しては厚生労働科研事業の 「診断群分類の精緻化と 脳卒中データベースに登録されたデータの信頼性を それを用いた医療評価の方法論開発に関する研究」 (主 担保することは極めて重要で,特に全国規模のデータ 任研究者 東京医科歯科大学 伏見清秀)でプログラ ベースでは正確な入力の困難性が予想される.これを ムが開発されている.これを利用して DPC データを 実現するためにはカルテからの正確な患者データの移 脳卒中入院台帳に取り込むことが可能である.このプ 行が必要である.近年多くの病院で電子カルテシステ ログラムでは DPC の様式 1 と D,E,F ファイルを準 ムが普及しており,患者の病歴情報,時間情報や検 備することのみが要求される.これらのファイルに含 査,治療情報が電子化されている.このような状況 まれる情報としては,入院日,退院日,診断名,合併 で,電子カルテデータを正確かつ容易にデータベース 症,薬剤,検査,手術,リハビリ,食事等である.こ に取り込むことが可能となるツールの有用性が推察さ れらの情報の多くはカルテからの手入力では大きな困 れる.そこで我々は平成 20~23 年度の厚生労働科学 難を伴うもので,プログラムにより脳卒中データ 研究費の補助を受け,脳卒中データベースに必要な電 ベースへの入力をスムーズに行うことが可能とな 子カルテのデータ内容を転送できるプログラムを作成 る.一方で DPC ファイルに含まれない発症日,発症 した7).具体的には,電子カルテ内の入院時および退 時間,検査所見などのデータは脳卒中データベースを 院時記載用テンプレートをまず作成し,それから必要 参照することになる. な患者情報を CSV ファイルに書き出すプログラム, 上記の情報統合から得られたデータに基づき,脳卒 そしてそれを脳卒中データベースに転送するプログラ 中における診療報酬に関する現状の一部を検討し ムを作成した.そして島根大学附属病院の神経内科患 た8).二つの急性期脳卒中患者を取り扱う病院からの 者のデータを使ってソフトの検証を行い,いくつかの データを検討した.まず診療報酬額と脳卒中病型の関 修正を行った上で,本プログラムにより脳卒中データ 連について検討した所,最も報酬額が高額な病型はく ベースへのデータ入力が容易に短時間でかつ正確に行 も膜下出血であった (約 480 万円) .続いて脳出血 (高 えることを確認した.このプログラムは現在の脳卒中 血圧性,血管奇形を含む)であった (約 250 万円) .虚 データベース (脳卒中入院台帳) のオプションメニュー 血性脳血管障害では最も高額が心原性脳塞栓症 (約 の中の 「電子カルテデータ取り込み」 の部分から使用が 200 万円)で,アテローム血栓性 (約 170 万円) ,ラク 可能である.現在,富士通,NEC,東芝の電子カルテ ナ梗塞 (約 130 万円)の順であった.年齢との関連で システムでの作動を確認しており,今後さらに他の電 は,30 歳台から 90 歳台にかけてほぼ直線的に診療報 子カルテシステムにも使用可能な汎用性のあるシステ 酬額は増大していた (30 歳台:約 120 万円,90 歳台: ムに改良していくことが必要である.最近の電子カル 約 190 万円) .入院時の NIHSS と診療報酬額の関連を テはテンプレートの作成などは比較的容易にできるこ みると,最も軽症の 0~10 点では報酬額は最も少なく 脳卒中 35:136 35 巻 2 号(2013:3) Fig. 3 Izumo Prehospital Apoplexy Scale (IPAS) (約 120 万円) ,重症度が上昇するに伴い報酬額も増加 られる.我々は Cincinnati prehospital scale と倉敷脳卒 した (NIHSS 21~30 点:310 万 円) .同様に退院時の 中病院前スケールを組み込んだ Izumo Prehospital Apo- mRS との関連でも,重症度が高いほど報酬額は高額 plexy Scale (IPAS)を作成した [現在は Prehospital Stroke であった.さらに虚血性脳血管障害に対する診療報酬 Scale (PSS)として標準化の方向] (Fig. 3) .これに記載さ 額に及ぼす因子についても検討した.多変量解析を れたチェックリスト書類の一部は病院で,もう一部は 行った所,診療報酬額に独立して影響する因子とし 救急隊で保管しデータベース化を行っている.ある程 て,年齢,発症-来院時間,入院日数,入院時 NIHSS 度まとまった段階でこのデータベースを脳卒中入院台 であった.高年齢,来院までの時間が短いこと,長い 帳に取り込み,最終診断名,t-PA 治療の有無,退院時予 入院日数,高い NIHSS が報酬額の増加に関連してい 後 (mRS) の情報を救急隊にフィードバックをしている. た.発症-来院時間が短い方が金額が高くなるのは早 2008 年 1 月から 2011 年 6 月まで島根大学附属病院 いほど重症例の比率が高くなるためと考えられる. および島根県立中央病院に救急搬送された症例 (524 3.病院前脳卒中スケールとのリンク 例,平均 79 歳)を対象として IPAS の有用性を検討し t-PA 治療が可能となってから,脳梗塞患者を発症 た9).IPAS 導 入 前 で あ る 2008 年 1 月 か ら 2009 年 12 後いかに早く搬送し治療を開始するかが患者の予後を 月を前期,IPAS 導入後である 2010 年 1 月から 2011 決定する重要な課題となっている.t-PA 投与可能時 年 6 月を後期とし,両期間の虚血性脳卒中患者におけ 間が発症後 4.5 時間に延長された現在でもこの重要性 る発症から専門医診察までの時間,t-PA 使用率の変 に変化はない.これの推進のためには t-PA 治療適応 化を検討した.また後期において,IPAS を用いた救 の可能性を迅速・正確に判断し搬送を行う救急隊員の 急隊による病院前診断の精度,および IPAS と NIHSS 役割が極めて大きい.救急隊員に対する Prehospital の相関を検討した.IPAS の脳卒中診断に対する感度 Stroke Life Support (PSLS)の普及により彼らの診断能 は 90%で,他の病院前スケールと同等の良好な成績 力は向上しているが,上記目的を達成するには彼らの であった.一方,特異度に関してはてんかんや低血糖 モチベーションをさらに高める必要がある.その一つ の識別が困難であった.病型別に見た病院前診断の合 として脳卒中に関する病院前スケールのチェックに加 致率は,脳梗塞 63%,脳出血 54%,くも膜下出血 え,彼ら自身が診断を記載し,その後の患者の最終診 64%であった.IPAS 使用前に比し使用後には,発症 断,t-PA 治療の有無,退院時予後に関する情報を早 から専門医診察までの時間が 3.8±4.5 時間から 2.9±3.9 い段階でフィードバックすることが有効であると考え 時間に有意に短縮した (p<0.001) .虚血性脳卒中に対 35:137 The Japanese Stroke Databank Fig. 4 脳卒中医療の急性期から維持期までの シームレスな医療連携と現在の患者登録状況 する t-PA の使用頻度は 12.6%から 18.6%に増加した 院から転院する際に脳卒中データベースの中から必要 が有意ではなかった.また IPAS と NIHSS 得点は良 なデータを書き出し暗号化して,電子データで患者紹 好な相関を有しており,t-PA 治療の対象となる NIHSS 介状に添付する形をとる.リハビリテーション病院で 5~22 点の患者を早期に認知する上で有用であった. はそのデータを読み取り急性期情報を自動入力するこ このように病院前脳卒中スケールを脳卒中入院台帳と とで労力を省くことができる.さらに逆に,リハビリ 照合し救急隊員のモチベーション向上に使用すること データを脳卒中データベースに取り込むことで長期予 で,急性期脳卒中医療の充実を図ることが可能であ 後に関する検討も可能となる. る. 5.脳卒中地域連携パスとのリンク 4.リハビリテーション患者データベースとのリンク 脳卒中診療においては,急性期治療,回復期リハビ 脳卒中急性期医療が変貌しつつある現況で,急性期 リ,維持期医療のスムーズな医療連携が益々重要に 病院では入院直後からのリハビリテーション計画,実 なっている.医療連携の一つの手段として地域連携パ 施が標準的となり,急性期治療の終了後早期に回復期 スが登場し,2008 年には保険収載もされた.熊本市 リハビリテーション病院への転院が必要となってい では早くから脳卒中診療ネットワークの構築が行われ る.日本リハビリテーション学会では理学療法士協 ており,その中で地域連携パスの運用も行われてい 会,作業療法士協会,言語聴覚士協会などとともに日 る.寺崎らはこのパスの運用を電子化する過程で, 本リハビリテーション・データベース協議会を立ち上 ファイルメーカーを用いた方式を導入し,すでに多く げ,リハビリテーション・データベースを構築・運用 のデータを集積している10).このことにより連携パス している.このデータベースの中には対象疾患として が脳卒中データバンクやリハビリテーション・データ 脳卒中,大腿骨頸部骨折,脊髄損傷が含まれ,すでに ベースとの連結が可能となった.これが普及すること 1 万例以上の登録がなされている.このデータベース で近い将来,Fig. 4 に示すように急性期から維持期ま は脳卒中データベースをモデルにリハビリテーション で脳卒中診療を全てカバーできるシームレスなデータ 学会の近藤らがファイルメーカーで作成したもの ベースシステムが構築されることが期待される. で,データの移動が容易にできるように設計されてい る.オプションメニューに 「脳卒中 DB 取込」 の項目が おわりに 装備されており急性期データがすぐに取り込める.一 脳卒中データベースは誕生から 10 年余りが経過 方,脳卒中データベースの方でも患者基本情報の項目 し,蓄積されたデータの解析も着実に行われてお に 「リハ患者データ書出し」 が追加され,データ移動の り,日本人のデータに基づくエビデンスを脳卒中診療 ための準備がされている.実際の運用では,急性期病 に提供している.脳卒中診療には急性期から回復 脳卒中 35:138 35 巻 2 号(2013:3) 期,維持期など多くの分野が関わっており,それぞれ の分野における診療データを連結することで,さらに 我が国の脳卒中診療の充実に貢献することが期待され る. 参考文献 1)小林祥泰:脳卒中急性期患者データベース構築に 関する研究.平成 11 年度厚生科学研究費補助金, 生活習慣病の病態・診断・治療研究事業報告書. 2000 2)小林祥泰:脳卒中データバンクの生い立ちと今 後.脳卒中 31: 395–403, 2009 3)小林祥泰 監修:脳卒中データバンク.東京,中山 書店,2003 4)小林祥泰 監修:脳卒中データバンク 2005.東京, 中山書店,2005 5)小林祥泰 監修:脳卒中データバンク 2009.東京, 中山書店,2009 6)Ogata T, Christensen S, Nagakane Y, et al: The effects of alteplase 3 to 6 hours after stroke in the EPITHET- DEFUSE combined dataset: post hoc case-control study. Stroke 44: 87–93, 2013 7)山口修平,松井龍吉:電子カルテ上の記載と脳卒 中データベースの連携システム開発に関する研 究.小林祥泰 編.平成 20 年度~22 年度厚生労働 科学研究費補助金,循環器疾患・糖尿病等生活習 慣病対策総合研究事業報告書.2011, pp 90–97 8)山口修平,松井龍吉:電子カルテ連携と DPC リン ク構築.小林祥泰 編.平成 23 年度厚生労働科学研 究費補助金,循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対 策総合研究事業報告書.2012, pp 24–30 9)小林祥泰,山口修平,三瀧真悟ら:出雲消防本部 と の 病 院 前 救 護 チ ェ ッ ク リ ス ト IPAS (Izumo Prehospital Apoplexy Scale)を用いた実用性評価研究. 小林祥泰編.平成 20 年度~22 年度厚生労働科学研 究費補助金,循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対 策総合研究事業報告書.2011, pp 56–61 10)寺崎修司,橋本洋一郎:脳卒中地域連携パス電子 化版の開発,普及と脳卒中データバンクとの連 携.小林祥泰 編.平成 20 年度~22 年度厚生労働 科学研究費補助金,循環器疾患・糖尿病等生活習 慣病対策総合研究事業報告書.2011, pp 87–88 Abstract Current and prospective status of the Japanese Stroke Databank Shuhei Yamaguchi, M.D., Ph.D.1) and Shotai Kobayashi, M.D., Ph.D.2) 1) Department of Internal Medicine III, Faculty of Medicine, Shimane University 2) President of Shimane University We have developed a databank system for acute stroke patients in Japan that has been in use since 1999. The databank is currently under the management of the Japanese Stroke Association and the number of registered patients has increased to more than 100,000 now. The databank has a distinct feature from that in other countries; the database is basically a stand-alone type, whose data could be utilized for their own purposes. The whole data were analyzed three times so far, and were published in data books. They have provided information about the current status of medical treatment for acute stroke in Japan. There are several progresses in this databank system. A computer program for the transfer of patient data from electric medical chart to the database has been developed, which secures data accuracy in the databank. Furthermore, the data in the database for Diagnosis Procedure Combination could be also transferred to the stroke database. Combined with the medical information, these data render information for the health economics of stroke. The database could be used for the purpose of to increasing the chance of t-PA treatment in acute cerebral infarction. After combining the data of prehospital stroke scale and stroke databank, the feedback information was given to ambulance attendants. It was proved that this feedback system is effective to shorten the onset-to-needle time probably by enhancing their motivations. The stroke databank data could be also linked easily with the clinical path for regional medical liaison, which facilitate smooth cooperation for the long-term medical treatment of stroke patients. Key words: Japanese Stroke Databank, electrical medical chart, DPC data, prehospital stroke scale, regional medical cooperation for stroke (Jpn J Stroke 35: 133–138, 2013)