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eポートフォリオは省察に有効か?
ポートフオリオの媒体の違いが学習者の主観的効果に与える影響の
分析
山 田 政 寛 I*,岡本剛 1
,島田敬士 1
,木村拓也 1
,大久保文哉 I,小島健太郎 1
,緒方広明 1
1九州大学基幹教育院,干 8
19‑0395 福岡市西区元岡
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. はじめに:ポートフォリオの活用による効果
近年、教育の質保証、実質的な授業改善などが高等教育機関に求められ、様々な施策が採られて
いる。特に全国的に注目され、行われているものとしては、能動的な人材育成の一手法としてアク
ティブ・ラーニングの導入が進められていること、授業外学習環境の整備としてラーニングコモン
ズや大学図書館における学習支援などが具体的な例として挙げられる。アクティブ・ラーニングは、
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授業内に閉じた学習形態ではなく、世の中の様々なリソースを活用し、他者とのインタラクション
を通じて学習する 1つの学修形態である(溝上, 2014)。このような学習形態の成果として、学習者
は 1つのドメインに閉じた知識獲得・活用だけではなく、授業内外における様々な活動やリソース
を集約し、活用するといった成長が期待されているため(金子, 2012)、「学習者自身がどのような
活動を行い、どのようなことを学び、どのように学習成果を出していくのに活動するか」について、
授業内外で省察と行動のサイクルを循環させることが望ましい(溝上, 2
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1)。省察と行動のサイクルによって、アクティブ・ラーニングの要素である自律性の育成も可
能となる(たとえば SchunkandZimmerman,2008)。その省察と行動支援の媒体として、ポートフォ
リオ、特に電子化したポートフォリオである「eポートフォリオ」が注目されている(土持, 2007
。
)
ポートフォリオとは、学習者の学習活動やその成果を蓄積していく媒体であり、授業内外におけ
る学習者の成長に向けた省察を支援することを主な目的として使用される(Ba
町
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9
9
4;吉田・栗
田
, 2015)。期待される効果は、授業と授業外の学習活動の接続、将来への展望意識の喚起などが挙
げられる(ChengandC
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。
)
それを電子化した eポートフォリオでは、パソコンやスマートフォンなどの電子デ、パイスを用い
て容易にアクセス・管理することが可能となるため、従来のポートフォリオの効果を一層促進する
ことが期待されている。例えば、 D
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8)は、図書館における情報リテラシー教育に
おいて eポートフォリオを活用することで、授業内容と授業外の活動を結びつける行動が見られた
と報告している。 Change
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.(
2
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1
4
)は、ゲームデザインと開発に関する授業において、 eポートフ
ォリオとして導入したブログの主観的な効果を分析した結果、知識習得、知識統合、知識保持、知
識蓄積において、ブログ利用群の方が非利用群に対して有意に高い感覚を持つことが示された。一
方で、 eポートフォリオを導入するにあたり、受講者がポートフォリオ作成を最小限の時間で行お
うとしたため、省察支援には至らなかったという報告もある(Yange
ta
l
.
,2015)。単にポートフォリ
オを電子化するだけではなく、学習支援のための構造的・継続的なフィードパックが求められる。
eポートフォリオの導入はまだ過渡期にあり、まだ十分な実施ノウハウや研究知見が蓄積されて
いない。上記のように活動・成果記録の蓄積と継続的な省察支援に積極的な効果をもたらす場合も
あれば、 Yangらの報告のように効果がない場合もある。今後の eポートフォリオの発展的利用に向
けて、実施ノウハウや研究知見を蓄積し、議論をする土台を作ることが望ましい。そのため、本研
究では、省察支援ツールとしてのポートフォリオの主観的効果について、紙と eポートフォリオで
比較し、検討することを目的とする。
2
.方法
2
.
1
.対象とした授業
対象授業は基幹教育科目「基幹教育セミナー」である。九州大学では全学教育カリキュラムの再
編を行い、平成 26年度より基幹教育を開始した。基幹教育は初年次教育から大学院教育までをカ
ノ〈ーした教育システムであり、学習者自らのメタ認知を活性化させ、主体的な学びを生涯にわたり
。
)
行うことができる「アクティブ・ラーナー」の育成を目標としている(九州大学基幹教育院, 2013
①
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|基幹教育紀要作o
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.
特に、基幹教育科目として新たに導入された授業では、他の学習者とのインタラクションを通じて
省察を促進する学習形態であるアクティブ・ラーニングを積極的に導入している。基幹教育セミナ
ーは、平成 26年度から開始された基幹教育科目の 1つであり、新入生おおよそ 2600名が受講する
少人数授業である。授業の目標を「大学で学ぶ意義について創造的・批判的に吟味し、絶えず主体
的に学び続ける態度の育成」としており、学習者自身が他の学習者と自らの考えを語り合うことで、
自らの意識や行動に対して省察を行うものである(野瀬ら, 2015)。この省察支援ツールとして、リ
フレクトシートを毎回授業の官頭に受講者へ配布する。受講者はリフレクトシートに毎週、次のこ
とを書くように担当教員から指示される。
授業冒頭(授業開始後 1
0分間)
》
前回授業から今回の授業までの 1週間の聞に、漠然と感じたこと、自分の気持ちがなぜ
か引っかかった出来事、引っかかった理由など
授業最後(授業終了 1
0分前から終了まで)
》
自分の変化、よくわかったこと、もっと調べてみたいこと、不安なこと・心配なこと、
今日のクラスにおける「私の貢献」など
》
授業に対する要望(任意)
授業終了時に担当教員はリフレクトシートを回収し、来週の授業までにコメントなどを記入する。
次回授業官頭で、担当教員は新しいリフレクトシートと共に受講者へ返却を行う。このリフレクト
シートを活用する目的は自己省察の習慣化、学生・教員聞のコミュニケーション促進、出席確認の
3つにある(基幹教育院, 2014)。しかし、リフレクトシートというツール名にもあるように、自己
省察が形骸化することなく、実質的なものとするためには、リフレクトシートが蓄積され、今後も
参照・活用しやすくなる仕組みがあることが望ましいであろう。本研究はこの省察支援において、
eポートフォリオシステムである Mahara
(
'Mahara,2015)と紙のリフレクトシートの比較を行い、省
察における心理的効果について検証するものである。図 1にリフレクトシートのデザインを示す。
授業構成は前半部である 1回目から 8回固までは、自己紹介、大学で学ぶ意義について議論を行う
こと、発表の方法などを学び、 9回から 1
5回の後半では、前半部で学んだことを踏まえ、自ら大学
で学ぶ意義と将来展望について発表スライドを用いてプレゼンテーションを行う。
2ム対象クラスと研究デザイン
研究デザインとして 2つのデザインを組んだ。 1つは「対応のない」研究デザインである。つま
り、全授業回にて、どちらかの媒体のポートフォリオのみを省察支援に使用する。この場合の研究
デザインは、 eポートフォリオを利用した授業と紙を利用した授業で比較することとなる。この研
究デザインが適用されたクラスは 8クラスであり、受講者は 1
8
4名であった。
他方の研究デザインは「対応のある」研究デザインである。こちらの場合は、前半と後半で使用
する媒体を変更している。このデザインをとった理由は、本授業は前半部と後半部で内容が変わる
ことや授業に対する慣れが授業内容の影響する可能性があるためである。例えば、もし授業後半回
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において一方の媒体の効果が高いことが示されたとしても、「対応のない」デザインのみであれば、
それが媒体の要因なのか授業の慣れなど他の要因なのかが特定できない。また順序効果を相殺する
ために、前半部に Maharaを使用し、後半部に紙を利用するクラスと、その順番を入れ替えたクラ
スで比較を行った。この研究デザインが適用されたクラスは 6クラスであり、受講者は 1
3
8名であ
った。
Maharaを使用したクラスは、紙で行うクラスと同様の方法で、受講者は授業の官頭にて、パソコ
ンやスマートフォンを用いて Maharaにアクセス・ログインを行い、 1週間、心に残ったことやひっ
かかったことなどについて記入を行い、授業末尾にて、授業を受けて感じたことなどの記入を行っ
た。教員は授業後、 Maharaにアクセスし、各受講者の省察内容を参照し、コメントの入力を行った。
Maharaにおけるリフレクトシートの画面を図 2と 3にて示す。
①
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様 式 I リフレクトシート
襲撃
I1 I
II1 I
|||
基幹教育セミナー
リフレクトシート
学番
生日守
氏名
回数・日付
科目
学部 ・学科
担当教員
基幹教育セミナ
・ さて今日の授業を始めます。まずは「前回授業を終えてから(今日まで)』を書き留めましょう。なん
でもかまいません。漠然と感じたこと、自分の気持ちがなぜか引っ掛かった出来事、またその理由な
どなど、なんでも書いてください。
・ 最後に今日の授業を振り返って、コメン卜を書き留めましょう。自分の変化、よくわかったこと、も
っと調べてみたいこと、不安や心配なこと、このクラスに対する今日の「私の貢献』などなど、なん
でも書いてください。
こ対する期待や要望、気づいたことなどがあれば書いてください。
・ この授業 l
以上です。良いクラスとなるように、ますます、みんなで協力していきましょう。
27
図 1 紙のリフレクトシートのデザイン
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E園冨冨・a
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盟国
九州大学
I
eポートフォリオシステム
ダッシュボード
6回
投稿者 E
oIログアウト
a
.
ユーザを検索する
グループ
マイポートフォリオ
2015年度前期・
−基幹教育セミナー(
)学生 :6回
山田政寛 |設 定 。 |国
2015年度前期・
)学生 by
−基幹教育セミナー(
・
2 投稿日時 2015年 04月 08日 11:22
l
.さて今日の授業を始めます。まずは「前回授業を終えてから(今日まで)』を書き留めましょう。何でもかまいません。漠然と感じたこと、自分の気持ちが何故か引っ掛かった出来事、またその理由など
など、なんでも書いてください。
2最後に今日の授業を撮り返って、コメントを書き留めましょう。自分の変化、よくわかったこと、もっと調べてみたいこと、不安や心配なこと、このクラスに対する今日の『私の貢献』などなど、なん
でも書いてください。
3乙の授業に対する期待や要望、気づいたことなどがあれば書いてください。
以上です。良いクラスとなるように、ますます、みんなで協力していきましょう。
フィードパック
画
1コメント
。
冒 フィードバックを投稿する
1
r好ましくないコンテンツを報告する
申 プリント
治 ウォッチリストにページ r2015年度前期・月 5 ・基幹教育セミナー(山田
政寛)学生』を追加する
図 2 Maharaにおけるリフレクトシート表示画面
メッセージ
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段落
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図 3 Maharaにおけるリフレクトシートのフィードバック入力画面
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2ふ収集したデータ
媒体の省察支援における主観的効果については質問紙にて収集を行った。内容としては、アクセ
シピリティ、教員に対する意識、媒体の主観的有効性について尋ねた。全項目とも 5段階( 1:全
くそう思わない(全くあてはまらない)〜 5:非常にそう思う(非常にあてはまる))で回答を求
めた。具体的な質問項目については表 1にて示す。
表 1 質問項目
持
質問項目
1
リフレクトシートを書くことで、自己内省が促進された
2
リフレクトシートに書いた内容を覚えている
3
リフレクトシートに対する教員からのメッセージにおいて、教員の存在感は伝わった
4
リフレクトシートの管理がしやすい
5
過去に書いたリフレクトシートを参照しやすい
6
過去に書いたリフレクトシートに記入した内容を思い出しやすい
7
2
リフレクトシートに対する教員からのフィードパックは参照しやすい
「対応のない」研究デザインの場合は、最終回の授業にてデータ収集を行った。「対応のある」研
究デザインが適用されたクラスについては、前半部の終了時と最終回の授業にてデータ収集を行っ
た
。
3
.結果
3
.
1
. 「対応のない」研究デザインにおける結果
データ分析対象者は全ての質問紙に回答をした 134名(紙: 1
0
1名(男: 69名、女: 32名
)
、 Mahara:
3名))で、あった。データ分析の方法として t検定(Welch
)を用いて分析を行
33名(男: 20名。女: 1
った。その結果を表 2にて示す。
この結果より、内省意識や記憶力に関する主観的効果について差は見られなかったが、管理・参
照のしやすさ、書いたことの想起については Maharaの方が有意に高いことが示された。一方、教
員からのフィードパックに対する参照のしやすさについては紙の方が高い傾向があることが示さ
れた。
①
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表2
基幹教育紀要
叫
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「対応のない」研究デザインにおける比較分析結果
平均値
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2
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リフレクトシートに対する教員からフィードパック
紙
3
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5
0
.
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8
において、教員の存在感が伝わった
Mahara 3
.
8
1
0
.
1
5
リフレクトシートの管理がしやすい
紙
3
.
2
9
0
.
1
1
Mahara 3
.
8
1
0
.
2
0
紙
3
.
4
2
0
.
1
1
Mahara 3
.
8
8
0
.
2
0
過去にリフレクトシートに記入した内容を思い出し
紙
3
.
2
0
0
.
1
0
やすい
Mahara 3
.
6
4
0
.
2
0
リフレクトシートに対する教員からのフィードパッ
紙
3
.
7
8
0
.
0
9
クは参照しやすい
Mahara 3
.
3
6
0
.
2
1
項目
群
リフレクトシートを書くことで自己内省が促進され 紙
過去に書いたリフレクトシートを参照しやすい
pf
直
t
(
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4
.
3
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)
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0
.
8
8
t
(
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l
.
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4
)
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0
.
7
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t
(
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=
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=
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η
t
(
5
2
.
6
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)
=
ー1
.
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0
.
0
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η
t
(
4
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.
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=
ー1
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9
2 p
t
(
4
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)
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.
1
3ム
「対応のある」研究デザインにおける結果
「対応のある」研究デザインが適用されたクラスにて、データ分析対象者数は全ての質問紙項目
に回答をした 92名(男: 56名、女: 36名)であった。分析方法として、媒体×順序の 2要因の分
散分析を行った。その結果を表 3にて示す。
この結果より、省察意識や記憶力について、有意な主効果、交互作用は見られなかったが、教員
の存在感については、順序において有意な主効果と媒体との有意な交互作用が確認された。媒体に
ついては有意な傾向が確認された。またリフレクトシートの管理については有意傾向の交互作用が
見られた。過去に書いたリフレクトシートへの参照のしやすさについては、媒体における有意傾向
の主効果、ならびに有意な交互作用が確認された。教員のフィードパックに対する参照については、
順序の主効果、交互作用が確認された。
表3
項目
「対応のある」研究デザインにおける分散分析の結果
平均値(SD)
群
有意差
I
紙
I3
.
7
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(
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)
Mahara
リフレクトシート|紙
→
①
媒体
順序
交互作用
l
h
を書くことで自己
Mahara
内省が促進された
Mahara →
︐
|基幹教育紀要作o
l
.
3
.
3
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リフレクトシート
紙
一一歩
3
.
1
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(
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) 3
.
2
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(
1
.
0
1
)
に書いた内容は覚
Mahara
えている
Mahara →
3
.
0
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(
1
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2
2
) 3
.
0
2
(
1
.
1
2
)
紙
リフレクトシート
紙
に対する教員から
Mahara
フィードパックに
Mahara →
おいて、教員の存在
紙
一一歩
4
.
1
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(
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.
0
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)
感が伝わった
リフレクトシート
紙
の管理がしやすい
Mahara
一一歩
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(
1
.
1
7
)
紙
過去に書いたリフ
紙
レクトシートを参
Mahara
照しやすい
Mahara →
一一歩
3
.
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) 3
.
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2
)
紙
過去にリフレクト
紙
シートに記入した
Mahara
一一歩
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.
3
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(
1
.
1
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)
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紙
リフレクトシート
紙
に対する教員から
Mahara
のフィードパック
Mahara →
は参照しやすい
紙
一一歩
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.
1
4
.考察
本研究では、 2つの研究デザインによるデータ収集・分析を通じて、ポートフォリオの媒体が省
察支援に対して、どのような効果の違いがあるか検討を行った。「対応のない」研究デザインでは、
管理・参照のしやすさ、書いたことの想起については Maharaの方が有意に高く、教員からのフィ
ードパックに対する参照のしやすさについては紙の方が有意に高いことが示された。 Maharaについ
スマートフォンでもアクセスできるというユピキタス
①
てはノート型コンビューターだけではなく
電E
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・−
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基幹教育紀要
叫
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環境の効果によってアクセシピリティが向上したことが大きいと考えられる。一方で紙の方は学習
者自身で管理をしなければならず、管理の手聞がかかると思われる。事実、自由記述においても、
紙の方では「管理ファイルを用意して欲しい」といった記述も多く見られた。しかし、教員のフィ
ードパックに対する参照のしやすさについては、紙の方が高いことが示された。これは教員が手書
きでフィードパックする際も、受講者による記述内容について、下線や矢印など、どの箇所に対す
るフィードパックなのか指し示すことができ、フィードパックの了解性が高くなることが 1つの理
由として挙げられるであろう。一方、 Maharaではプレインなテキストエリアによるメッセージ入力
であるため、受講者の記述内容において具体的な場所を示して、フィードパックすることはできな
い
。 Maharaと紙が持つ機能的特徴によって、これらの差が示されたと思われる。
「対応のある」研究デザイン、つまり授業回の前半・後半でリフレクトシートの媒体に変更があ
ったクラスについて、過去のリフレクトシートへの参照のしやすさについては、 eポートフォリオ
の方が、有効性を認識されることが示されたが、後半に使った方がより有効性が認識されることが
示唆された。フィードパックにおける教員の存在感は紙の方が強く伝わるが、交互作用があり、後
半に紙を使った方がより強く、存在感が伝わることが示された。フィードパックの参照のしやすさ
については媒体を問わず、後半に使った方が参照しやすいことが示されたが、紙を使うことで参照
のしやすさが感じられることが示された。管理のしやすさについては、交互作用のみが見られ、後
半に eポートフォリオを使う場合に限り、管理のしやすさについて有意に高く認識されることが示
された。
全体的に媒体聞の変更がある場合、後半において、有効性の認識が強化されることが示された。
後半に媒体の効果が強く認識される考えられる理由としては、授業に対する慣れの影響も強く関係
していると思われる。媒体の影響については、 ICTに対する適応度が高い世代(O
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2005)であるため、リフレクトシートの媒体変化、特に eポートフォリオへの対応については慣れが
早いように思われるが、メッセージやフィードパックについてはコメント欄にタイピングをして行
うものに機能は限定される。紙など手書きを可能とする媒体は人の存在感が伝わる効果が高く(L
i
andA
k
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h
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r
i
,2007
)、教員の存在感や教員からのフィードパックへの参照のしやすさに対して、 eポ
ートフォリオと比べ、高く認識されたものと思われる。他にも授業内容の影響も考えられる。後半
は受講者のプレゼンテーションが連続して続き、プレゼンテーションの内容も、受講者自身のこれ
まで、の経験や今後のキャリアも含んだ自己開示となる。考えている内容や将来のキャリアなどにつ
いて受講者間の類似性などを見出すことが考えられ、学習意欲が変化し、媒体の有効性認識が変わ
る可能性もあり得る。しかし、今回は内容変化による学習意欲に関するデータ収集は行っていない
ため、今後、検討すべき課題としたい。
5
.結論と今後の方向性
本研究では、基幹教育セミナーにおけるリフレクトシートを通じて、媒体の違いと受講者の省察
に対する効果の認識との関係について調べた。その結果、教員の存在感や教員からのフィードパッ
クに対する参照は、紙の方が有効性が高いと認識され、管理やリフレクトシートへのアクセス自体
①
l
h
︐
|基幹教育紀要作o
l
.
については、 eポートフォリオの方が紙よりも効果があると認識された。リフレクトシートなどで
支援を行った省察は授業その場だけではなく、受講者の今後の学習において継続的になされるもの
であり、 eポートフォリオという媒体を活用することで、管理・参照がしやすくなり、今後の活用
が期待される。しかし、授業内の活用においては、フィードパック対する参照に対して、重要な役
割を果たす要素が効果的になることが望ましいであろう。実際に、今回の調査では教員の存在感の
伝達などにおいて、紙の有効性が認識されていることも確認された。近年の情報技術の発展により、
デ、ジタノレペンなど手書きをデジタル化するようなツールも現れ、教員からのフィードパックへの参
照を支援しつつ、管理もしやすくなる。このようなツールを使用して eポートフォリオを蓄積し、
ta
l
.(
2
0
1
4
)ではプログを eポートフォリ
学習へ活用されることも期待されるであろう。また Change
オとして活用しているが、画像などのマルチメディアも含めて、学習活動や成果の蓄積を可能とし
ている。本授業でも、学習者の部活動などでの取り組みなど、学びを促進する取り組みをマルチメ
ディアで記録・蓄積し、学習者の成長を促すような利用方法も可能であろう。しかし、一方で eポ
o
l
l
i
g
e
r
,
ートフォリオの多機能化により認知負荷が高くなることも示唆されており( ShepherdandB
2
0
1
1)、省察支援につながる有効な機能精査も同時に求められる。
今後は基幹教育セミナーのリフレクトシートに限らず、自分の学びの軌跡を蓄積し、自己実現が
支援できるよう、 eポートフォリオが授業外でもアクセスされ、活用できる環境整備を進め、継続
的に eポートフォリオの有効性について検討する必要があるだろう。また、 eポートフォリオの利
活用が、「アクティブ・ラーナー」の育成において、どのように貢献するかについても、今後、継
続して調査していく必要があると考えられる。
謝辞
本研究は九州大学
平成 26年度教育の質向上支援プログラム(課題名「ティーチングポートフ
オリオの開発と導入」、代表者:緒方広明)の支援を受けて、実施されている。また本研究を進め
るにあたり、データ収集にご協力下さいました、梶原健佑先生、福留留美先生、土井道生先生(以
上、基幹教育院)、田尻義了先生、中野等先生(以上、比較社会文化研究院)に感謝申し上げます。
参考文献
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1月 1
1 日参照)
九州大学基幹教育院:基幹教育セミナーの手引き,九州大学基幹教育院, 2014
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5年 1
1月 1
2日参照)
溝上』慎一:アクティブラーニングと教授学習ノ号ラダイムの転換,東信堂, 2014
野瀬健・飯嶋裕治・小島健太郎・佐合紀親・斎藤新悟・猿渡悦子・田中岳・内田竜也:基幹教育セ
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ミナーの実施体制について,基幹教育紀要, 1
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1 日取得)
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土持ゲーリー法一:ティーチング・ポートフォリオー授業改善の秘訣,東信堂, 2007
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吉田累・栗田佳代子:大学院生版アカデミック・ポートフォリオの開発,日本教育工学会論文誌,
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