Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

カスタマーレビュー

  • 2014年6月8日に日本でレビュー済み
    「推理書小説は人物を書く」なんて解説にありましたけど、この本には登場
    人物のほぼ全てに対し「聡明で博識、前向きで明るく協力的で推理を楽しん
    でいる」感覚が残ってしまった。

    もちろん人物の差がない訳じゃないし、ネガティブな発想をする人物も居るし、
    主人公と探偵が関わってくることを否定する言葉も出てきます。しかし、
    皆一様に「協力した方が益がある」というような感じで理性的、打算的思考に
    落ち着いて、人懐っこい協力姿勢を披露していく・・・。ってコレどうなんで
    しょう?思想の違いを書いているのに、思考過程や態度が同一人物になってい
    くような違和感。時どき、一人芝居感に熱が冷めてしまう。

    それに比べてドラマ的な重みがあった本で思い出すのは
    伊岡瞬「瑠璃の雫」
    松本清張の「ゼロの焦点」
    野沢尚の「深紅」
    横山秀夫の「半落ち」(こちらはミステリーとしては弱かった)
    かな。

    どうなんでしょうねぇ。ひょっとして推理小説とミステリーは別物なのかな。
    自分はエンタメ主体の読書嗜好だけど「朱色の研究」には人間ドラマよりも
    パズル感覚、謎解きの方が印象に残ってしまった。

    ただし謎解きは非常に楽しめたし、ちょくちょく登場する表現、薀蓄は面白く
    読めました。それに実際の人物から知り得た情報であろう知識も良かったで
    すね。たぶん。この作家さんは前向きで明るく、聡明で物事を楽しみ、知識欲
    も旺盛なのだと思う。人物としては最高の人柄かも知れないし、友人たちにも
    素晴らしい人が沢山いるのではないかなんて勝手に想像してますね(これは本
    の感想じゃなく、読後に受けた作家に対する勝手な印象)

    この作家さんの本はこれが初ですが、そう言った意味では安心して楽しめる作
    家さんかもしれない。
    7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート 常設リンク

商品の詳細

5つ星のうち4.0
252 件のグローバル評価