「自宅療養」、言葉を破壊する菅政権 中島岳志さん

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刀祢館正明
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 変異株が猛威をふるい、急増する新型コロナウイルスの感染者。病床は枯渇し、誰がいつ感染してもおかしくない状況です。政府は、入院は重症化リスクの高い人に重点化し、あとは基本「自宅療養で」という方針を示しました。しかし、どうしてももやもやしたり不安になったりしてしまう。それはなぜなのか、政治学者の中島岳志東京工業大学教授に聞きました。

 ――「自宅療養」という話が出てきたときに、中島さんはツイッターで「言葉の使い方が違う」と反応しました。どういう思いでしたか。

 「あれは明らかに自宅療養ではなくて、『入院できません』という、一種のトリアージ(治療順位の選別)をすることを別の言い方をしたわけです。自宅療養というのは、一般的には症状が一定程度安定した時に病院から出て自宅でゆっくり静養するという意味です。入院という選択肢を奪われているのに自宅療養とは言えないはずで、本来は入院拒否とか入院謝絶と言ったり、あるいは別の言い方をしたりすべきです。といっても医療現場は懸命な活動をされており、問題は政府の側にあります」

いまの政権は言葉を破壊している。政権への信頼が崩れると、人々は自粛要請も聞かなくなる――。中島さんはそう分析します。記事の後半では、そんな「政治のネグレクト」をどう打開できるのか、聞いていきます。

 「安倍晋三内閣と菅義偉内閣…

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