北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」 道に賠償命令 札幌地裁
2019年の参院選で、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばした男女が、北海道警の警察官に違法に排除され、憲法が保障する表現の自由を侵害されたとして、道に慰謝料など計660万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、札幌地裁であった。広瀬孝裁判長は「2人の表現の自由などが違法に侵害された」と述べ、道に計88万円の支払いを命じた。
判決によると、19年7月15日、原告男性(34)はJR札幌駅前などで応援演説をしていた安倍氏に「安倍やめろ」とヤジを飛ばし、警察官らに排除された。「増税反対」と叫んだ女性(26)も移動させられた上、警察官らに長時間つきまとわれた。
2人は「政治批判の声を最高責任者にぶつけるまれな機会を違法に奪われた」として、20年2月までに提訴。道警側は、排除は警察官職務執行法に基づく適法な行為と主張。原告らが聴衆に危害を加えられるなどの恐れがあったとした。
判決は現実的な危険があったかどうかを検討した。市民が撮影した動画などをもとに、怒号が上がるなど騒然とした状態にはなっておらず、警察官職務執行法の適用要件を満たしていないと判断。警察官らの行為を「違法なもの」とした。
その上で、判決は表現の自由について「民主主義社会を基礎づける重要な権利であり、公共的・政治的表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されるべきだ」と指摘。原告らのヤジは公共的・政治的表現行為だと認めた。さらに、警察官らは原告らのヤジが安倍氏の演説の場にそぐわないものと判断して「表現行為そのものを制限した」と結論づけた。
また、原告女性につきまとった行為については、移動・行動の自由や名誉権、プライバシー権の侵害にあたると認定した。
北海道警監察官室は「判決内容を精査し、対応を検討する」との談話を出した。
判決要旨
記事の後半に、判決の要旨をまとめました。
街頭演説中の安倍晋三首相(…
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- 【視点】
憲法担当の政治記者として、とても考えさせられる判決です。特に記事後半の要旨をご覧いただければ。そして、政治家の演説を多く取材してきた立場からコメントを添えさせていただきます。 このケースのポイントは、「街頭演説」「首相の演説」と、表現の
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