得点したのに喜んじゃダメ? 卓球でルールになくても守るマナー
あれ? なぜもっと喜ばないのだろう……。事情を知らない人は、そう思ったかもしれない。
卓球では、得点した側が、喜ばずに相手側に謝罪の意思を示す場面がある。パリ五輪でも、そんな様子が見られる。
今年2月、韓国・釜山で開かれた卓球の世界選手権女子団体戦決勝では、こんなことがあった。日本のエース早田ひなは、東京五輪シングルス金メダリストの陳夢(中国)を初めて倒した。
早田がゲームポイント2―1で迎えた第4ゲームはジュースの熱戦となった。13―12で早田リードの場面で、陳夢のサーブを早田がレシーブ。その打球がネットに当たり、相手側の台にぼとりと落ちた。
早田にとっては会心の初勝利。ところが、申し訳なさそうに右手を上げ、相手に向かってぺこりと頭を下げた。ついさっきまで、ポイントを重ねるたびに拳を固めてガッツポーズをしていたのに、だ。
こうした態度の理由は、ルールで定められてはいない卓球の「マナー」にある。
ネットに当たった不規則な打球で得点が決まったケースでは、得点者が手を上げるなどして相手に謝罪の意思を示すのが慣例となっている。喜びを爆発させてしまいそうな快挙の瞬間も、早田はマナーを守ったのだ。
意思の示し方は早田のように手のひらを相手に見せるのが一般的。だが、決まりがあるわけではない。
元世界ランキング1位、「皇帝」の異名を持つドイツ代表のティモ・ボルは、人さし指を軽く上げるスタイルで知られている。