北陸新幹線延伸へ思惑が交錯 費用対効果に疑問、消えた案の待望論も
東京から敦賀(福井県)までつながる北陸新幹線を、新大阪までどんなルートで延伸するか。8年前に小浜・京都ルートに決まったにも関わらず、消えた案の再考を求める声が上がり始めた。国土交通省によると、建設費は当初の想定の2倍近い約3・4兆~3・9兆円に膨らみ、15年とされた工期は最長で28年に延びるという。
小浜・京都ルート
北陸新幹線敦賀―新大阪間を、福井県小浜市付近を経由し京都府を南下してつなぐルート。京都新駅周辺について3案(南北、東西、桂川各案)が国土交通省から示され、各案での工期や建設費が新たに算定された。
「まさに国策なんですよ。『いくら以上だったらやらない』という判断をすべきものではない。絶対やらねばならないということです」
膨らむ建設費と工期が国交省から示された8月7日の与党の北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会後、西田昌司委員長(参、京都)は報道陣にそう説明した。東京―大阪間を東海道新幹線とは別の日本海側のルートで結ぶことで、災害時の「リダンダンシー(代替機能)」に資すると強調した。
費用対効果は低下、割れる見解
ただ税金を投じる整備新幹線としては足元が揺らぐ。着工の5条件の一つは、事業で得られる便益を金額に換算し、事業費で割った費用対効果が1を上回ることだが、建設費の増大で、従来の計算方法では0・5程度に下がる見込みだ。
1を割る可能性を問われた西田委員長は、費用対効果は事業の優先度をつけるためのものだと回答。「1より低かったらやらないというルールじゃなかった。世界的にも1を切るからやらないという運用の国はない」と訴えた。
すると、臨席した佐々木紀事務局長(衆、石川2区)がすかさず、「訂正した方がいい」と発言。「基本、1を切った事業はできないと思う」と反論した。今度は西田委員長がマイクを手にし、「ちょっと違うよ。1を切ったからやらないという運用をしている国はどこにもないという事実を言っている」と応戦した。
応酬の背景には、沿線自治体間の思惑の違いがある。
現在計画が進むのは、福井県…