死なせた女性は「人違い」 男が語った後悔と涙「人生の岐路は中1」

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岡田昇
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 「別の人生を歩みたかった」――。「ルフィ」「キム」と呼ばれる2人がフィリピン入管施設から遠隔で指示した連続強盗事件で、実行役のリーダーだった男は、法廷でそう悔いた。なぜ事件に関わったのか。東京地裁立川支部は7日、被告を無期懲役とする判決を言い渡した。

 永田陸人被告(23)は、2022年11月~23年1月の計68日間で六つの事件に関与したとされ、東京都狛江市で当時90歳の女性を暴行して死亡させた強盗致死などの罪で起訴された。

空き巣の報酬は「50万円」

 公判で検察側が提出した証拠や、被告の供述などから事件をたどる。

 22年11月。石川県で土木作業の仕事をしていた被告は、ツイッター(現X)で高収入のアルバイトを探していた。

 1年ほど前から競艇に金をつぎ込み、借金があった。大勝ちの快感にとりつかれ、ヤミ金融で借りていた。

 ツイッターをきっかけにつながった男が、指示役のキムだった。最初に持ちかけられたのは神奈川県秦野市の民家への空き巣。「報酬は50万円」だった。

 現場では耳にワイヤレスイヤホンをつけ、通信アプリ「テレグラム」を通じてキムと会話ができるようにした。勝手口から入り込み、腕時計など64点を袋につめこんで逃げた。

 「目標額に達していない」と言われ、報酬はもらえなかった。ただ、盗んだ腕時計2本をキムに内緒で売って、170万円を得た。

 検察官「盗みに抵抗はなかったのか」

 被告「全くなかったです」

 検察官「なぜ」…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2024年11月8日8時28分 投稿
    【視点】

    【激増する特殊詐欺犯は日本のこども政策・教育政策・福祉政策の敗北も意味している】永田被告が中学1年生だった10年前から、私はこの国の子どもの貧困対策に関わっていました。家に薬物があり、家族が適切な養育をできない環境の子どもたちは、子どもらし

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