第3回微細なマイクロ文字はコピー機で読取不能 偽造を防ぐ「高い芸術性」
【ニュートンより】新紙幣のテクノロジー(3)
紙幣に入れられたとても微細な「マイクロ文字」も,偽造防止技術の一つだ。各紙幣の肖像の右下にある額面の縁のあたりを虫眼鏡でのぞいて見てほしい。「NIPPONGINKO」と書かれた非常に小さな文字をみつけることができる。この小さな文字が「マイクロ文字」だ。
マイクロ文字の幅は0.3ミリメートルほどで,コピー機では再現できずにつぶれてしまう。コピー機に内蔵されているスキャナーは,画像を細かな区画(画素)に分割して各画素の色を記録し,画素を一つの点として出力して画像を再現する。この区画の細かさを解像度という。解像度の単位は,1インチの中にある点(ドット)の数をあらわす「dpi(ドット・パー・インチ)」であらわされる。解像度が大きいほど画像を緻密に再現できるが,一般的なコピー機はマイクロ文字を再現できるほどの解像度がない。マイクロ文字は先ほど紹介した場所以外にもさまざまな場所にある。どこにあるのかさがしてみても面白いかもしれない。
インキにこめられた数々の偽造防止技術
紙幣に使われるインキも,特殊なものが使われている。インキは着色に用いる顔料や表面を保護するために用いられるワニスなどを独自の配合で練り合わせて製造している。このため,紙幣はコピー機では再現しにくい複雑な色合いをもっていたり,傾けたときの角度によって色がついて見えるようになっていたりする。
新紙幣には紫外線を当てると…