江戸川区、学校工事で不適切な分割発注145件「業者との癒着なし」
東京都江戸川区は25日、区の学校施設の請負工事契約で、不適切な発注が145件あったと発表した。一般競争入札による契約を避けるため、契約を分割し、1件当たりの発注額を低くしていた。区は、地方自治法に抵触する恐れがあるとして小松川署に相談しているが、業者との癒着はないとしている。
地方自治法は、自治体発注の請負契約は、公正性確保などのため一般競争入札を原則としている。随意契約にできるのは、予定金額が130万円未満の工事に限っている。
学校施設課が昨年度に発注した学校施設の工事1458件を調査したところ、63校の工事145件で、随意契約にするための「分割発注」があった。教室や空調、照明などの工事が主で、分割された契約は同一の事業者と結んでいた。
10分割以上した契約が5件、5~9分割は18件、2~4分割が122件だった。最も高額な契約は、小学校のLED取り付け工事の1760万3300円で、14分割していたという。
区によると、競争入札は手続きに時間がかかるため、「スピード感を重視し、いち早く対応しようとした」(斉藤猛区長)という。区教育委員会も「工事の実績がある業者に依頼していたもので、担当課職員への聞き取り調査では、業者との癒着が疑われる証言はない」としている。
区は今後、第三者検証委員会を立ち上げて、再発防止策の検討などを進める。斉藤区長や分割発注に携わった担当課職員の処分も検討する。現在、資料が保存されている過去5年間分の区全体の全契約約15万件についても調査していて、結果が出しだい発表する方針だ。
分割発注は9月にあった区教委の財務監査で発覚。区立平井東小学校(同区平井4丁目)の校舎と、学童クラブの建物の間を行き来するための渡り廊下の新設工事で行われていた。
契約予定金は1557万6千円だったが、区の担当職員が130万円未満になるように契約を12分割。同じ事業者にそれぞれ12分割した金額で発注していた。区教委が検証チームを立ち上げて、他にも同様のケースがないか調べていた。