法科大学院20年の現在地 半数以上が撤退、「予備校化」の指摘も

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増谷文生 久保田一道
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 昨秋、その年初にあった能登半島地震の被災者約120人が仮設住宅で過ごす石川県能登町の「ふじなみ団地」を、早稲田大法科大学院の学生ら10人が訪ねた。

 集会所のお年寄りたちに声をかけ、まずは地震に遭った時の様子や、自宅の現状などを教えてもらう。打ち解けてきたところで、悩み事や今後の生活への不安がないか、質問を重ねた。

 「自宅は住めない状態なのに半壊と判断してもらえない」「公費解体のために大勢の同意書が必要で大変だ」

能登の被災地支援 学生は気づいた

 厳しい現状に、時に顔をゆがめながらメモを取る学生の多くは、翌週に司法試験の合格発表を控えていた。

 3年生の上野ほのかさん(24)は、学生ではなく一般の人と法律に関わる話をする難しさを実感したという。「見ず知らずの人と信頼関係を築くには、どんな話をすればよいのか。コミュニケーション力が重要だと改めて気づいたので、これから鍛えていきたい」と話した。

 同大学院は東日本大震災後、原発被災地で学生らが困り事を聞き、解決策を探る活動を続けた。これまでは福島県浪江町で原発事故の被災者を支援してきた。

 ほかにも、留置場で刑事事件の容疑者に接見したり、一般の人から法律相談を受けて訴状の文案を作ったりしてきた。

 「困難を抱える人と実際に向き合うことで、実務で必要なことに気づかされる。法律家としてさまざまな活躍の場があることを知り、修了生の選択肢を増やすためにも重要」。実践活動を続ける意義を、古谷修一・同大学院長はそう語る。

 2004年度に始まった法科大学院は、まさにこうした現場体験による法曹倫理や責任感の養成を目的の一つに置いた。

 だが今、早大のような実地教育や社会貢献活動に力を入れる大学院は減り、多くが司法試験重視の教育にシフトしたといわれる。

 ある法科大学院の教授は「司法試験に合格させるための教育ばかりになれば予備校と同じ。そうならないように社会貢献活動に取り組みたいが、全然できていない」と嘆く。

 裁判員制度と並ぶ司法改革の…

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この記事を書いた人
増谷文生
論説委員|教育担当
専門・関心分野
教育(主に大学)、運輸
久保田一道
東京社会部|法務省担当
専門・関心分野
法制度、司法、外国人労働者、人口減少
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    明石順平
    (弁護士・ブラック企業被害対策弁護団)
    2025年1月9日20時32分 投稿
    【視点】

    私は法科大学院を経て弁護士になったが、経験者として断言できる。 法科大学院は不要である。時間と金の浪費でしかない。 教授は研究のプロかもしれないが、教育のプロではない。 ユーザー目線から言って、合格点を与えられる教授はほんのわずかであった

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  • commentatorHeader
    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2025年1月10日7時28分 投稿
    【視点】

    私も法科大学院世代の弁護士ですが、根本的に制度設計を作り直したほうが良いと思います。 私が入学した頃は、まだ入学者もそれなりに多かった時期でしたが、当時の弁護士の就職状況の厳しさなどが露呈するにつれ数年で入学者は減っていきました。 とは

    …続きを読む