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AMG CLE 53 x CLK 63 AMGブラックシリーズ(1) ワイドフェンダーに秘めた熱い刺激

公開 : 2025.03.01 09:45

AMGの栄光を体現したCLK 63のブラックシリーズ 豪華な内装から想像する以上に臨場感の高いAMG CLE 53 アグレッシブなボディに秘めた実態は 英国編集部がDNAの現在を探る

AMGの栄光を体現したブラックシリーズ

筋肉質なボディラインを見れば瞭然。新しいメルセデスAMG CLE 53が、ドライバーへ興奮を誘うことは間違いないだろう。その容姿が包む実態を、しっかり確かめたいと筆者は以前から考えてきた。

とはいえ、リアフェンダーが75mmも広げられた、数世代前のCLK 63 AMGブラックシリーズを凌駕するインパクトを与えることは難しいかもしれない。ホイールアーチギリギリに、特別仕様のミシュラン・タイヤが収まっている。弱気にならずにいられない。

ホワイトのメルセデス・ベンツCLK 63 AMGブラックシリーズと、グレーのメルセデスAMG CLE 53 4マティック+
ホワイトのメルセデス・ベンツCLK 63 AMGブラックシリーズと、グレーのメルセデスAMG CLE 53 4マティック+    マックス・エドレストン(Max Edleston)

メルセデスAMGは、新しいC 63へ直列4気筒エンジンのハイブリッドを選んだ。シリンダーの数は、V型8気筒の半分。ブランドが築き上げてきた評判は、自ずと揺らいだ。それを補完する上でも、刺激的なCLE 53は必要だったのかもしれない。

白く輝くCLK 63ブラックシリーズほど、往年のAMGの栄光を体現したモデルは多くないだろう。2007年に発売されると、アグレッシブな見た目と走りで世間を湧かせた。最近では、モダンクラシックとして価値が上昇基調にある。

これこそ、正真正銘のAMGだと受け止める読者は少なくないと思う。比較的小さなCLKに、ブランドのDNAが凝縮されている。リアフェンダーは、バブル時代の肩パッド・スーツのように、あからさま。当時のAMGの象徴ともいえた。

だがAMG CLE 53にも、その系譜は受け継がれているはず。比べれば、スムーズなボディの内側へ。

もとF1グランプリのセーフティーカー

あいにく、試乗に指定した日は雨がちだった。路面は冷え切り、軽く濡れている。こんな優れない条件では、技術的に新しいモデルの方がより魅力的な運転体験を提供してくれることは、想像に難くない。

だとしても、希少なブラックシリーズ。筆者のつま先は、自然と純白のボディへ向かう。英国仕様として販売されたのは、僅か30台。今回の車両は左ハンドルで、並行輸入で複数がグレートブリテン島へ上陸したことを示しているが、激レアには変わりない。

メルセデス・ベンツCLK 63 AMGブラックシリーズ(海外仕様)
メルセデス・ベンツCLK 63 AMGブラックシリーズ(海外仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

情報によると、英国での残存数は28台だとか。新車時の価格は、法外にも思えた9万9517ポンドだった。インフレを加味しても、現在は遥かに高い金額で取引されていることは、説明するまでもないだろう。

「このブラックシリーズは、SLRを含めても、現在販売されているメルセデス・ベンツの中で最も過激なクルマといえます」。2008年1月に試乗したAUTOCARは、興奮を隠さずこう伝えた。

ご存知の読者もいらっしゃるかと思うが、CLK 63 AMGブラックシリーズはF1グランプリのセーフティーカーとしてサーキットを走った。ただの「スタイル」ではない、価格に不足ない実態を伴っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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