【米大統領選2016】トランプ氏 外交政策は「米国第一」

トランプ氏は「米国の外交政策のさびを落とす」と語った(27日、ワシントン市内のホテルで)

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米大統領選に向けた共和党候補の指名争いでトップを走る実業家のドナルド・トランプ氏は27日、ワシントンで行った演説で自らの外交政策を説明し、「米国第一」政策を推し進めるとした。同氏は26日に米北東部5州で開かれた予備選全てを制したばかり。

トランプ氏は演説の大半をオバマ大統領の外交政策批判に費やした。現政権を「弱腰、混乱、無秩序」と評し、政策は「完全な大失敗」だと述べた。また、「米国の外交政策のさびを落とす」と語った。

トランプ氏は演説の前に、「トランプ・ドクトリン(トランプ主義)」を発表するつもりはないとし、当選した場合には一部を修正する可能性に含みを残した。

動画説明, トランプ氏の外交政策 中身乏しいが

「イスラム国」への対応

トランプ氏はIS容疑者らへの尋問をより厳しくするべきだと述べていた

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画像説明, トランプ氏はIS容疑者への尋問をより厳しくするべきだと述べていた

トランプ氏は、自身の政権の下では過激派組織「イスラム国」(IS)が掃討されるのは「時間の問題になる」とした上で、「彼らにそれがいつかは教えないし、どうなるかも言わない」と述べた。

同氏はこれまで、ISが掌握する石油資源を奪い、「ウオーターボーディング」と呼ばれる水責めなど厳しい尋問方法を使うと述べていた。ただし、27日の演説ではそこには触れなかった。

トランプ氏は演説で、「過激なイスラム主義の拡散を止めるのが米国、そしてもちろん世界の主要な政策でなければならない」と語った。さらに、過激主義と戦うため同盟国と緊密に協力するとした。

NATOやロシア、中国について

トランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)参加国と新たな協議を開始し、組織改革や米国の拠出金の「リバランス(再調整)」を進めると語った。

さらに、ロシアと協議して、イスラム過激主義への対応で合意点を探る意向を示し、「ロシア人には論理が通じないと言う人もいるが、本当かどうか確かめるつもりだ」と述べた。

中国については、「(中国は)強さへに敬意を払う。我々は今、経済的に利用されるのを許しているから、彼らの敬意を失っている」とし、「中国との関係を改善する」と述べた。ただ、詳細は語らなかった。

同盟国について

トランプ氏は、「我々が守っている国は防衛費を負担しなくてはならない」とし、「でなければ、米国は、自国は自分で守らせる、という構えでなくてはならない。我々にそれ以外の選択肢はない」と語った。

同氏は先月、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで日米関係について、「我々が攻撃を受けることがあっても、向こうは我々を守る義務がない。もし日本が攻撃を受けたら、我々は絶対向こうを守らなくてはならない。それは本当に問題だ」と述べている。

トランプ氏の外交顧問は誰?

トランプ氏は過去に、自分自身が最も良き外交アドバイザーだ、と述べたことがある。しかし最近では、舞台裏の顧問集団を拡大している。一部の選択は批判も集めた。

顧問チームを率いるのは、共和党のジェフ・セッションズ上院議員(アラバマ州選出)だ。

元軍人のジョセフ・シュミッツ氏もメンバーの一人だが、2005年に米軍から退役した際には不正行為の指摘を受けていた。ただ、その後訴追されることはなかった。

もう一人のメンバー、ワリド・ファレス氏は2012年の大統領選でミット・ロムニー候補の外交顧問チームに入ったが、同氏がレバノン内戦時に右翼のキリスト教民兵組織とつながりがあったと、イスラム教人権擁護団体から指摘されていた。

トランプ氏の演説に対する反応

2016年の大統領選に立候補していたジム・ギルモア元バージニア州知事は、「演説の中で完全に同意できるところは多かった」としながらも、同盟国の負担増を求めた部分については疑問を呈した。

ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は、「現大統領の外交政策という点では、オバマ大統領が2009年1月に就任して以来、米国がより安全でより強力になったことは否定できない」と述べた。また、同盟は強化されており、アジアに軸足を置く政策は米国に経済的かつ戦略的な恩恵をもたらしたと語った。