カブールで大爆発、500人近く死傷 官公庁や大使館の並ぶ地区
アフガニスタンの首都カブールで31日午前8時25分(日本時間午後12時55分)ごろ、大爆発があり、大勢が死傷した。大統領府や各国大使館が並ぶ地区で起きた。アフガニスタン保健省によると、少なくとも90人が死亡し、約400人が負傷した。ドイツ大使館の警備員とBBCアフガンの運転手も死亡した。日本大使館の職員2人は軽傷を負ったという。
爆発現場は、市内中心部のザンバク広場にあるドイツ大使館の近く。現場から数百メートル離れた建物も、窓ガラスが割れドアが吹き飛ばされるなど、爆発の勢いで損傷した。広場周辺には各国の大使館や官公庁が立ち並ぶ。朝のラッシュ時間を直撃した爆発で、被害者のほとんどは現地の民間人。米国大使館で受注業者として働いていた米国人11人も負傷した。
強力な爆発の勢いで、ドイツ大使館の前には大きな穴が開いた。
トラックか水の運搬車に仕掛けられた爆発物が爆発したという情報もある。欧米外交筋はAFP通信に、1500キロ以上の爆発物が積まれていたようだと話している。
現場では多数の車両が黒焦げになっている。50台以上が破損した。
武装勢力タリバンは、自分たちによる攻撃ではないと否定の声明を出した。タリバンは4月、主に外国施設を標的に、自爆攻撃を含む春の大攻勢を仕掛けると表明していた。
過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)はまだコメントしていない。
ドイツのジグマル・ガブリエル外相は、ドイツ大使館では職員が数人負傷し、アフガニスタン人の警備員が死亡したと明らかにした。
フランス当局によると、フランス大使館も破損したが、職員の被害はなかった。トルコ政府も、大使館庁舎は損傷を受けたが、職員の被害はないと話している。
インドのスワラジ外相は、現場近くのインド大使館では職員は無事だったと話した。
日本大使館では職員2人が軽傷を負ったという。
BBCアフガンのモハメド・ナジール運転手が爆発で死亡した。BBCで4年以上働いていたナジール運転手は、同僚たちを職場に送り届ける最中に犠牲になった。同僚のBBCスタッフ4人が負傷したが、命に別状はないという。ナジール運転手には幼い子供4人がいる。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は、「ラマダンの聖なる月に日常生活を送る罪のない民間人を標的にした、卑劣な攻撃を強く非難する」とコメントを発表した。
インドのナレンドラ・モディ首相は、「犠牲者の遺族を思い、負傷者のために祈っている」とツイートした。
近くで店舗を経営するサイード・ラフマンさんはロイター通信に対し、自分の店はひどく損傷したと述べ、「これほどひどい爆発は今まで見たことがない」と話した。
別の住民、アブドル・ワヒドさんはBBCに爆発は「まるで大きい地震のようだった」と話した。
アフガニスタンではここ数カ月の間に、多数の死傷者を出す攻撃が散発的に相次いでいる。
5月にはカブールで、米国大使館を通過する北大西洋条約機構(NATO)関係者の車列が自爆攻撃に遭い、民間人が少なくとも8人死亡した。この時はISが犯行声明を出した。
タリバンは4月下旬、北部マザーリシャリーフの陸軍訓練施設を襲撃し、兵士135人を殺害。これによってハビビ国防相とシャヒム陸軍参謀長が辞任に追い込まれた。
アフガニスタンには米兵約8400人とNATO加盟国軍の兵5000人が駐留している。