「陽気過ぎる」悪魔像、キリスト教徒から批判相次ぐ スペイン

画像提供, City of Segovia
スペイン中部のセゴヴィアで設置が計画されていたサタン(キリスト教の悪魔)の銅像をめぐり、見た目が「陽気すぎる」として批判の声が広がった。
この地域には、美しい娘にだまされたサタンが巨大な水道橋(世界遺産に登録されている橋で、通称「サタンの橋」)を一夜にして造ったという伝説があり、この銅像はその悪魔を記念したもの。
ところが市民たちは、笑顔でスマートフォンでセルフィー(自撮り)をしているサタンの銅像はフレンドリー過ぎると訴えた。
この銅像の制作者はBBCに対し、自身の作品に対する批判の度合いに驚いたと述べた。
市の人口の10%余りにあたる5400人が、銅像の設置取り消しを求める請願書に署名をした。
同請願書は、スマートフォンを手にするなどサタンが「陽気に」表現されていることから、「悪をあがめている」、「カトリック教徒にとって侮辱的」だとしている。
また、サタンは「ひどく不快で卑劣」な存在であり、「この銅像のような悪意のない『温厚な悪魔』のように、思いやりがあり魅力的」であってはならないとしている。
裁判所は、サタンの銅像の見た目がカトリック教徒にとって侮辱的かどうか調査する間、設置を保留するよう命じた。

画像提供, City of Segovia
米紙ニューヨーク・タイムズによると、その後裁判所がカトリック教徒の訴えを退け、銅像の設置が認められた。
オンラインメディアのパンテオンズは、設置から2日後にこの像はカトリック教徒に盗まれたと報じている。同報道によると、数時間後に見つかった銅像は顔の部分が破壊され、幼子イエスの顔にすり替えられていた。
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サタンの銅像をめぐる騒動は、この銅像を制作した元医師ホセ・アントニオ・アベリャ氏を驚かせた。
アベリャ氏は、「このサタンの伝説は人気で、セゴヴィアの子供たちも学校で教えられる。そうした伝説を記念する銅像に人々が猛烈に反対するなんて信じがたいことだ」とBBCに述べた。
「私はセゴヴィアを愛している。30年もの間ここで暮らしてきた。だからこの銅像が、私の第2の故郷となってくれたセゴヴィアに私がどれだけ感謝しているのかを証明するものとなることを期待していた」
「この像への支払いは受けていない。お金のためではなく、この街への個人的な敬意を表すものとして制作した。私がどんな気持ちでいるか分かるでしょう」
クラウディア・デ・サントス市会議員も抗議活動は「不当で、失望させるものだ」としている。
サントス氏はスペイン紙エル・パイスに対し、銅像の設置が計画通り進むよう確約できるように努力すると述べた。