近藤真彦さん、婚外交渉で活動停止処分に
プリティ・ジャ、BBCニュース
日本のベテラン歌手が、婚外交渉を認めたことで、所属事務所から活動自粛処分を受けた。
ジャニーズ事務所は17日、近藤真彦さん(56)についてウェブサイトで声明を発表。「軽率」な振る舞いは「厳正な処分」に値するとした。
近藤さんはすべての芸能活動が禁じられた。
日本では有名人の情事が表面化した場合、非難と厳しい罰を受けることが一般的だ。ただ、仕事に影響が及ぶことを疑問視する人もいる。
近藤さんが妻以外と関係をもったことは先週、ゴシップ雑誌でまず報じられた。
日本の芸能事務所で最有力級のジャニーズ事務所は声明で、近藤さんの行いについて、結婚している男性の「振る舞いとして大変軽率であり、自覚と責任に欠ける行動であった」とした。
また、「近藤に対して厳正な処分が必要であると認識し、その内容について慎重に検討」してきたと説明。「無期限芸能活動自粛処分といたしました」と報告した。
ジャニーズ事務所によると、1980年代の日本ポップス界のアイドルだった近藤さんは「一連の出来事に対する責任を取り」たいとし、活動自粛を申し出た。「皆様より信頼していただくことができる人間を目指して精進して」いくという。
有名男性への警鐘
「マッチ」の愛称で呼ばれる近藤さんは、ソーシャルメディアで広く批判の的となった。ファンからは失望や、近藤さんの妻に同情する声が上がった。
だが、近藤さんの情事は以前にも日本で報じられており、今回のニュースに驚く人は多くはなかった。
「女性が直面している問題や#MeTooに関心が集まっている現在、彼が非難を浴びたことは、男性有名人にとって警鐘となった」と、米ミシガン大学の人類学者で、日本を専門的に研究するジェニファー・ロバートソン教授は話した。
近藤さんの私生活を厳しく調べ、その行動を大目に見ないことを疑問視する見方も、一部で出ている。
近藤さんが代表を務める自動車レースチーム「KONDO RACING」が、今回の報道を受けて今後のレースに近藤さんが姿を見せないと発表したことを紹介したツイートに対しては、「情事は夫と妻の間の個人的な問題だ。しかし日本では、情事をもった人は犯罪者のように扱われる」などとする返事が書き込まれた。
東京の上智大学のジェイムズ・ファーラー教授(社会学)は、日本や東アジアの国々では、芸能人の性生活が芸能事務所によって取り締まられてきた長い歴史があると述べた。
結婚相手以外とセックスをするという考えを、公共のモラルに対する侮辱だと捉える人がいることが、その理由のひとつだという。
ファーラー教授は、しばしば、「情事そのものより、情事を知られてしまうことのほうが問題とされる。この発想はやや時代遅れになっている。日本の若者は性的なことを私的な問題と考えるようになっている」と話した。
同教授はまた、従業員の私的な性行動を監視する慣習について、「経営側による従業員へのセクハラの一種になり得ると考える、新しい規範と衝突している」とした。
日本では他にも、有名人が似たような暴露によって、その立場を辞している。
2016年には、父親の育児休暇について全国的な議論のきっかけをつくった国会議員が、情事を認めて辞任した。議員の妻は出産間近だった。
つい先月には日本水泳連盟が、世界のトップスイマーの瀬戸大也さんを、年内の活動停止処分にした。瀬戸さんが婚外交渉をもったと、ゴシップ雑誌が報じたのを受けたものだった。
他の国でも、辞任が注目されたケースはある。
2012年、シンガポールの国会議長だったマイケル・パーマーさんが、婚外交渉を認め辞任した。パーマーさんは当時、与党・人民行動党に「恥」をかかせたくないと述べた。
同じ年、米中央情報局(CIA)のデイヴィッド・ペトレイアス長官も情事が原因で辞任した。自らの行動を、アメリカの主要情報機関のリーダーのものとしては「受け入れられない」と評した。
2004年には、ボリス・ジョンソンさん(現首相)が、情事についてうそをついたとして、影の大臣の役職から解かれた。ジョンソンさんは情事について、「たわごとの逆三角形(報道)だ」と否定していた。