深圳日本人学校の男児刺殺事件、被告に死刑判決
中国広東省で昨年9月に深圳日本人学校の男児(当時10)が刃物を持った男に刺殺された事件で、40代男性被告の初公判が24日、市内の裁判所で開かれた。裁判は即日結審し、裁判所は被告に故意殺人罪で死刑判決を言い渡した。
日本メディアの傍聴は認められず、複数報道によると在広州日本総領事館の貴島善子総領事らが傍聴したと、外務省が明らかにした。
報道によると外務省は、死刑判決を受けた被告が鐘長春被告(45)だと明らかにした。それによると裁判所は、被告がインターネットで注目を集めるため刃物を購入して児童を殺害し、犯行後にメディアに電話をかけるなどしていたことを指摘し、「極めて悪辣(あくらつ)かつ重大で、極刑が相当」と認定したという。
事件は昨年9月18日の朝、学校近くの路上で起きた。男児は親と一緒に歩いて登校していた途中、男に腹部を刺され、翌19日に死亡した。
事件を受けて、中国に住む日本人駐在員コミュニティーからは、子供たちの安全を心配する声が上がった。広州日本人学校は一部の活動を中止し、公共の場で大きな声で日本語を話すことを控えるよう警告した。東芝やトヨタ自動車は、暴力の可能性に警戒するよう関係者に呼びかけた。パナソニックは、帰国時の飛行機代を負担すると発表した。
蘇州の事件でも死刑判決
深圳での事件に対する今回の判決の前日23日には、昨年6月に江蘇省蘇州市で日本人の母子をナイフで襲い、母子を守ろうとした中国人女性が殺害された事件についても、中国人男性被告に死刑判決が言い渡された。日本政府が明らかにした。
蘇州での事件に関する日本側の説明などによると、中国の裁判所は周加勝被告(52)について、仕事を失って借金ができ、生きる気力を失って6月24日に犯行に及んだとした。
事件は、蘇州の日本人学校の前で起き、学校の送迎バスが刃物を持った被告に襲われた。
日本政府の林芳正官房長官は23日の記者会見で、中国の裁判所が襲撃を意図的な殺人だと認定したと説明。犯罪の重大な社会的影響から死刑が宣告されたと述べた。
また、判決では日本への言及が一切なかったとし、上海の日本総領事らが裁判を傍聴したとした。
林官房長官は、「全く何の罪もない子供を含む3人を殺傷した犯行は到底許されない」と述べた。
さらに、日本人母子を守ろうとして殺害された、日本人学校の送迎バスの乗務員、胡友平さんに対して哀悼の意を表明した。
中国ではこのところ、注目された事件の死刑囚の死刑が相次ぎ執行されている。