窓際に置かれた豪奢な真珠色の椅子に座り、ハクリュウは穏やかな表情で、静かにヤヨイを見つめている。


ヤヨイは一度立ち上がったのだが、あまりにもハクリュウが穏やかなので、またベットの縁に腰を下ろした。


「なぁ･･･ヤヨイ。
お前は今までに、誰かを本気で愛した事が、あるか？」


「･･････････。
家族愛なら･･･。」


ヤヨイはハクリュウと出会うまで、特定の誰かに、そんな感情を持った事はなかった。


急に話題を変えたハクリュウに、ヤヨイは正直に答えたのだが、その質問の意図は、よく分からずにいた。


「家族か。」


ハクリュウは組んでいた足を反対にして、豪奢な椅子に座り直し、そして少しだけ俯いて、フゥっと息を吐きだした。