腕枕で朝寝坊
その5*奥さまは大きいのがお好き
*朝寝坊その5*
奥さまは大きいのがお好き
※ふたりが新婚のときのおはなし
美織視点
紗和己さんはなにもかも大きい。
身長は188cmもあって、時々建物の入口に頭をぶつける。
手も足も大きくて、靴のサイズは28、メーカーによっては29cmだ。おおきい。
ふだん隣に並んでもその大きさは実感出来るけど、洗濯物を畳んだり、玄関に靴が並んでるのを見るとつくづく思う。おおきい。
キスするときは私もなるべく背伸びするけど、紗和己さんは目一杯腰を屈めてくれる。彼の腰痛や首が心配だ。
以前佐知が『男のひとの足のサイズと××の大きさって比例するんだってさ。ところで社長って足おっきいよね』と話していたけど、聞かなかったコトにした。
ある日、ふと思い立って、私は紗和己さんのダボダボのワイシャツを着て紗和己さんのダボダボの靴を玄関で履いてみた。
ヨタヨタと歩いてみてその姿を鏡に映して呟く。
「…ペンギンごっこ」
「ぶはっっ」
書斎で仕事をしていたと思ってた紗和己さんが、いつの間にか廊下からこちらを見ていた。
…勝手に見ていた紗和己さんと、思わずペンギンごっこをしたくなってしまうこの大きさがいけないと思うの。
ひとりあそびを見られた恥ずかしさと、呼吸困難になるほど笑われた事への怒りで、しばらく紗和己さんと口をきかなかった。