あの地震で何が起きたのか…記録を伝えたい 再開した「のとじま水族館」で被災当時の写真を公開
2024年7月21日 05時05分 (7月21日 05時05分更新)
20日に一部営業を再開した石川県七尾市の「のとじま水族館」。多くの小中学生が夏休みに入ったこの日に再開日を間に合わせようと、地震直後から職員が一丸となって復旧作業に取り組んだ。水族館で地震直後に何が起きたのかを伝え、復旧までの道のりを知ってもらおうと、若手職員らが企画し、未公開の写真などを紹介する写真展が館内各所で開かれている。
企画した1人で、イルカ・アシカの飼育担当の釘宮ひなたさん(25)によると、2016年の熊本地震で被災した熊本市動植物園の職員からの「起きたことを伝えるのも役目」という助言が、写真展を企画したきっかけだったという。再開が近づく中、若手職員で話し合い「伝えきれなかったことを伝えたい」との思いで一致し、地震直後に作られたパソコン内の共有フォルダーに保存されていた記録写真から「通常ではあり得ない、地震後にしか撮影できない写真」を選定。プリントした写真を色紙に切り貼りして、本館やジンベエザメ館などに展示した。
本館では計50枚ほどの写真を使って地震直後の被害状況と復旧作業を時系列で紹介。地震直後の写真は、余震による落下物の危険性と断水の影響で、餌を外の広場で海水を使って調理する様子や生き物を避難させるため、総出で移送作業に取り組む様子など当時の緊迫した状況を伝えている。7月にようやく水槽の修復が完了したことも紹介されている。
生き物の観賞に熱心だった来場者も写真を前に足を止めた。広島県から来た堂野克人さん(25)は水槽の水が抜かれた状況の写真を見て、あっと驚いた表情を見せた。「何もない時期があったなんて。そこから半年でここまで戻ったと思うとすごい。被害状況や苦労を知ることができてよかった」と話した。山口県の水族館の飼育員、藤沢史弥さんは「一連の復旧作業を知って、同じ飼育員として胸が熱くなった」と語った。写真展は9月1日まで。
(染谷明良)
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