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福島原発事故の心的外傷、がんリスクより大きく WHO

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現場の状況について説明する東電社員=2012年2月

現場の状況について説明する東電社員=2012年2月

(CNN) 世界保健機関(WHO)は28日、東京電力福島第一原子力発電所の事故が健康に及ぼす影響についてまとめた報告書を発表した。少数の住民などについて、放射線を浴びたことにより特定の種類のがんにかかるリスクがわずかに高まったと指摘したほか、被災者の心的外傷にも言及している。

放射線の影響については、特に事故現場で対応に当たった若い作業員について、高濃度の放射性ヨウ素を吸入し、甲状腺がんの発症リスクが高まる恐れもあると予想した。ただし甲状腺は比較的がんにかかりにくく、こうした作業員にとっての全般的なリスクは低いと指摘している。

福島第一原発周辺の地域で放射線を浴びた子どもについては、一生のうちに白血病、乳がん、甲状腺がんを発症する確率が、一般に比べてわずかに高まるとした。

それ以外のケースについては、原発事故による疾患の増加は「検出可能な水準以下にとどまる可能性が高い」との見通しを示した。

報告書ではさらに、被災者の恐怖、不安、うつといった心理的影響にも焦点を当て、心身症や精神疾患に至る可能性も指摘した。放射線は目に見えず、どの程度影響があるのかも分かりにくいことから、こうした症状は深刻化する恐れもあると解説。被災者が偏見の目で見られ、一層厳しい状況に追い込まれる可能性にも言及した。

報告書をまとめるにあたり、調査員は被災者への面接調査も実施した。福島第一原発から40キロの距離にある福島県飯舘村は、約6000人いた住民が避難して、ゴーストタウンと化している。第2次世界大戦の直後から60年以上も同村に住んでいたというナカノ・ユキオさんは、同報告書の調査員に、仮設住宅での生活は厳しく、強い精神的ストレスを感じていると語った。

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