イスラエルはガザ北部で「民族浄化」 元国防相が非難
(CNN) 高名なイスラエルの元国防相が、自国を非難して物議を醸している。現在同国がパレスチナ自治区ガザ地区北部で行っているのは民族浄化だというのがその内容だ。
精鋭部隊に所属し、軍の参謀を務めるなど30年にわたりイスラエル国防軍(IDF)での任務に就いてきたモシェ・ヤアロン元国防相は、同国のテレビ局の取材に答え、イスラエルについて、自由民主主義国としてのアイデンティティーを喪失したとの認識を表明。「腐敗し、病んだ、ファシスト的なメシア思想の国家」に成り下がったと述べた。
その上で、イスラエルがやっているのは「征服と併合、民族浄化だ。ガザ北部を見るがいい」と付け加えた。
民族浄化との発言に驚いた聞き手が「我が国がそこへ向かっているという考えか?」と問うと、ヤアロン氏は「向かっている」どころではなく、現にIDFはアラブ人の地域を掃討していると答えた。
イスラエル軍は過去2カ月間、ガザ北部での強力な軍事作戦を実施し、多くの犠牲者を出している。同軍によると作戦はイスラム組織ハマスの戦闘員を狙ったものであり、全ての民間人に対してはガザ南部の人道地域へ移動するよう指示しているという。
イスラエル軍はヤアロン氏のコメントに反応し、ガザ北部での民族浄化を否定。作戦は国際法に準じて遂行しており、作戦の必要性に基づいて民間人を避難させていると主張した。
イスラエル軍のガザ北部での作戦を「民族浄化」と形容したのはヤアロン氏だけではない。
同国の有力紙ハアレツは10月末、「現状が民族浄化に見えるなら、恐らくそうだろう」と題する社説を掲載。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も先月、154ページの報告書を発表し、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区の住民を強制的に移動させてきた行為は戦争犯罪と人道に対する罪に相当すると断じていた。