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【レビュー】思わず声が出る“入れ替わりもの”の傑作 『デビルズ・ゲーム』“サイコパス殺人鬼”チャン・ドンユンVS“刑事”オ・デファンの行方とは…

映画

PR:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス

チャン・ドンユン×オ・デファン『デビルズ・ゲーム』
チャン・ドンユン×オ・デファン『デビルズ・ゲーム』 (C)2023 THE CONTENTS ON & CONTENTS G All Rights Reserved.

 身体が入れ替わってしまった“サイコパス殺人鬼”と“刑事”の壮絶な対決を描く映画『デビルズ・ゲーム』。良質なノワール作品を続々と生み出している韓国映画界から、またまた「おお……!」と声が出るような、とんでもないクライマックスへと連れて行ってくれるサスペンススリラーが登場した。すっかりだまされ、鑑賞後にはすぐに観返したくなること必至。“連続殺人鬼”と“刑事”を演じたチャン・ドンユンとオ・デファンの熱演、そして予測不可能な展開と伏線回収にシビれる本作の見どころを紹介する!

【動画】映画『デビルズ・ゲーム』予告編 >

■ 圧倒的臨場感でサスペンススリラーの世界へ没入!

 主人公となるのは、韓国中を恐怖に陥れているサイコパス連続殺人鬼のジニョク(ドンユン)と、その犯行一味を追っていた刑事のジェファン(デファン)。彼らのせいで捜査中に後輩刑事を失ったジェファンは、悲しみの中でついに殺人鬼ジニョクを追い詰め捕まえるが、病院で目を覚ますとなぜかジェファンとジニョクは身体が入れ替わっていた。殺人鬼ジニョクは刑事ジェファンの姿となり、家族を⼈質にして彼を脅迫し始める。


 映画の冒頭に現れるのは、ジニョクら犯罪組織の殺人現場。ジニョクたちはギラリとナイフを光らせ、遺体を切断している。彼らは殺人動画を撮影、アップするという狂った殺人鬼だ。犯行の恐ろしさと、ネオンカラーに彩られた場所&軽快な音楽というギャップがおどろおどろしさや不気味さを増幅させる。ジニョクを見つけ、追い詰めていくジェファン。カーチェイスや車の大横転の後、山に逃げ込んだ殺人鬼を追いかけて一緒にゴロゴロと崖を転げ落ちていく刑事…。スリリングな追跡劇に、気づけばあっという間に作品世界へと引きずり込まれていた。できるだけスタントを使わずに俳優が生身のアクションに臨んだとあって、そのリアル度も目を見張るものがある。


 映画やドラマでのサイコパスは、美しければ美しいほどコワイ。ドラマ『ノクドゥ伝〜花に降る月明かり〜』では、王宮ロマンティックラブコメディの主演として可憐な女装も披露したほか、寡黙な犯罪者を演じた『オオカミ狩り』の演技も話題となり「カメレオン俳優」との評価を受けたチャン・ドンユンが、本作では残酷なシリアルキラーとして本格的な悪役に初挑戦している。ふわふわとしたパーマヘア、時折のぞく八重歯もキュートなはずの彼が、目をギラつかせ、不適な笑みで周囲を翻弄する殺人鬼に変貌。まさに怪演と呼ぶにふさわしく、なんとも言えぬ恐ろしさが感じさせる。

 一方、手段を選ばない刑事・ジェファンを演じるのは、『狼たちの墓標』『ベテラン 凶悪犯罪捜査班』などコメディからノワールまでジャンルを問わず活躍する、実力演技派俳優のオ・デファン。同僚や後輩に慕われる熱血刑事という、“信頼できる男”としての説得力に文句なしの演技を魅せた。

 一緒に崖を転げ落ちた殺人鬼と刑事は行方不明となり、1ヶ月後に同じ車の中から発見される。空白の1ヶ月を経て、立場、性格、ビジュアルも正反対の2人の身体が入れ替わっていたというのだから、これは面白いに決まっている。空白の1ヶ月に何があったのか、観客も大いに想像を掻き立てられるはずだ。

■ ボディチェンジを体現! チャン・ドンユン×オ・デファンの化学反応


 大きな見どころとなるのが、殺人鬼と刑事のボディチェンジを体現した役者陣の名演だ。病院で目を覚ましたジニョクとジェファンは、なぜか身体が入れ替わっていた。入れ替わり後、“見た目ジニョク・中身ジェファン”は、ギラリと怪しく光らせていた目まで「俺はジェファンだ!誰か信じてくれ!」とすっかり戸惑いの瞳に変化。そして“見た目ジェファン・中身ジニョク”は、信頼できる男であったはずが、思い切りふてぶてしい顔つきをしている。

 入れ替わりものは、双方を演じる役者の表現力が追いつかなければ、決して迫力は生まれない。入れ替わったジニョクとジェファンが病室で対峙するシーンでは、必死の形相で「家族に手を出すな」と訴える“見た目ジニョク・中身ジェファン”、「お前の妻と娘のところに行く」とニタリとした笑顔でおどす“見た目ジェファン・中身ジニョク”のやり取りに、ゾクゾクとさせられた。

 “見た目ジニョク・中身ジェファン”が後輩刑事のミンソン(チャン・ジェホ)に向けて語りかける一幕では、ジニョクの見た目をしながらも、にじみ出て来るジェファンとしての誠実さにミンソンの心も動かされていく。“見た目ジェファン・中身ジニョク”は終始何を考えているかわからない表情で、これまたミンソンを困惑させる。ボディだけでなく、目の色、笑顔、その人が漂わせるオーラまでチェンジしたようなチャン・ドンユンとオ・デファンによる圧巻の演技を、大いに堪能してほしい。

■ 鳥肌たつ伏線回収と予測不可能なラスト

 そして伏線回収へと向かう展開は、心臓がバクバクするほど予想もできず、驚くべきものだった。これがまた本作のスゴイところ。日本でも『転校生』や『君の名は。』『民王』など入れ替わりものは定番と言っていいほど、数々の名作が世に送り出されてきた。各作品、入れ替わりの理由は様々でファンタジー的な要素が絡むことが多いが、本作のボディチェンジにはそれらとまったく違う、現実的で斬新なトリックが隠されているのだ。


 ジニョクとジェファンが「ジニョクの共犯者を探し、捕まえる」という目的に向かって突き進み、バイオレンス、アクション、心理戦も加速。次第に暴かれていく入れ替わりトリックには「え…?」「うおお!」「マジか…」と思わず三段階で声が出そうになった。観ているこちらも、誰の涙、言葉、笑顔を信じていいのかわからなくなる中、ジニョクとジェファンの戦いは、壮絶なクライマックスへと辿り着く。入れ替わりトリックを最高に効果的なものとした、驚愕のラスト。大胆な仕掛けが心地よいものとして押し寄せるようで、すべての答えがわかった時には「いつから自分はだまされていたんだ」と役者陣が積み上げた繊細な演技を観返したくなるはずだ。

 また、画面の隅々まで血の通ったキャラクターを目にできる点もうれしい。強い執念と責任感を持つ広域捜査隊チーム長を演じるチェ・グィファは、『新感染 ファイナル・エクスプレス』『犯罪都市』シリーズなど、今や話題作に欠かせない存在。さらに入れ替わったジニョクとジェファンの間で板挟みになる後輩刑事ミンソンを演じるチャン・ジェホは、観客と同じ目線となるキャラクターを担う。ジニョク率いる犯罪組織のメンバーを演じる面々にもソン・ジョンハク、シン・スンファン、ユン・ビョンヒら個性派がそろい、狂った殺人鬼を熱演。うなるほど巧みな脚本から生まれた本作で、たっぷりと躍動している。本当の悪魔は誰なのかーー。巻き込まれ型サスペンススリラーを、ドキドキしながら見届けてほしい。

映画『デビルズ・ゲーム』は、3月7日より全国公開。

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映画『デビルズ・ゲーム』予告編

文:成田おり枝

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