「電源タップにも寿命があります」
特に意識せず使っているであろう「電源タップ」。実は、寿命があるということをご存じだろうか?
「電源タップ」とは、日本配線システム工業会によると、壁などに設置されたコンセントにつなぎ、離れた場所の電気器具へ電源を供給する配線器具(延長コード)のことをいう。
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今、この電源タップに寿命があることを伝えるツイートが注目を集めているのだ。
ツイートをしたのは、インテリア家電などのメーカー、ヤザワコーポレーションの公式ツイッターアカウント(@yazawaCorp)。
「本当の事なので5回言います」と前置きしたうえで、「電源タップにも寿命があります。電源タップにも寿命があります。電源タップにも寿命があります。電源タップにも寿命があります。電源タップにも寿命があります」と、電源タップに寿命があるという事実を紹介。
さらに、「電源タップは消耗品で、交換目安は3〜5年。(日本配線システム工業会より)」と交換の目安も出典付きで示している。
#本当の事なので5回言います
— ヤザワコーポレーション (@yazawaCorp) March 31, 2021
電源タップにも寿命があります。
電源タップにも寿命があります。
電源タップにも寿命があります。
電源タップにも寿命があります。
電源タップにも寿命があります。
※ 電源タップは消耗品で、交換目安は3〜5年。(日本配線システム工業会より) pic.twitter.com/keUByD6mmw
このツイートには、「知らなかった」「10年以上使っている」などの声が寄せられた。
反響についてヤザワコーポレーションの担当者は「『10年以上使っている』『買い替えよう』などのお声が寄せられています。4月の新生活シーズンは買い替え需要が多い時期なので、今回の反響は良かったと思っております」とコメントした。
電源タップについて、たしかに日本配線システム工業会のHPには「交換の目安は3~5年です。そのまま使い続けると危険(怪我、火災など)を生じるおそれがあります」とある。
しかし3~5年は目安であり、また、現在使用中の電源タップをいつから使っているかを把握している人は少ないのではないだろうか。
電源タップの交換が必要かどうかは、実際はどのように判断すればよいのか? そして、長く使い続けるためにはどのようなことに気を付ければよいのか?
日本配線システム工業会の担当者に話を聞いた。
交換の目安が3~5年の理由
――HPには「交換の目安は3~5年です」という注意喚起がある。目安が3~5年なのはなぜ?
日本配線システム工業会の会員のメーカーさんが販売する「電源タップ」は、販売後3~5年が経過すると、「熱くなった」「焦げた」「断線した」「プラグ栓刃が曲がった」などの市場トラブルが増加する報告があったためです。
――3~5年が経ったら、必ず交換しないといけないものなの?
「電源タップ」は、使用方法によって劣化状況は大きく変わりますので、3~5年経ったら、必ず交換するものではありません。3~5年は交換の目安です。
交換のタイミングを見る安全点検の6項目
――では、交換するタイミングはどのように判断すればよい?
以下の安全点検を実施していただき、異常に該当すれば、交換をお願いしています。
(1)電源タップ、コード、電源プラグは熱くなっていませんか?
容量オーバーや内部で異常が発生している可能性があります。
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(2)コードを動かすと、使用中の器具が点いたり、消えたりしませんか?
内部で断線している可能性があります。
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(3)電源プラグの抜き差しがゆるくなっていませんか?
電源タップが損傷しています。
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(4)電源プラグの栓刃の根元が焦げたり、溶けたりしていませんか?
電源プラグが損傷しています。
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(5)本体やコードにひび割れ、キズがありませんか?
充電部が露出している可能性があります。
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(6)電源プラグの栓刃が曲がっていませんか?
電源プラグが損傷しています。
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――3~5年が経過し、なおかつ、傷んだ状態で使い続けると、どのような危険が生じる可能性がある?
傷んだ箇所の状態にもよりますが、次の危険があります
・コードの断線には、コードの外側の被ふくに問題が無くても内部の電線が断線していることがあり、時々、電気が途絶えてしまうような中途半端な断線でも、末期にスパーク(火花)が飛び出し、火傷や床を焼損する危険性があります。
・電源プラグやコードの接続の劣化では、異常な温度の上昇から製品の“焼損”、人が触れて“火傷”、可燃物に触れて“火災”の危険性があります。また、機械的劣化(ひび割れ)では感電などの危険性があります
長く使うための8つの注意点
――電源タップを長く使うためにはどのようなことに気を付ければよい?
以下のような、誤った使い方をしないようにお願いします。
(1)コードを押し付けない
コードをカーペットや家具の下敷きにしないでください。また、コードをステップルで固定しないでください。コード内部の電線が切れて、異常発熱・焼損・火災の原因となります。
(2)コードを扉やふすまで、はさまない
コードの被ふくが破れて、感電の原因となります。各部屋の中で電源タップを使いましょう。
(3)コードを引っ張らない
電源プラグやコードを傷め、異常発熱・焼損・火災の原因となります。電源プラグを持って抜きましょう。
(4)コードを束ねて使わない
過熱し、焼損・火災の原因となります。コードは伸ばして使いましょう。
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(5)高温になる場所で使わない
コードの被ふくが溶けて、感電の原因となります。ストーブなどの熱風が当たらない場所で使いましょう。
(6)表示された容量を超えて使わない
容量を超えると、焼損の原因となります。電源タップに表示された容量以下で使いましょう。
(7)たこ足配線はしない
容量を超えると、焼損の原因となります。電源タップに表示された容量以下で使いましょう。エアコンなどの機器では、電源タップからの使用を禁止しているものもあります。
(8)水をかけない 濡れた手で触らない
水がかかると、絶縁低下を生じ、発火・焼損の原因となります。濡れた手で触ると、感電の原因となります。水槽周辺やキッチン、洗面所など水のかかる場所で使用しない。屋外で使用しない。トイレの液体洗剤を電源プラグにかけない。
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――ちなみに「電源タップ」「テーブルタップ」「延長コード」と、いろんな名称があるが、これらは同じものと考えて大丈夫?
電気用品安全法では、「延長コードセット」 が正式な名称です。
また、「延長コードセット」のコードの先に設けたコンセントの口(くち)の部分が、1口のものを『コードコネクタボディ』、2口以上のものを『マルチタップ』が正式名称です。
「電源タップ」や「テーブルタップ」は、俗称です。
3〜5年は目安ではあったが、電源タップに寿命があることは間違いなかった。あなたが今、使っている「電源タップ」は安全と言えるだろうか? まずは 日本配線システム工業会が紹介する、”安全点検の6項目”をチェックし、異常があればすぐに交換してみてほしい。
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