株式投資で確定申告が必要なケースは、利益額や課税方式などによって異なります。
また、確定申告の必要がない場合でも、確定申告をすることで税額を下げられる可能性もあります。
本記事では、株式投資において確定申告が必要になるケースや確定申告書の記載項目、必要書類について詳しく解説します。
目次
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株式投資における確定申告の要否
株式投資における確定申告の要否は以下のケースに分けられます。
株式投資における確定申告の要否の判断基準
- 株式投資で利益が出たとき
- 株式投資で損失が出たとき
また、給与所得の有無や株式投資で利用している口座の種類によっても異なります。
株式投資で利益が出たとき
株式投資で利益が出た場合は、原則として確定申告が必要です。ただし、給与所得が2,000万円以下で、株式投資の利益が20万円以下の場合は確定申告は不要です。
また、給与所得がなく、株式投資の利益が48万円以下の場合は、基礎控除を差し引くと所得が0円になるため確定申告の必要はありません。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
出典:国税庁「No.1199 基礎控除」
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は確定申告は不要
株式投資で利用している口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、確定申告は不要です。
株式投資の口座には、特定口座と一般口座があります。
特定口座とは、証券会社が1年間の売買損益を計算した「特定口座年間取引報告書」を作成することで、個人投資家の確定申告の負担を軽減する制度です。
特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、「源泉徴収あり」を選択した場合、証券会社が所得税・住民税を源泉徴収するため確定申告は不要です。
一方、「源泉徴収なし」を選択した場合は、証券会社が作成した「特定口座年間取引報告書」に基づいて自身で確定申告を行います。
一般口座は、特定口座で管理していない株式などを管理する口座です。一般口座の場合は、投資家本人が1年間の売買損益を計算して確定申告をしなければなりません。
出典:国税庁「No.1476 特定口座制度」
株式投資で損失が出たとき
株式投資で損失が出た場合は、原則として確定申告の必要はありません。
なお、上場株式等の譲渡損失が発生した場合は、申告分離課税を選択して確定申告を行うことで、その年の他の上場株式等の譲渡益や配当所得と相殺できます(損益通算)。
また、その年で相殺しきれなかった損失額については、翌年以降3年間繰り越すことが可能です(繰越控除)。
一般株式等(非上場株式等)についても、上場株式等と同様に一般株式等同士での損益通算は可能ですが、繰越控除はできません。
出典:国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い」
出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
株式投資を行った際に得る利益と税金の種類
株式投資で得られる利益は以下のとおりです。
株式投資で得られる利益の種類
- キャピタルゲイン(売却益)
- インカムゲイン(配当益)
株式を売却して利益が出た場合
株式を売却することで得られる利益をキャピタルゲイン(売却益)といいます。
株式投資のキャピタルゲインにかかる税金は以下のとおりで、税率は合計20.315%です。
株式を売却して損失が出た場合
株式の売却によって損失が出た場合、その取引に対して税金はかかりません。
前述のとおり、譲渡損失が発生した場合は、損益通算や繰越控除により配当所得などにかかる税金を減らせる可能性があります。
配当を受け取った場合
株式を保有することで受け取る利益をインカムゲイン(配当益)といいます。
株式投資におけるインカムゲインは配当所得として課税され、以下の区分に応じた税率で源泉徴収されます。
区分 | かかる税金 |
上場株式等 | ・所得税および復興特別所得税:15.315% ・住民税:5% |
一般株式等 | ・所得税および復興特別所得税:20.42% |
株式投資を行った際の確定申告書の記載項目と必要書類
株式投資の確定申告は、以下のパターンによって記載項目や必要書類が異なります。
株式投資の確定申告を行うパターン
- 株式を売却して利益があるとき
- 株式を売却して損失があるとき
- 配当を受け取ったとき
株式を売却して利益があるとき
株式の売却により利益が出た場合の確定申告では以下の書類が必要です。
株式売却で利益が出た場合の確定申告での必要書類
- 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
- 申告書第一表・第二表
- 申告書第三表(分離課税用)
- 特定口座年間取引報告書
「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」は1面と2面があります。
1面の住所や氏名などを記載し、2面の「2 申告する特定口座の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計」に「特定口座年間取引報告書」の内容を転記していき、合計額を算出します。
特定口座以外の取引があれば「【参考】 特定口座以外で譲渡した株式等の明細」に記入します。
続いて、2面に記載した合計額を1面の「1 所得金額の計算」の該当箇所に転記し、所得金額を算出します。
続いて、確定申告書を作成していきます。
株式を売却して利益がある場合は申告分離課税になるので、申告書第一表の「申告の種類」の「分離」に〇を付けます。
その他の「申告書第一表・第二表」の記載項目は別記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。
【関連記事】
【2023年最新】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説
次に「申告書第三表(分離課税用)」を作成します。
まずは、住所・氏名などを記載し、先ほど作成した「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」から「収入金額」「所得金額」を転記します。
続いて、第一表の「所得金額等」の「⑫合計」と「所得から差し引かれる金額」の「㉙合計」を第三表の「税金の計算」の該当箇所に転記し、「税金の計算」の「(85)から(92)までの合計(93)」を算出します。
その「税金の計算」の合計額を、第一表の「税金の計算」の「上の㉚に対する税額又は第三表の(93)」に転記し、納税額を算出したら確定申告書の作成は完了です。
株式を売却して損失があるとき
株式を売却して損失が出た場合は税金が発生しないないため、原則として確定申告は不要です。
ただし、前述のとおり、確定申告を行うことで損失を繰越しできる「繰越控除」や損失と利益を相殺できる「損益通算」という特例が適用されます。
株式の売却により損失が出た場合の確定申告では以下の書類が必要です。
株式売却で損失が出た場合の確定申告での必要書類
- 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
- 申告書第一表・第二表
- 申告書第三表(分離課税用)
- 特定口座年間取引報告書
- 令和 年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)
また、譲渡損失における確定申告は、主に次の3つのケースに分けられます。
譲渡損失における確定申告のケース
- 上場株式に係る譲渡損失を繰り越すケース
- 特定口座の譲渡損失を配当所得等から控除して翌年以後に繰り越すケース
- 前年分からの繰越譲渡損失を本年分の譲渡所得等及び配当所得等から控除するケース
上場株式に係る譲渡損失を繰り越すケース
上場株式に係る譲渡損失を繰り越す場合も、前述の「株式を売却して利益があるとき」と同様に「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を作成します。
そこで算出した「差引金額⑨」と「所得金額⑪」を確定申告書付表の該当箇所に転記し、「翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失の金額」を算出します。
次に、申告書第一表・第二表、第三表(分離課税用)も「株式を売却して利益があるとき」と同様に作成していきます。
なお、上場株式に係る譲渡損失を繰り越す場合は、先ほど算出した確定申告書付表の「翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失の金額」を第三表の「その他」の「翌年以後に繰り越される損失の金額(95)」に転記します。
特定口座の譲渡損失を配当所得等から控除し翌年以後に繰り越すケース
特定口座の譲渡損失を配当所得等から控除し翌年以後に繰り越すケースでは、まず「特定口座年間取引報告書」から確定申告書付表の該当箇所に転記します。
その年中に特定口座以外に株式の譲渡がない場合は、「特定口座年間取引報告書」を確定申告時に添付することで「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」が不要になります。
次に、申告書第一表・第二表、第三表(分離課税用)の記載内容は「上場株式に係る譲渡損失を繰り越すケース」と基本的に同様ですが、特定口座の譲渡損失を配当所得等から控除し翌年以後に繰り越すケースでは、特別口座年間取引報告書の「譲渡の対価の額」の合計を第三表の「収入金額」の「上場株式等の譲渡(ツ)」に転記します。
また、確定申告書付表の「合計(a)」「本年分の損益通算後の上場株式等に係る譲渡損失の金額⑤」「本年分の損益通算後の分離課税配当所得等金額⑥」をそれぞれ第三表の「収入金額」の「上場株式等の配当等(テ)」、「所得金額」の「上場株式等の譲渡(72)」「上場株式等の配当等(73)」に転記します。
前年分からの繰越譲渡損失を本年分の譲渡所得等及び配当所得等から控除するケース
次に確定申告書付表を作成します。
特定口座年間取引報告書の「配当等の額」の合計額を確定申告書付表の「本年分の損益通算前の分離課税配当所得等金額」に転記します。
また、前年の確定申告書付表の「本年の2年前分⑦」「本年の前年分⑧」「本年分の損益通算後の上場株式等に係る譲渡損益の金額⑤」をそれぞれ確定申告書付表の「本年の3年前分(A)」「本年の2年前分(B)」「本年の前年分(C)」に転記します。
そこで算出された「本年分で上場株式等に係る譲渡所得等の金額から差し引く上場株式等に係る譲渡損失の金額の合計額⑨」「本年分で分離課税配当所得等金額から差し引く上場株式等に係る譲渡損失の金額の合計額⑩」「翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失の金額⑪」をそれぞれ第三表の「その他」の「本年分の(71)、(72)から差し引く繰越損失額(94)」「本年分の(73)から差し引く繰越損失額(96)」「翌年以後に繰り越される損失の金額(95)」に転記します。
その他の申告書第一表・第二表、第三表(分離課税用)の記載項目は「株式を売却して利益があるとき」を参考にしてください。
配当を受け取ったとき
配当所得は源泉分離課税により源泉徴収されるため、確定申告は原則として不要です。
ただし、自身の利益状況によっては「総合課税」で確定申告をし配当控除を受けたり、「申告分離課税」で確定申告し損益通算したりすることで税金を減額できる可能性があります。
配当所得の課税方式は以下のとおりです。
配当所得の課税方式
- 源泉分離課税
- 総合課税
- 申告分離課税
総合課税とは、配当所得を含めすべての所得金額を合計して所得税額を算出する制度です。
上場株式などの配当金では、総合課税を選択して確定申告をすることで「配当控除」を適用できます。
配当控除は、課税総所得金額が1,000万円以下の場合は配当所得の10%、1,000万円を超える部分については配当所得の5%を税額から控除できる制度です。
配当所得を総合課税で確定申告する際の必要書類は以下のとおりです。
配当所得を総合課税で確定申告する際の必要書類
- 申告書第一表・第二表
- 特定口座年間取引報告書
特定口座年間取引報告書から申告書第一表の「収入金額等」の「配当(エ)」、「所得金額等」の「配当⑤」に転記します。
また、第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」に源泉徴収された配当情報を記載し、「住民税・事業税に関する事項」の「配当割額控除額」に該当事項を記入します。
その他の「申告書第一表・第二表」の記載項目は別記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。
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申告分離課税は、一定の所得については、他の所得と切り離して税額を算出します。株式の売却損がある場合は、申告分離課税で確定申告することで、配当所得と損益通算できるため税金を減額することが可能です。
なお、配当所得を申告分離課税で確定申告する際の申告書の記載項目、必要書類は「特定口座の譲渡損失を配当所得等から控除し翌年以後に繰り越すケース」と同様です。
出典:国税庁「No.2230 源泉分離課税制度」
出典:国税庁「No.2220 総合課税制度」
出典:国税庁「No.2240 申告分離課税制度」
出典:国税庁「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」
まとめ
株式投資での確定申告の要否は、給与所得の有無、利益額によって異なります。
また、株式投資で損失を出した場合は原則として確定申告は不要ですが、場合によっては確定申告をすることでその年の税金や翌年以降の税金を安くすることが可能です。
他の所得も含めて利益状況を正しく読み取り、自身に有利な選択をしましょう。
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