通常の物質に触れると莫大なエネルギーを発生させる反物質ですが...。
反物質は自然界にはほとんど存在しないので、人工的に生成する必要があります。しかも通常の物質に触れると、エネルギーを発生する代わりに消えてしまうので、サンプルを保存してじっくり眺めたりはまだできていません。これまでのところ、2010年11月に実験装置に0.2秒間閉じ込められたのが快挙です。
もし反物質を安定して保存できれば研究も進めやすくなり、実用にも近づきますね。先日、それに向けた具体的な研究プロジェクトがアメリカ科学振興協会で発表されました。
プロジェクトを進めているのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の物理学者のClifford Surko教授です。彼は反物質用のトラップを作り、それを世界最大の反物質保存容器にすることを目指しています。
どんなものになるんでしょう? Surko教授によると、トラップは磁気びんのセルを何重にも並べたもので、「たくさん部屋があるホテルみたい」なものになります。装置そのものは通常の物質で作られますが、磁気びんの内部は磁気でコントロールされ、反物質が物質に触れないように操作されるので、保存が可能になるという仕組みのようです。計算が正しければ各セルに「数百億の反粒子」が収まるはずです。
また、Surko教授は大量の反物質を高密度に圧縮して、利用目的に合わせて取り出せるようにすることも考えています。そうすれば、「歯みがき粉をチューブからしぼり出すみたい」に使えるというのです。さらには、その容器をポータブルなものにしてしまうことも目指しています。
反物質を歯みがき粉みたいに使える未来って、どんなことになっちゃうんでしょう?
[MSNBC]
Jack Loftus(原文/miho)